超短焦点プロジェクターは、テレビのような感覚で壁際に置けて、テレビよりも大画面を投影できるロマンのあるプロジェクターです。
今回はシーリングライト一体型プロジェクターで有名なAladdin X社が手掛ける、ハイエンドな超短焦点プロジェクターAladdin Marca Maxをレビューしていきます。
・壁から17.8cmで100インチの大画面
・4K/Dolby Vision/IMAX ENHANCED対応の高クオリティーの映像
・昼でも明るい2500ANSIルーメン
・Harman Kardon製/80W/DTS:Xスピーカーによる迫力のあるサウンド
・20ms以下の低遅延なゲーム性能
超短焦点で設置の悩みを解決しながら、家庭用プロジェクターとして最上級の映像を楽しめます。

最先端技術を搭載しているため価格は高額ですが、それに見合う価値は十分にあります。以下で徹底的にレビューしていきますよ。
Aladdin Marca Maxのスペック
価格※ | 379,800円 |
光源 | レーザー |
方式 | DLP 0.47″DMD |
明るさ[ANSIルーメン] | 2500 |
解像度 | 4K |
対応形式 | IMAX Enhanced, Dolby Vision, HDR 10, HLG |
色域 | DCI-P3 99% |
セットアップ | 自動台形補正 自動フォーカス 凹凸自動補正 壁色自動適応機能 アイ・プロテクション |
スピーカー | 高音スピーカー 20W + 20W 中低音スピーカー 20W + 20W (実用最大出力 80W) |
騒音 | 32dB≦1m |
OS | Aladdin OS(Android9.0) |
端子 | AC × 1 HDMI (eARC) × 1 HDMI × 2 USB 2.0 × 3 LAN × 1 3.5mmAUX × 1 OPTICAL × 1 |
Bluetooth | 5.2 |
WiFi | Wi-Fi 6 Dual-band 2.4/5GHz, 802.11a/b/g/n/ac/ax |
寸法[mm] | 144 x 510 x 270 mm |
重さ[kg] | 7.9kg |
本体と付属品を確認
本体はファブリック材を取り入れたナチュラルなデザイン。電源ON/OFFでレンズカバーが開閉し、未使用時はほこりを防いでくれます。



背面の接続端子は充実しています。HDMI×3で複数機器と同時接続できる点と、有線LAN対応が大きな特徴です。
OPTICAL ×1、USB-2.0×3、HDMI ×3(一つはeARC対応)、3.5mmAUDIO ×1、LAN×1

底面にはネジ足×4があり、本体の水平調整が可能です。

サイズは144 x 510 x 270 mm、重さは約7.9kgと少々重いものの、十分両手で持てる重さなので、設置は簡単です。


付属品
電源ケーブル、取扱説明書、リモコン、単4電池×2(写真にはありませんが付属します)

超短焦点プロジェクター設置のコツ
投影距離と画面サイズの関係

壁から18cmで100インチの画面を投影します。床置きだと画面高さが低いので、TVボード位の低めの台に置いて使うのが適当だと思います。
平面性が重要!壁か短焦点専用スクリーンを使おう


鋭角で投影する超短焦点プロジェクターは、投影面のたわみに敏感です。スクリーンを用意する場合は、フレーム固定式スクリーンや、テンション付き電動スクリーンなどたわみが発生しないものを用意する必要があります。
壁面凹凸補正をかける

セッティング後の画面が歪む場合、仕上げとして壁面凹凸補正機能を使います。こちらはスマホの「Aladdin X」アプリと連携した機能で、写真データを元にひずみの矯正を行います。
壁が色付きの場合は、壁色補正機能を使う


色付きの壁でも自然に映像が見えるよう補正が可能。この機能のおかげで、投影場所の選択肢が広がります。
Aladdin Marca Maxの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- 輝度均一性
- カラープロファイル測定
(「ホワイトポイント」「ネイティブコントラスト比」「色域」「RGBプロファイル曲線」)

画像はタップで拡大できます
明るさは2500ANSIルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








明るさ2500ANSIルーメンは、ホームプロジェクターでは最高峰の明るさです。多少明るい部屋でも問題なく映像を楽しめますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」の測定を行います。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下はシネマモードの測定結果。
映像設定 | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
シネマ | 7946K | 1878:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
色域の総面積はDCI-P3より広く、最新のデジタルシネマの色彩を十分に再現します。RGBプロファイル曲線も良好で、明暗のコントロールの精度は高いと感じました。


また、ネイティブコントラスト比1879:1は、これまでレビューしたDLPプロジェクターでも最高の値でした。明暗がはっきりすることで、ダイナミックな映像を楽しめます。


