みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
今回はValerionの最高スペックのプロジェクターVision Master Maxのレビューをしていきます。海外での先行レビューの評価は非常に高く、100万円を超えるクラスの製品とも比較されている注目製品です。
・3色レーザー/4K/3500ISOルーメンで明るく鮮やかな映像
・EBLとIRISによる最大50000:1のコントラスト比
・Anti-RBEによるレインボーノイズの低減
・垂直レンズシフト、光学ズームによる自由な設置性
・240Hz/4ms、ゲーミングプロジェクター並みの応答速度
・Dolby Vison、IMAX Enhanced、3Dなどあらゆる映像フォーマット対応
・最新のGoogleTV搭載
前モデルのVision Master Pro2でも文句のない性能でしたが、本機はそれを超える仕上がりです。IRISの追加は暗室での視聴体験を重視する映画愛好家にとって大きなメリットです。

今回の記事では前モデルからの進化ポイントや、基礎的な性能の評価まで独自データ満載で徹底的にレビューをしていきます。
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VisionMaster Maxのスペック
| 価格※ | 769,846円 ※公式価格。セール時は値引きあり。 |
| 光源 | 3色レーザー |
| 方式 | DLP |
| 明るさ[ISOルーメン] | 3500 |
| コントラスト比 | 5000:1(ネイティブ) 50000:1(EBL+IRIS適応) |
| 色域 | BT.2020 110% |
| 解像度 | 4K UHD (3840×2160) |
| 画像モード | Dolby Vision, IMAX Enhanced, HDR10+,HDR10,HLG, Filmmaker, 24 FPS, 48 FPS,3D |
| 投影距離 | 投写比0.9〜1.5(光学ズーム対応) 40インチ:80〜133cm 100インチ:199〜332cm 120インチ:239〜398cm 150インチ:298〜498cm 180インチ:358〜597cm 200インチ:398〜664cm 300インチ:597〜996cm |
| 台形補正 | 水平/垂直 自動 |
| レンズシフト | 垂直±105% |
| フォーカス | 自動 |
| スピーカー | 2x12W DTS Virtual:X DTS:X, Dolby Audio |
| 騒音(実測値) | 31.3dB |
| 端子 | HDMI×3(1つはeARC)、オプティカルS/PDIF、USB-3.0、USB-2.0、3.5mmAUX、有線LAN |
| OS | GoogleTV(4GB RAM、128GB ROM) |
| Bluetooth | 5.2 |
| WiFi | 6e |
| 入力遅延スペック | 1080P@240Hz=4ms 1080P@120Hz=8ms 4K@60Hz=15ms |
| 寸法[mm] | 260x 186x 234 mm |
| 重さ[kg] | 7.5kg |
前モデルのVisionMaster Pro2と比べ、以下の4つのポイントが大まかな進化ポイントになります。
①IRIS機能の追加
②明るさの向上(3000→3500 ISO)
③レインボーノイズを99.99%低減するAnti-RBEの追加
④垂直レンズシフトの追加
特に注目したいのが可変IRIS(絞り)の追加です。元々優秀なコントラストがどこまで向上しているのか、後ほどじっくりと確認していきます。
VisionMaster Maxの本体と付属品を確認
本体は高級感の高い、革張りの箱に入っています。

VisionMaster Maxはプレミアムな雰囲気が漂うカラーとデザインです。

表面はガラスのようなコーティングが施されています。側面は金属の仕上げで、堅牢さと高級感を感じるデザインです。

下位モデルとはデザインはほぼ共通ですが、Maxの方が指1本分奥行きが長いです。また、レンズも進化しているため見た目が違います。

背面の接続端子はかなり充実。HDMI端子が3つある点と、有線LAN対応が嬉しいポイントです。
HDMI×3(1つはeARC対応)、オプティカルS/PDIF、USB-3.0、USB-2.0、3.5mmAUX、有線LAN

底面には1/4インチのネジ穴と、角度調整ができる折り畳みスタンドとネジ式のリアフットがついています。


重さは7.5kg。どっしりとしていますが、設置には困らないサイズ感です。


付属品は以下の通り。ハイエンド機は大きいACアダプターがついていることが多いですが、小型なのが非常に高評価です。
説明書、クリーニングクロス、リモコン、電源ケーブ

VisionMaster Maxの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
ジェクタ画像はタップで拡大できます
3500ISOルーメンでかなり明るい
ライト強

