みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
近年、ホームプロジェクターの進化は凄まじいわけですが、「ついにここまで来たか」と感じるハイスペックな製品に触ることができました。それが今回紹介するXgimiのHORIZON S Maxです。
・最高峰のクオリティーを再現する、Dolby Vision/IMAX Enhanced対応
・Dual Light光源/BT.2020広色域/3100ISOルーメン/4Kの最高峰の基礎スペック
・Android TV搭載で様々なサービスを楽しめる
・12W×2基のharman/kardonスピーカー搭載
・ジンバル一体型で快適な操作性
ホームプロジェクターの大手メーカーXGIMIの最上位製品です。注目は3色レーザー+LEDを光源にもちいたDual Light2.0システムによる映像美で、厳しい規格であるIMAX Enhancedに認証されたことがクオリティーを証明しています。

今回はそんなHorizon S Maxについて、独自のデータや写真を使って魅力を解説していきますので、プロジェクター選びの参考にしてください。
HORIZON S Maxのスペック
HORIZON S Maxは、XGIMIのハイエンドプロジェクターHORIZONシリーズの最上位機種に当たります。
- HORIZON S MAX/(329,800円)/トリプルレーザー+LED、iMax Enhanced、Dolby Vision対応、最も明るい最上位モデル
- HORIZON S PRO/(249,800円)/トリプルレーザー+LED、Dolby Vision対応、S Maxよりお手頃
- HORIZON Ultra/(279800円)/トリプルレーザー+LED、Dolby Vision対応、1世代前の最上位モデル
- HORISON Pro/(197,800円)/LED光源の4K入門機
- HORIZON/(129800円)/フルHDモデル
価格※ | 329,800円 |
光源 | デュアルライト2.0テクノロジー (3色レーザー+LED) |
方式 | DLP |
明るさ[ISOルーメン] | 3100 |
コントラスト比 | ダイナミック 1000000:1 |
色域 | BT.2020 110% |
解像度 | 4K UHD (3840×2160) |
画像モード | HDR10、HLG、Dolby Vision、IMAX Enhanced |
投影距離 | 投写比1.2 50インチ:1.3m 120インチ:3.2m 180インチ:4.8m |
台形補正 | 水平/垂直 自動 |
フォーカス | 自動 |
スピーカー | 12W×2 Harman/Kardon ドルビーオディオ、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス、DTS-HD、DTS-Studio Sound |
騒音 | <28dB@1m |
端子 | DC×1 HDMI×1(eARC対応) USB×2 |
OS | Android TV11.0 |
Bluetooth | 5.1 |
入力遅延 | <20ms (自動台形補正オフ) |
WiFi | 2.4G/5G |
寸法[mm] | 234 x 273 x 174mm |
重さ[kg] | 約4.8kg |
投影距離と画面サイズの関係は、XGIMIプロジェクションプランナーサイトで計算するとイメージしやすいです。

本体と付属品を確認

正面のレンズカバーは、電源ON/OFで開閉し、未使用時の埃を防いでくれます。そして何より、開閉ギミックは特別感がありかっこいいです。


ジンバル一体型で位置合わせが簡単。可動域は左右360°、上下135°で天井投影にも対応します。


底面には3脚用の1/4インチのネジ穴があります。

背面の接続端は、必要最低限の印象です。
HDMI(eARC)×1、USB-A(2.0)×2

本体の重さは約4.8kg。下位機種のHorizon S Proと筐体は同じで、比較的コンパクトなサイズ感です。


付属品
電源ケーブル、取扱説明書、リモコン、単4電池×2

HORIZON S Maxの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。

画像はタップで拡大できます
「3色レーザー+LED」と「3色レーザー」設定はどっちが良い?
本体起動時に「Dual Light2.0(3色レーザー+LED)」と「3色レーザー光源」のどちらかを選択しますが、説明を読んでも違いがピンとこない人が多いと思います。


