みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
安価なプロジェクターの性能が、どんどん上がっています。今回は5万円以下の中でも、個人的に1番コスパが高いと感じている製品、TOPTROのX9を紹介します。
・格安機なのに明るい1200ANSIルーメンのスペック
・OS内蔵で、Youtube、プライムビデオ、Netflixが楽しめる
・格安機の中では、音質も良い
・カラーバランスが、格安機の中では優れる
以前コスパに感動した、TOPTRO X6の性能から大幅に進化。格安機の中では映像が自然で、他LCD方式の格安機と比べても画質が良いように感じました。実用的なOSとスピーカー搭載で、価格は約3万円はコスパがかなり良い。
以下でその魅力を徹底的に解説していきますよ。
TOPTRO X9のスペック
税込価格 | 46,999円※ |
投影方式 | LCD |
光源 | LED |
明るさ | 1200ANSIルーメン |
解像度 | 1920×1080 (フルHD) |
台形補正 | 垂直 /水平自動 |
フォーカス | 自動 |
スローレシオ | 1.3 |
投影距離 | 35inch:1.0m 50inch:1.4m 80inch:2.3m 100inch:2.8m 120inch:3.4m 150inch:4.3m |
スピーカー | 18W×2 |
騒音 | 不明 |
端子 | イヤホンジャック HDMI×2 USB-A |
OS | スマートTV OS |
Wifi | 2.4/5GHz |
Bluetooth | 5.3 |
サイズ | 28.5×28×11.9cm |
重さ | 約3.1kg(実測) |
筆者が購入したときは、Amazonでクーポン込みの値引き価格は、3万3000円くらいでした。値引きやクーポン配布は結構頻繁に行われている印象です。スペックをざっと見た第一印象は、「価格の割に明るさが高い」です。3万円で1200ANSIは、一昔前なら考えられない明るさです。
OSは独自のスマートTV OSで、プライムビデオとYoutube、Netflixを初期インストール。
TOPTRO X9の本体と付属品を確認

正面にはレンズと画面調整用のセンサー。


背面には18W×2のスピーカー。両側面には、低音強化のためのパッシブラジエーターと思われる機構が確認されます。


上面には電源ボタン、音量調節ボタン、Bluetoothスピーカーボタン。

接続端子はイヤホンジャック、USB-A、HDMI×2。

裏面には3脚用のネジ穴はありませんでした。その代わり、ねじ式のフロントフットで本体の傾斜が可能です。また埃を遮断するフィルターは底面から取り外せるので、汚れが気になる場合は清掃しましょう。


重さは約3100g(実測)。大きさはそこそこありますが、持ち上げて運ぶことは問題なく可能です。


付属品は以下の通り。
取説、電源ケーブル、リモコン、HDMIケーブル、清掃キッド

TOPTRO X9の映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- 輝度均一性
- カラープロファイル測定
(「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」) - コントラスト比
- ピント性能

画像はタップで拡大できます
明るさは1200ANSIルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








明るさは1200ANSIルーメンで、5万円以下の機種では最高クラスの明るさ。多少なら明かりをつけた部屋でも、映像を楽しむことができます。
輝度は若干のムラがある




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの平均値は77で、中心と比べると、左右は若干暗い傾向。これは5万円以下の単板LCDプロジェクターではどれも同じなので、仕方がないところだと思います。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」の測定を行います。
ホワイトポイント
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
以下は各映像モードのホワイトポイントの測定値。
画像モード | ホワイトポイント※ |
---|---|
標準 | 7416K |
シネマ | 7241K |
スポーツ | 7242K |
鮮やか | 7918K |
ハイブライト | 7251K |
シネマモードが中立の6500Kに近い色温度となりました。もっと暖色寄りが好きな場合は、「カスタム」設定では、色温度の設定が可能です。
色域
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
以下がX9の結果。青が測定値で、緑線のsRGB/rec.709領域と比較しています。










色域はYoutubeやテレビ標準のRec.709より若干狭い。しかし、格安機の中では十分広色域だと思います。
RGB プロファイル補正カーブ
RGBプロファイルの補正カーブは基本的に直線になることが望ましいです。










※RGBプロファイルに補正をかけるための曲線です。RGB出力強度は、上下逆で考えてください。
格安機はRGBのバランスが悪いことが多いのですが、本機は概ね3色が重なっています。シネマモードがガンマ2.2の設定に最も忠実のため(傾き一の直線に近い)、1番おすすめです。
コントラスト比はそこそこ
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