ライト弱

暗室




3500ISOルーメンはホームプロジェクターとして最高クラスで、多少明るい部屋でも十分に使えます。
輝度のムラは少ない


照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの誤差は7%以内に収まっており、画面全体の明るさはとても均一です。カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
3色レーザーの圧倒的な色域【SDRもHDRも完全再現】
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。

| 色域 | 特徴 |
|---|---|
| sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
| DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
| BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
3色レーザーはLEDやランプ光源と比べて圧倒的に色域が広いのが特徴で、ハイエンドのOLEDテレビや有機ELですらカバーができないBT2020規格にも対応します。

派手で鮮やかなコンテンツはとことん鮮明にできますし、過去の名作は彩度を抑えて当時の雰囲気を完璧に表現することもできます。つまり、表現できる「世界観」の幅が広いのです。
EBLとIRISによる圧巻のコントラスト比
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。

DLPとは思えないコントラスト比の高さこそが、Valerionのプロジェクターが人気を集める大きな理由です。Valerionの独自技術であるEBLに加えて、IRISが追加されたことで黒は更に「漆黒」に近づいています。
EBL(Enhanced Black Level)
EBLは暗いシーンで、ハイライトは明るいままに、黒だけを深めるテクノロジーです。
EBLによる明るさの制御
・シーンに応じてレーザー出力を下げることで黒を深くする
・DMDによるカラーカーブ制御で、ハイライトの明るさは維持する

EBLは画面が暗いシーンほど効果を発揮し、画面内のコントラスト比を飛躍的に高めます。黒は深く明部ははっきりとしているため、映像はダイナミックでディティールがはっきりとわかるんです。

IRIS
IRISは光量を調整するシャッターのようなものです。IRISレベルは0〜6まで手動で設定し、レベルを上げるほど明るさが低下するかわりにコントラスト比が向上します。
以下はIRISの効果を確かめるために、コントラスト比を測定した結果。

EBLとIRISを組み合わせることで、映画モードのコントラスト比は約33000:1まで向上しました。DLPの市場平均は1000:1程度であることを考えると、実測値でこの値は本当に素晴らしいです。もちろんこれまで測定した機種ではNo.1の数字でした。
次にIRISのデメリットである明るさの低下を確認します。
ゲイン1のホワイトスクリーンで、100インチの画面輝度を測定した結果が下記。

IRISのレベルを上げるほど画面輝度は低下し、レベル6では約39%ほど低下しています。しかし、映画館の通常上映が48nit、高品位なDolby Cinema上映でも108nitが上映の基準になっているので、IRIS6の138nitは暗室では十分すぎる明るさです。個人的には100nit台の映像が眩しすぎず好みなので、IRISは強めでも問題ないと思っています。
以下は実際の映像比較。IRISによる黒レベル向上の効果は写真でもわかります。

従来のPro2は、EBLが無効化される条件では黒が完璧でない瞬間もあありました。具体的には、下記のように画面内に「100%のハイライト」が存在し、レーザーの出力を下げられない条件です。しかし、IRISが追加されたMaxでは「全てのシーンで一貫した素晴らしい黒」を体験できます。

この黒表現は従来のDLPプロジェクターでは体験したことのないレベルで、本当に見事です。

HDRトーンマップはHDRの魅力を最大化

HDRコンテンツをリアルタイムで分析し、明るさとコントラストを調整するダイナミックトーンマップ機能を搭載。ハイライト部の露出オーバーや黒の塗り潰れを解消し、HDRの臨場感と視認性を向上させます。
4K映像はとても滑らか
画面にとても小さい文字を投影して、ピント性能と解像度をテストします。
測定方法

中央+4隅でテスト

・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央

画面右上

スコア(何番まで読み取れるか)
| 左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
本機は4Kなので、理論上の限界はスコアは「4」
画面全体が4Kの限界であるスコア「4」になりました。映像は近くで見ても4Kの高精細感がよく伝わります。