ホワイトポイントは若干寒色寄りなので、気になる場合は「カスタム設定」から暖色を指定しましょう。
各画像モードの測定結果はこちら
画像モード | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
シネマ | 7946K | 1878:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
カラフル | 8297K | 1859:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
スポーツ | 7877K | 1870:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
テレビ | 7893K | 1869:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
カスタマイズ | 7961K | 1854:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ハイパフォーマンス | 7292K | 1847:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
デフォルト設定は、色域が「オリジナル」設定で、DCI-P3規格より少し広い範囲になっています。もし、色が鮮やかすぎると感じた場合は、以下のように色域を狭めることも可能です。
色域指定:オリジナル ※青が測定値、赤は比較対象のDCI-P3規格 | 色域指定:DCI-P3 ※青が測定値、赤は比較対象のDCI-P3規格 | 色域指定:Rec.709 ※青が測定値、緑は比較対象のRec.709規格 |
---|---|---|
![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
色温度を中立の6500Kに近づけたい場合は、「カスタム」設定から暖色を指定しましょう。
映像設定 | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
カスタム(暖色指定) | 6404K | 1556:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
Dolby Vision、IMAX ENHANCEDは映画館並みの感動


Dolby Vision | IMAX Enhanced | |
---|---|---|
概要 | Dolby Laboratoriesが開発したHDR(ハイダイナミックレンジ)映像フォーマット | IMAXとDTSが共同開発した映像と音声の認証プログラム。 |
メインの機能 | 高輝度・広色域・高コントラスト表現 | 拡張アスペクト比+DTS音響 |
メタデータ | 動的メタデータ(シーンごとに調整) | 特別マスタリングだがHDR10が主 |
アスペクト比 | 通常のシネマ比率 | 1.90:1(IMAX画角)で上下に広い |
Dolby Vision、IMAX Enhanced対応は高級機でも稀です。最先端のシネマ基準の精密に制御された映像は、一段上の感動を提供します。
画質の評価まとめ
- Good
-
・4K/2500ANSIルーメン/広色域/高コントラストで最高クラスの基礎スペック
・Dolby Vision、IMAX ENHANCED対応
・カスタマイズ性が高く、好みに合わせた調整が可能 - Bad
-
・特になし。
(強いて言えば、綺麗な映像を見るためには、位置合わせやピント合わせを丁寧に行う必要がある)
2500ANSIの明るさ、デジタルシネマのP3規格を十分にカバーする色域の広さと、良好なコントラスト比でプロジェクターとしての基礎能力がかなり高いです。また、Dolby Visionの映像は圧巻で、私が行っている地方のシネコンより、映像は上だと思いました。
画質面では文句はありませんが、超短焦点プロジェクターは投影角度のずれに敏感なので、丁寧なセッティングが重要だと感じました。
音は最高!配置面でも短焦点の優位性を感じる
超短焦点の大きなメリットが音響です。
通常のプロジェクターは配置が後方になる場合が多いので、「映像は前方から」「音は後方から」というチグハグな状況になりがちです。しかし超短焦点プロジェクターなら、映像も音も前方から自然に届けることができます。


スピーカーは高級車にも採用されている、Harman/Kardon製。Dolby Audio、DTS対応で、中高音スピーカー20W+20W、中低音スピーカー20W+20Wの計80Wもの大出力です。これまでみてきたプロジェクターで、ここまで音圧がある商品は初めてでした。
音にはかなり満足で、基本的には別でスピーカーを用意する必要はないでしょう。
独自ストアのコンテンツが魅力的


アプリストはGoogle Play Storeではなく、独自のAladdin Storeからダウンロードします。下記のように、有名な動画配信サービスは概ねラインナップされています。
YouTube、プライムビデオ、バンダイチャンネル、Disney+、Rakuten TV、FOD、バンダイチャンネル、dアニメストア、hulu、TVer、U-NEXT
※全てのアプリで動作を確認したわけではありません。
NETFLIXはラインナップになかったので、視聴したい場合は外付けストリーミングデバイスが必要です。現在Android TV搭載のストリーミングデバイスが無料で付属するキャンペーンを行なっているので、ぜひ活用しましょう。


Aladdin Storeでは、スイカゲームや動物図鑑などのエンタメアプリや、壁紙、ヨガ、壁時計など、Aladdin X社のオリジナルサービスを多数配信しています。






そしてカラオケアプリはお家エンタメとして、かなり満足度が高いです。本体のスピーカーから自分の声がちゃんと聞こえてくるので、本当にカラオケ店に行った気分で気持ちよく歌えます。


