みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
今回はAladdinX社から発売された3色レーザーのモバイルプロジェクター、「Aladdin Poca Laser」をご紹介します。
・モバイル最高クラスの550ANSIルーメンの明るさ
・3色レーザーの鮮やかなカラー
・2種類の追加レンズ/ムードライトによる空間演出
・Harman/Kardon製6W×2スピーカー
・最大2.5h持続のバッテリー
・片手サイズの1.3kg
光源に3色レーザーを搭載しているため、モバイル機とは思えない高画質を投影します。また、2種類の追加レンズやムードライト機能といったAladdin X社らしい遊び心も盛り込まれています。
今回はそんなAladdin Poca Laser について、独自のデータを交えながら魅力を解説していきますよ。
スペック
スタンダードモデルであるAladdin Pocaと、ハイエンドモデルであるAladdin Poca Laser の2種類を展開。一番の違いは光源で、下位モデルのLEDに対し上位モデルは3色レーザーを搭載しており、より明るく鮮やかな映像を楽しめます。
| 項目 | Aladdin Poca | Aladdin Poca Laser |
|---|---|---|
| 通常価格 | 69,900円 | 99,900円 |
| 光源 | LED | 3色レーザー |
| 明るさ | 450ANSIルーメン | 550ANSIルーメン |
| 色域 | DCI-P3 90% | BT.2020 110% |
| コントラスト | ダイナミック1500:1 | ダイナミック3000:1 |
| 投射比 | 1.2:1 | 1.2:1 |
| 接続 | HDMI、USB-C(充電) | HDMI、USB-C(充電) |
| バッテリー | 映画2.5h/スピーカー6h | 映画2.5h/スピーカー6h |
| OS | 新Aladdin OS | 新Aladdin OS |
| サイズ | 207.6×96.5×96.5mm | 207.6×96.5×96.5mm |
| 重量 | 1.31kg | 1.32kg |
Aladdin Poca Laserの本体と付属品を確認

ジンバル一体型ボディーはコンパクトで機能的。未使用時はレンズを格納して保護できます。


本体を回転させれば天井投影にも対応します。

充電端子はUSB-Cで、PCやiPadとケーブルを共用できるのは嬉しい。内臓バッテリーの最大稼働時間は2.5hで、キャンプなどの外出先でも活躍できます。

接続端子はUSB-AとHDMIで必要最低限の印象。

サイズはペットボトルを少し太くした位です。重さは1.3kgで、外出先にも持っていけるサイズ感だと思います。


レンズを格納すれば、ムードライトとしても機能します。ムードライトの色は、白・赤・黄・緑・青・紫・ピンク・レインボーの8種類で、明るさは10段階で調整可能です。

付属品は以下の通り。
取説、充電ケーブル、AladdinレンズA/B、リモコン、単4電池

リモコンの主要ボタンは光るので、暗闇でも使いやすい。

通常のリモコンに加えストラップタイプのミニリモコンが付属。これは外出先で役に立ちそうです。

また、Aladdin Xアプリを使うことでスマホでも操作が可能です。iOS/Androidの両方に対応しています。

Aladdin Poca Laserの映像を確認
映像面の注目ポイントは、3色レーザーの光源システムでしょう。
・BT2020比110%の広色域
・高いコントラスト比
・低発熱/低消費電力/長寿命
現状最高の光源である3色レーザーシステムが、小型のボディーに落とし込まれています。
550ANSIルーメンはモバイル機最高クラス
ライト強