ネイティブコントラスト比を測定した結果が以下。
画像モード | ネイティブコントラスト比 |
---|---|
標準 | 3448:1 |
シネマ | 3625:1 |
スポーツ | 3650:1 |
鮮やか | 3129:1 |
ハイブライト | 1888:1 |
ネイティブコントラスト比は3500:1程度で、かなり優れています。明暗がダイナミックに投影できるので、夜景や花火、景色などが綺麗に栄えます。「ハイブライト」モードは明るさを上げる代わりにコントラストが低下するので、使い所を考える必要があります。


ピント性能は良好


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次にさらに小さい10段階のサイズの文字がどこまで見えるか検証します。
測定方法


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア(何番まで読み取れるか)
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 8 | 7 | 7 | 8 |
本機はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
ピントスコアは中央と右上はフルHDの限界の「7」、他は「8」で平均7.6をマーク。フルHDとしては、上々のスコアです。
画質の評価まとめ
- Good
-
・フルHDの高精細な映像
・明るい映像
・高いダイナミックコントラスト比
・RGBバランスが、格安機にしてはかなり良い - Bad
-
・色域の広さはそこそこ
・輝度均一性はそこそこ
格安機は大体カラーバランスや、諧調表現が微妙で、映像を見ても「なんか違う」と思うことが多いのですが、本機は非常にバランスが良い映像に仕上がっています。色域自体は広くはないものの、バランスの制御が上手く、格安機で、ここまで映像が自然な機種は珍しい。
個人的には、5万円以下の機種では最も映像が素晴らしいと感じました。


スピーカーは実用レベル


スピーカー出力は18W×2基で、左右に低音強化のパッシブラジエーターを備えます。本機はDolby Audioの認証を受けているので、一定以上のクオリティーが担保されています。
実際に音を聞いてみると繊細さはやや欠けるものの、内蔵スピーカーとして悪くはない音質で、音量も十分。十分実用的な品質なので、別でスピーカーを用意しなくても映像を楽しめます。
外部スピーカーは、Bluetoothとイヤホンジャックで接続が可能です。
TOPTRO X9の操作性を確認
起動時間は高速
電源をつけてから、自動画面補正終了までがわずか26秒。これは他のOS搭載プロジェクターと比べて、半分程度の時間です。
画面調整は全自動でとても楽


フォーカスと台形補正は全自動で、速度・精度は良好。画面調整の手間とストレスがかからないのはポイントが高いです。
また、スクリーンにサイズを合わせる「スクリーンフィット機能」や、障害物を回避する「自動障害物回避」など高級機に搭載されているインテリジェント機能も完備しています。どんな場所でも位置調整は簡単です。
排気音はそこそこする


排気音は1mの距離で41dBAでした。
これは、図書館の環境音くらいのイメージです。筆者はそこまで気になりませんでしたが、気になる場合は距離を離れて座る等の工夫をすれば大丈夫です。
ゲーム速度はギリギリ許容レベル


4K Lagtestorでの入力遅延の測定結果は下記の通り。
測定条件 | 入力遅延 |
---|---|
標準設定 | 82.4ms |
PCモードON | 65.7ms |
本機は「ゲームモード」は非搭載ですが、PCモードの設定をオンにすると若干速度が上がりました。PCモードONで速度は65.7msと、快適な速度の63msをほんの少しだけ上回りました。


ゲーム性の評価としては、音ゲーや格ゲーなど、シビアなフレームレートを競うゲームは正直向かないと思います。その他ゲームは、神経質にならなければ問題を感じないと思います。
もし、ゲーム性能が高いプロジェクターを探している場合は、以下の記事を参考にしてください。


OSは快適だがアプリ数は限定的


X9は独自のスマートTV OSを搭載。初期アプリとして、Youtube、プライムビデオ、Netflixがインストールされています。アプリの操作性は良好で、特に不満はありませんでした。
一方、アプリストアでの拡張性は正直微妙で、海外の見たことのないサービスがほとんどでした。動作は未確認ですが、HuluとDisney+位しか見覚えのあるサービスはなかったです。TVerや、アベマなど、その他のサービスを利用したい場合は、別途Amazon Fire TV Stickなどを用意する必要があります。
スマホ画面を共有可能


iOS → Screen Shareアプリ
Android → Screen Castアプリ
上記を使用することで、スマホ画面をミラーリングできます。写真をみんなで共有したり、スマホゲームを大画面でプレイしたい場合に活躍します。
個人的に5万円以下最強コスパで激推しの一台
オタクなので厳しめに評価をしましたが、「5万円以下」という価格帯ではこれまで見てきた機種で最も映像が綺麗だと思いました。このクオリティーで3万円はかなりすごいと思います。スピーカーとOSもしっかり実用レベルのものが搭載されていて、満足度を底上げしてくれます。
低予算でホームシアターを組みたい人は、とりあえずX9を購入すればすぐにホームシアターが完成します。入門機として、かなりおすすめの機種です。