あらゆる映像フォーマットに対応

IMAX ENHANCED、Dolby Vision、HDR10+、24fpsや3D等のあらゆる映像フォーマットに対応しているため、映画愛好家も満足できます。
Anti-RBEによりレインボーノイズを99.99%除去
Maxはレインボーノイズを低減するかなり珍しい機能を搭載しています。
- レインボーノイズとは?
-
DLPプロジェクター特有の現象。RGBの三原色が時間的にわずかにずれて見えることで、瞬間的に虹色のにじみが見える現象です。体感には個人差がありますが、DLPのデメリットとして捉えられている。
スローカメラでAnti-RBEの効果を確認したとところ、32倍スローですらRGBの分離が確認しにくくなっているので、その効果はかなり高いと思います。
私はAnti-RBEを使わなくてもレインボーノイズを感じませんが、ノイズに敏感な人にはとても嬉しい機能でしょう。なお、本機能を使うとわずかにファンノイズが大きくなるので、必要な場合のみ使いましょう。
画質の評価まとめ
- Good
-
・明るく広色域、鮮やかな映像
・EBL+IRISで圧倒的な黒表現
・画面輝度やピントが均一
・あらゆる映像フォーマットに対応
・HDRを最適化するトーンマッピング
・レインボーノイズを低減するAnti-RBE - Bad
-
特になし
昨今増えている3色レーザープロジェクターの中でも、画質は特に素晴らしいです。プロジェクターの核となる3色レーザーモジュールや、DMDデバイスは各社近いものが出回っているはずですが、それに付加価値をつけるEBLやトーンマップのソフトウェア、そしてIRISの追加がMaxを特別にしています。50万円前後で最高の映像を追求するなら、本機は今最もおすすめできる製品です。
内蔵スピーカーの音質も良い

スピーカー出力は12W×2基でDolbyAudio対応で、内蔵スピーカーとしてはかなりハイレベルです。このクラスの製品は基本的には外付けスピーカーを用意すべきですが、いろんな場所で使う場合は内蔵スピーカーが役立つでしょう。
VisionMaster Maxはあらゆる面で隙のない性能
起動時間は数秒
瞬時点灯できるレーザーと高性能なOSのおかげで、立ち上げは一瞬です。ほとんどTVを付けるような感覚で、ストレスフリーで起動できます。
垂直レンズシフト搭載

レンズシフトの可動域は±105%で、画質を劣化させずに上下にスライドできます。元々搭載されている光学ズームと合わせることで、配置がとても簡単になりました。個人的には画質が劣化する台形補正は安易に使いたくはないため、この機能の追加は本当にありがたいです。
安心と信頼のGoogleTV搭載

GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSです。YouTubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。128GBのROMと4GBのRAMのおかげで、GoogleTVはとてもサクサクと動きます。
レーザーは静音かつ低発熱

排気音は約31dB@1mとかなり静かなため映像に集中できます。30dB=大体鉛筆の筆記音くらいの大きさです。
レーザーは排熱が控えめなので、夏場などもストレスフリーで使えるのも嬉しいポイントでしょう。
ゲーミングプロジェクター並みの応答速度

| 測定周波数 | 画像モード | 入力遅延 |
|---|---|---|
| 4K60Hz(1080P60Hzも同じ) | 標準 | 138.1ms |
| ゲームモード | 34.3ms (台形補正可) | |
| ゲームモード+DLPターボ | 17.6ms (台形補正不可) | |
| 1080P120Hz | ゲームモード | 20.3ms (台形補正可) |
| ゲームモード+DLPターボ | 11.9ms (台形補正不可) | |
| 1080P240Hz | ゲームモード | 8.7ms (台形補正可) |
| ゲームモード+DLPターボ | 4.6ms (台形補正不可) |
240Hz対応で、入力遅延は最大4.6msとなり応答速度はかなり高速です。BenQのゲーミングプロジェクターと並び全プロジェクター中でも最速クラスで、1フレームを争う対戦ゲームでも快適にプレイできます。
設置のオプションも充実
3脚、ジンバル型卓上スタンド、天吊り金具の3つの専用スタンドも販売されています。豊富なオプションと本体の光学ズーム/垂直レンズシフトを合わせて使うことで、広い部屋から狭い部屋まで取り付けの自由度はかなり高い印象です。
ジェクタ天吊り手順は、以下のYouTube動画で解説しています
Pro2を超えた!3色レーザープロジェクターのチャンピオン
市場に数多ある3色レーザープロジェクターと、Valerionのプロジェクターを分けるのは独自技術です。EBL+IRISによるとても深い黒、そしてAnti-RBEなど、価値の高い技術を持っています。今まで多くの製品を見てきただけに、この技術の素晴らしさには本当に感銘を受けています。

100万円を超えるJVCやSONYのプロジェクターと比較されているのも、とても納得ができました。Maxは一つ一つの映画を特別な体験に変えるので、画質にこだわる「映画愛好家」の方へ自信を持ってお勧めします。