ライト弱

暗室




明るさは550ANSIルーメン。明るい部屋は厳しいですが、部屋を少し暗くすれば問題ない明るさです。
実際に100インチで白画面を投影した際の画面中心の輝度を測定してみました。また、100インチの実測値をもとに80インチと120インチの理論上の輝度の計算を行いました。
測定条件
画面サイズ:100インチ、環境:暗室、設定:映画モード、ホワイトスクリーン、ソフト:Calman Studio、測定器:Display PLus HL
備考:設定やスクリーンの種類で輝度は変わるので、あくまで参考としてご覧ください。
| 光出力 | 画面輝度 @80インチ (計算値) | 画面輝度 @100インチ (実測値) | 画面輝度 @120インチ (計算値) |
|---|---|---|---|
| 10 | 48.6nit | 31.1nit | 21.6nit |
| 9 | 43.8nit | 28.0nit | 19.4nit |
| 8 | 38.6nit | 24.7nit | 17.1nit |
| 7 | 33.9nit | 21.7nit | 15.1nit |
| 6 | 28.8nit | 18.4nit | 12.8nit |
| 5 | 24.2nit | 15.5nit | 10.8nit |
| 4 | 19.4nit | 12.4nit | 8.6nit |
| 3 | 15.0nit | 9.6nit | 6.7nit |
| 2 | 14.2nit | 9.1nit | 6.3nit |
| 1 | 13.8nit | 8.8nit | 6.1nit |
DCIのシネマ規格では、
映画館の一般上映 → 48nit
映画館のDolby Cinema上映 → 108nit
と基準が定められています。
80インチでは映画館の一般上映並みの48.6nitと十分な明るさ。100インチ位まで問題ないと感じましたが、120インチでは若干暗いと思いました。
輝度の均一性は高い


照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの誤差は3%以内に収まっており、画面全体の明るさはとても均一です。これは相当優秀な結果で、カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
コントラスト比は良好!黒強調機能も優秀
レーザーはLEDやレザー+蛍光体など他の光源よりコントラスト比が優秀な傾向があります。
実際にネイティブコントラスト比を測定した結果が下記。
| 設定 | コントラスト比 |
|---|---|
| 映画モード | 1159:1 |
他のモバイル機は500:1程度のものが多い中、1000:1を超える本機の数字はかなり優秀です。私がこれまで測定してきたモバイル機の中ではNo.1で、かなり臨場感の高い映像を楽しめました。

BT.2020 110%の鮮やかな色
赤・青・緑の3色レーザーは純粋な光源であるため、その組み合わせであらゆる色を再現が可能です。映像コンテンツ用の色域規格を自在に調整し、オールドシネマから最新のHDRシネマまで完璧に対応します。
Q.色域規格とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。

| 色域 | 特徴 |
|---|---|
| sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
| DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
| BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
色域の広さは光源で決まります。ランプやLEDの格安機は、Rec709もカバーできない場合が多く、ハイスペック機でもP3未満がほぼ限界です。一方で3色レーザーのAladdin Poca LaserはBT.2020 110%の色域を持ち、自在に範囲の調整が可能。
以下のように入力データに応じて色域幅が調整できることがわかります。
※100インチ、カスタムモード(暖色)、Calman Studio、i1 Pro2で測定。スクリーンの種類や設定で測定結果は変わるのでご参考までに。



これはつまり、旧作から最新のデジタルシネマまで、作品のトーンにあわせた画作りができるということです。


ピント性能を確認
画面にとても小さい文字を投影して、ピント性能と解像度をテストします。
測定方法

中央+4隅でテスト

・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央

画面左上

スコア(何番まで読み取れるか)
| 左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
|---|---|---|---|---|
| 8 | 8 | 7 | 8 | 8 |
本機はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
中心と比べ外側は若干ピントが甘くなるものの、フルHDとしては平均的なスコアだと思います。4Kではないので、画面に近づくと若干のドット感は感じますが適切な視聴距離では気になることはないでしょう。
天井投影も楽しめる

本機はスタンド一体型のため、天井投影も簡単です。天井高さ240cmの一般的な部屋で約80インチの大画面を投影可能。このサイズは、ベッドで寝ながら見た時に、視界に広がるちょうどいいサイズでした。
壁にスペースがない家でも、お手軽に大画面を楽しめるのはありがたいですね。
スピーカーはHarman/Kardon製で音質がいい

