テレビのような感覚で設置して、大画面を楽しめる超短焦点プロジェクターはとても便利。しかし、20万円以上の高額な製品が多く、現実的にはなかなか手が出しにくい状況でした。
そんな状況に風穴を開けたのが、シーリングライト一体型プロジェクターで有名なAladdin X社。10万円台で買える、リーズナブルな超短焦点プロジェクター「Aladdin Marca」を2023年10月に発売しました。
・壁から24cmで100インチの大画面
・フルHD/1000ANSIルーメンの鮮やかな映像
・映画、ゲーム、音楽をマルチに楽しめる万能性
超短焦点で設置の悩みを解決しながら、大画面の映像を簡単に投影します。

超短焦点プロジェクターは、テレビや普通のプロジェクターにはない独自の魅力がある製品です。今回の記事では、Aladdin Marcaのメリットや使用上の注意点を、独自データや写真を使って解説していきます。
Aladdin Marca のスペック
価格※ | 149,800円 |
光源 | LED+レーザー |
方式 | DLP 0.33″DMD |
明るさ[ANSIルーメン] | 1000 |
解像度 | フルHD |
対応形式 | HDR 10, HLG |
色域 | DCI-P3 82.48%カバー |
セットアップ | 自動台形補正 自動フォーカス 凹凸自動補正 壁色自動適応機能 アイ・プロテクション 常時待機 |
スピーカー | 高音スピーカー 8W + 8W 中低音スピーカー 15W (実用最大出力 31W) |
騒音 | 32dB≦1m |
OS | Aladdin OS |
端子 | HDMI 2.1×2 (HDMI2対応eARC) USB 2.0×2 DC×1 LAN×1 3.5mmAUDIO ×1 OPTICAL ×1 |
Bluetooth | 5.1 |
WiFi | 2.4GH/5GH, 802.11a/b/g/n/ac |
寸法[mm] | 427×263×119mm |
重さ[kg] | 5.31kg |
本体と付属品を確認
本体はファブリック材を取り入れたナチュラルなデザインで、部屋へ自然に馴染みます。




背面の接続端子は充実しています。LANケーブルを有線接続できるのは、結構珍しい。
3.5mmAUDIO ×1、OPTICAL ×1、LAN×1、HDMI 2.1×2(一つはeARC対応)、USB 2.0×2、DC×1

底面にはネジ足×4があり、本体の水平調整が可能です。

サイズは427×263×119mm、重さは約5.3kgで、一人でも簡単に場所移動が可能です。


付属品
ACアダプター、取扱説明書、リモコン、単4電池×2

超短焦点プロジェクター設置のコツ
プロジェクターは購入前に設置のイメージを明確にすることが重要です。短焦点プロジェクターならではの設置のポイントが色々とあるので、以下で紹介します。
投影距離と画面の関係

80インチの場合、映像高さは床面から29cm。床置きだと若干画面高さが低いので、TVボードなど低めの台に置いて使うのが適当だと思います。
平面性が重要!壁か短焦点専用スクリーンに投影しよう


鋭角で投影する超短焦点プロジェクターは、投影面のたわみに敏感です。スクリーンを用意する場合は、フレーム固定式スクリーンや、テンション付き電動スクリーンなどたわみが発生しないものを用意する必要があります。
壁面凹凸補正をかける

どうしても投影面の凹凸を拾うことがあるので、仕上げとして壁面凹凸補正機能を使います。こちらはスマホの「Aladdin X」アプリと連携した機能で、写真データを元に画面歪の矯正を高精度に行ってくれます。
壁が色付きの場合は、壁色補正機能を使う


色付きの壁でも自然に映像が見えるよう補正が可能。この機能のおかげで、投影場所の選択肢が広がります。
Aladdin Marcaの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- カラープロファイル測定
(「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」「コントラスト比」)

画像はタップで拡大できます
明るさは2500ANSIルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








明るさ1000ANSIルーメンは、若干明るい部屋でも映像が視認できる明るさです。もちろん暗室では鮮明で迫力のある映像を投影します。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」の測定を行います。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下はシネマモードの結果。
映像設定 | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
シネマ | 7340K | 329:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ホワイトポイントは若干寒色よりですが、カスタム設定で調整が可能です。
レーザー+LEDのDulal Light光源は色彩が豊か。色域スペックはテレビ放送基準のRec709より広いDCI-P3規格を82.48%カバーします。RGBプロファイルも概ね直線で、明暗表現の精度は高いです。


ネイティブコントラスト比は329:1とそこそこで、ここは上位機種に劣る部分です。もう少し黒が深い方が映像に迫力が出るとは思いますが、明暗のコントロールは適切なので、映像は見にくいとは思いませんでした。


画質の評価まとめ
- Good
-
・フルHDの高精細な映像
・多少明るい部屋でも使える明るさ
・DCI-P3に迫る広い色域
・自然な諧調表現 - Bad
-
・ダイナミックコントラスト比はそこそこ
フルHDの高精細な映像は、十分リビングの主役として実用レベルです。特に色彩の鮮やかさが印象的で、部屋に置いてあったら常につけておきたくなる魅力があると思います。超短焦点はプロジェクターは投影角度のズレに敏感なので、丁寧な初期設定が重要です。
音はとても良い!短焦点ならではの配置メリットあり
通常のプロジェクターは配置が後方になる場合が多く、「映像は前方から」「音は後方から」というチグハグな状況になりがちです。また外付けスピーカーを使う場合も、ケーブルの配線が大変でした。
しかし超短焦点プロジェクターなら、映像も音も前方から自然に届けることができます。