カラオケアプリは有料で、料金は以下の通り。
プラン | 月額料金 | 内容 |
---|---|---|
お試し | 無料 | 1日1曲無料 |
スタンダード | 550円 | 歌い放題 |
プレミアム | 850円 | 歌い放題 カラオケルーム作成※ カラオケルーム参加 ボイスチャット参加 プレイリスト管理 ※オンラインで一緒に歌える機能 |
月550円で歌い放題なので、お店に行くよりかなりお得です。専用マイクが必要になりますが、良い音と映像でカラオケを楽しめるのでとてもおすすめですよ。
Aladdin Marca Maxの使用感を確認
起動時間は12秒
起動時間はかなり高速です。テレビとほとんど遜色のない感覚で、気楽にON/OFFできます。
ゲームモード搭載で、ゲームは低遅延


測定周波数 | 測定条件 | 入力遅延 |
---|---|---|
4K60Hz | ゲームOFF | 141.9ms |
ゲーム(オリジナル) | 34.6ms | |
ゲーム(高速) | 17.9ms | |
フルHD60Hz | ゲームOFF | 142.4ms |
ゲーム(オリジナル) | 34.8ms | |
ゲーム(高速) | 18.1msms |
ゲーム(高速)適応で、遅延は20ms以下まで高速化されます。遅延はほぼ体感できないレベルなので、対戦ゲームも快適にプレイできました。
ゲームモードOFFではかなり遅延するので、忘れずに設定変更しましょう。
排気音はとても静か
排気音は<32dB@1mということで、鉛筆の筆記音くらいのイメージです。超短焦点プロジェクターは、視聴者とプロジェクターの距離が離れるので、ファンの音がより気になりにくいのもメリット。100%映像に集中できます。
スマホ画面を簡単に共有できる


Aladdin Xのプロジェクターは、最初からAirPlay、Miracast対応でスマホ画面の共有が簡単です。他の人と写真を一緒に見たり、スマホゲームを大画面で見たい時に役に立ちます。
Aladdin Marcaはテレビの代わりに使えるか?
Aladdin Marcaを検討している人の中には、テレビと置き換えて使いたいという人もいると思います。TVをMarcaに置き換えるメリット/デメリットは下記。
昼によくテレビを見る人は、明るい環境でも使いやすいTVの方が良い気がします。
一方、主に夜TV番組を見る人や、アニメやゲーム、映画に大画面の迫力を求める人は、Marca Maxに置き換えた方が生活の満足度が上がると思います。使わない間は部屋を圧迫しないので、リビングを広々と気持ち良い空間にしてくれます。


なお、TV番組を見るためには、レコーダーもしくはチューナーが必要です。レコーダーはDTCP-IP対応のものを利用可能。公式サイトで接続確認済み製品が紹介されているのでご参考ください。
チューナーを購入する方は以下の公式推奨の製品を使うと安心だと思います。
下位機種のAladdin Marcaとは何が違う?
上位機種との違いが気になる人がいると思うので、重要な違いをまとめておきます。基本的な使い勝手は変わりませんが、画質と音質に差があります。
項目 | Marca | Marca Max |
---|---|---|
価格 | 149,800円 | 379,800円 |
解像度 | フルHD | 4K |
明るさ | 1000[ANSIルーメン] | 2500[ANSIルーメン] |
コントラスト比※測定値 | 329:1 | 1878:1 |
色域 | DCI-P3 82.48% | DCI-P3 99% |
対応フォーマット | HDR 10, HLG | IMAX Enhanced, Dolby Vision, HDR 10, HLG |
スピーカー出力 | 中高音スピーカー8W×2 低音スピーカー15W (実用最大出力31W) | 高音スピーカー 20W×2 中低音スピーカー 20W×2 (実用最大出力 80W) |
解像度、明るさ、色域、コントラスト比など、プロジェクターとしての基礎能力に結構差があります。以下は2機種の画質比較で、Marca Maxはよりリアリティーの高い映像を投影します。


画面に近づくと解像感の差がある
Marca Maxは価格が高い分の品質は確かにあります。予算に応じて、適切な方を選択すると良いでしょう。
Aladdin Marca Maxはお家エンタメを劇的に変える


以上、Aladdin Marcaのレビューでした。
下位機種のAladdin Marcaからの映像の進化に驚きました。これまで様々なプロジェクターを触ってきましたが、20cmの投影距離でこれだけ綺麗な映像を映せるのは革新的だと思います。映像だけでなく音も素晴らしく、これ一台でホームシアターを完成させる力を持っています。
4K・100インチの映像は毎日のエンタメを劇的に変えるので、気になる方はぜひ購入を検討してみてください。