多くの自動車メーカーも採用している、Harman/Kardon製のスピーカーを搭載。出力は6W×2基です。シネマ、ミュージック、カラオケ、スポーツなどの音声モードがありますが、個人的には「シネマ」がバランスが良くて好きでした。
小型機なので低音の迫力はそこそこですが、ノイズや音割れを感じない心地が良い音を鳴らします。
低遅延のゲームモードを搭載

| 測定条件 | 設定 | 入力遅延 |
|---|---|---|
| フルHD60Hz | ゲームモードOFF | 179.6ms |
| ↑ | ゲームモード標準 (台形補正可能) | 55.4ms |
| ↑ | ゲームモード高速 (台形補正不可) | 22.1ms |
ゲーム速度は快適です。高速設定では20ms台の速度が出るので、激しめのアクションゲームも快適にプレイできます。台形補正を使いながらでも実用的な速度が出るので、総じてゲーム性能は優秀と言えます。
その他の注目ポイント
起動が高速!画面補正も簡単
起動時間は約25秒と、OS搭載プロジェクターとしては高速。
起動後はオートフォーカス、自動台形補正で簡単に画面位置を調整することができます。※台形補正は解像度が低下するのでほどほどに

低発熱で静音性も高い
| 明るさ設定 | ファンノイズ(@1m) | 消費電力 |
|---|---|---|
| 10 | 30.7dB | 37W |
| 1 | 29.7dB | 25W |
レーザーは高効率のため、発熱が低くファンノイズも静かです。明るさ最大でも30.7dbで、これは鉛筆の筆記音並みに静かな音です。モバイル機は枕元に置くような場合も多いと思いますが、発熱も稼働音も小さいためストレスフリーでつかえますよ。
Aladdin OSを搭載

OSはAladdin X社の独自のOSを搭載。下記のような動画配信サービスアプリがありました。動作はかなり快適で、ストレスを感じることはありませんでした。
YouTube、Netflix、プライムビデオ、TVer、U-NEXT、バンダイチャンネル、Disney+、Apple TV+、DAZN ※全てのアプリの動作は確認していません
AladdinOSは便利機能や家族で楽しめるような独自アプリを多数搭載しています。



スマホミラーリングは簡単

デフォルトのミラーリングアプリで、簡単にスマホ画面を共有可能です。最近のスマホはカメラ性能が高いので、撮影した写真や動画を見ると高画質で驚きます。
2種類のAladdin Lensでムードライトを映す

Aladdin Lensは、スリガラスタイプと、広角タイプの2種類が付属。マグネットでワンタッチ接続が可能。取り付け時には「ほしぞらさんぽ」アプリが自動で起動し、映像を選択できます。


広角レンズでは広い面積へ星空や風景の投影が可能です。

すりガラスタイプでは投影映像をぼかすことで、幻想的な雰囲気を演出。

リラックスしたい時のムードライトや、子供とのパーティーなどで使える楽しい機能だと思います。
触って楽しい!本格映像のモバイル機
- 3色レーザーの鮮やかな色
- 優秀なコントラスト比
- ポップでおしゃれな見た目
- 自動補正+ジンバルでどこでも簡単投影
- スピーカーとOS搭載のオールインワンモデル
ついにモバイル機も3色レーザーを搭載する時代になりました。
BT2020比110%の鮮やかな色と、良好なコントラストで、映像は満足感の高いものになっています。輝度は明るい部屋では物足りないものの、カーテンを閉めた薄暗い部屋や夜間では問題なし。画質重視でモバイル機を探しているなら、本機はかなりおすすめできます。
基礎スペックの高さと、Aladdinらしい『楽しさ』や『驚き』がありました。ベッドサイドやキャンプ、友達の家などマルチで活躍できる素晴らしい製品です。