超短焦点プロジェクターは、テレビと同じ感覚で音響配置が可能!
また、Harman/Cardon 製の計31Wスピーカーの音質は良好で、迫力のある音を鳴らしてくれます。個人的には、外付けスピーカーを購入しなくても十分なクオリティーだと思いました。
独自ストアのコンテンツが魅力的


アプリストはGoogle Play Storeではなく、Aladdin Storeという独自ストアからダウンロードします。下記のように、有名な動画配信サービスは概ねラインナップされています。
YouTube、プライムビデオ、バンダイチャンネル、FOD、RakutenTV、Disney+、NetFlix、TVer、ABEMA、hulu、dアニメストア、U-NEXT
※全てのアプリで動作を確認したわけではありません。Netflixは公式ライセンスを受けていませんが、動作は確認できました。対応サービスはアップデート等で変更される可能性があります。
Aladdin Storeでは、スイカゲームや動物図鑑などのエンタメアプリや、壁紙、ヨガ、壁時計など、Aladdin X社のオリジナルサービスを多数配信しています。






そしてカラオケアプリはお家エンタメとして、かなり満足度が高いです。本体のスピーカーから自分の声がちゃんと聞こえてくるので、本当にカラオケ店に行った気分で気持ちよく歌えます。


カラオケアプリは有料で、料金は以下の通り。
プラン | 月額料金 | 内容 |
---|---|---|
お試し | 無料 | 1日1曲無料 |
スタンダード | 550円 | 歌い放題 |
プレミアム | 850円 | 歌い放題 カラオケルーム作成※ カラオケルーム参加 ボイスチャット参加 プレイリスト管理 ※オンラインで一緒に歌える機能 |
550円で歌い放題なので、お店に行くよりかなりお得です。専用マイクが必要になりますが、良い音と映像でカラオケを楽しめるのでとてもおすすめですよ。
Aladdin Marcaの使用感を確認
起動時間は高速!テレビのように起動できる
起動時間は6秒程度で超高速です。Aladdin Marcaはテレビの置きかえを意識した製品でもあるので、この起動速度の速さにはこだわりを感じます。
排気音はとても静か
排気音は<32dB@1mということで、鉛筆の筆記音くらいのイメージです。超短焦点プロジェクターは、視聴者とプロジェクターの距離が離れるので、ファンの音がより気になりにくいのもメリット。100%映像に集中できます。
ゲームモード搭載で低遅延


測定周波数 | 画像モード | 入力遅延 |
---|---|---|
フルHD60Hz | シネマ | 167.6ms |
ゲーム(ベーシック) | 61.2ms | |
ゲーム(高速)※ | 27.9ms |
ゲームモードの適応で、遅延は27.9msまで高速化できます。1フレームは16.6msなので、遅延は2フレーム以内で、ほとんど体感できないレベルです。
ゲームモードOFFではかなり遅延するので、忘れずに設定変更しましょう。※HDMI接続時は、リモコンのメニューボタン長押しでプロジェクター設定が開けます。
スマホ画面を簡単に共有できる


Aladdin Xのプロジェクターは、最初からAirPlay、Miracast対応でスマホ画面の共有が簡単です。他の人と写真を一緒に見たり、スマホゲームを大画面で見たい時に役に立ちます。
Aladdin Marcaはテレビの代わりに使えるか?
Aladdin Marcaを検討している人の中には、テレビと置き換えて使いたいという人もいると思います。テレビをMarcaに置き換えるメリット/デメリットは下記。
昼によくテレビを見る人は、明るい環境でも使いやすいTVの方が良い気がします。
一方、夜だけTV番組を見る方や、アニメやゲーム、映画に大画面の迫力を求める人は、Marcaに置き換えた方が生活の満足度が上がると思います。MarcaはTVより大画面を写し、未使用時はTVより部屋を圧迫しません。


なお、TV番組を見るためには、レコーダーもしくはチューナーが必要です。レコーダーはDTCP-IP対応のものを利用可能。公式サイトで接続確認済み製品が紹介されているのでご参考ください。
チューナーを購入する方は以下の公式推奨の製品を使うと安心だと思います。
上位機種のAladdin Marca Maxとは何が違う?
上位機種との違いが気になる人がいると思うので、重要な違いをまとめておきます。
項目 | Marca | Marca Max |
---|---|---|
価格 | 149,800円 | 379,800円 |
解像度 | フルHD | 4K |
明るさ | 1000[ANSIルーメン] | 2500[ANSIルーメン] |
コントラスト比※測定値 | 329:1 | 1878:1 |
色域 | DCI-P3 82.48% | DCI-P3 99% |
対応フォーマット | HDR 10, HLG | IMAX Enhanced, Dolby Vision, HDR 10, HLG |
スピーカー出力 | 中高音スピーカー8W×2 低音スピーカー15W (実用最大出力31W) | 高音スピーカー 20W×2 中低音スピーカー 20W×2 (実用最大出力 80W) |
Marca Maxはホームプロジェクター最高クラスの性能で、シネマ最新規格のDolby VisionやIMAX Enhancedに対応します。実際にMarca Maxも体験しましたが、映像の質感がよりリアルで、心を打たれるようなクオリティーでした。


画面に近づくと解像感の差がある
もちろん価格差があるので、最適な機種は人によって変わると思います。予算に余裕がある方は、上位機種も合わせて検討すると良いでしょう。
「Aladdin Marca」という新しい選択肢


以上、Aladdin Marcaのレビューでした。
超短焦点の製品は20万円を超える高級品が多い中、10万円台の選択肢があるのは非常に嬉しいですね。テレビをMarcaに置き換えることで、部屋を美しくしつつ大画面が楽しめます。音質も良好で、別でスピーカーを用意する必要がないのも、嬉しいところでしょう。
スマートに大画面を映すAladdin Marcaに魅力を感じた方は、ぜひ導入を検討してみてください。