これについては、基本的にはDual Light2.0がおすすめです。私の方で、2つのモードを比較した結果は以下。
- Dulal LightはLED光を追加している分、映像が明るい。
標準設定50インチ:Dual Light=743cd/cm2、3色レーザー=553cd/cm2と約1.3倍の差があった - ネイティブコントラスト比は、若干3色レーザーが高い。だが、大きな差はない。
- 色味はDual lightの方が自然に感じた。
- 色域をBT.2020に設定する場合は、3色レーザーの方が適切
好みは分かれるかもしれませんが、個人的には、Dual Light2.0の方が明るく自然に感じました。
また、Dual Lightモード2.0はスペックルノイズや色滲みを防ぎ、目の負担を軽減する効果もあります。 (詳細は公式サイトを参照)


基本はDual Lightモードで良いと思います。色域を最大限まで広げたい場合は3色レーザーを使っても面白いでしょう。
光源:Dual Light


光源:3色レーザー


以下の画質検証は、Dual Light2.0モードで行いました。
明るさ3100ISOルーメンはかなりの明るさ
ライト強


ライト弱


暗室








部屋のライト全灯でも視認できるくらい、映像は明るいです。暗室では眩しいくらいの光量で、迫力がある映像を投影します。
輝度のムラは少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの誤差は6%以内に収まっており、画面全体の明るさはとても均一です。カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」「ネイティブコントラスト比」の測定を行いました。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下は「映画」モードの測定結果。
画像モード | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
映画 | 6723K | 1052:1 (コントラスト拡張→1611:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3の色域によく一致しています。これは普段見ているTV放送の標準色域(Rec709)より1.25倍広域で、とても鮮やかな色を表示します。色の正確さを表すΔEは1以下(スペック)で、お手本と色の区別がつかないレベルで、色精度は良好です。
下位機種と比べより明るく鮮明な映像は、被写体の質感を高いリアリティーで表現します。


ネイティブコントラスト比は約1050:1と下位機種のHorizon S Pro(約800:1)やHorizon Pro(約600:1)から進化をしていました。また、設定で「コントラスト拡張」を選ぶことで、輝度は若干低下するものの、約1600:1までコントラストが高くなります。DLPで1600:1は優れた値で、映像をダイナミックに映します。


各画像モードの測定結果はこちら
画像モード (Dual Lightで測定) | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
標準 | 8426K | 1053:1 (コントラスト拡張→1630:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
映画 ★おすすめ設定 | 6723K | 1052:1(コントラスト拡張→1611:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
スポーツ | 8443K | 1059:1(コントラスト拡張→1640:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
明るい | 9445K | 1061:1(コントラスト拡張→1634:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ソフト | 8270K | 950:1(コントラスト拡張→1444:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ハイパワー | 6470K | 1058:1 ハイパワー設定はコントラスト拡張不可 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
もし、更に広い色域を体験したい場合は、光源を3色レーザーモードにして、カスタム設定から色域をBT.2020を選択することで、下記のようにBT.2020規格まで色域を拡大できます。前述の通り、3色レーザーモードでは輝度は低下しますが、色域は最大まで拡張できます。
画像モード (3色レーザーで測定) | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※広い方が好ましい ※青が測定値、白はBT.2020規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
カスタム (色域BT.2020を指定) | 9142K | 1189:1 (コントラスト拡張→1783:1) | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
解像感を確認
画面にとても小さい文字を投影して、ピント性能と解像度をテストします。
測定方法


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア(何番まで読み取れるか)
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
本機は4Kなので、理論上の限界はスコアは「4」
画面全体が4Kの限界であるスコア「4」になりました。映像は近くで見ても高精細で、これまで見てきた4K機種の中でも高レベルです。


Dolby Vision、IMAX Enhancedで気分は本格シアター


Dolby Vision | IMAX Enhanced | |
---|---|---|
概要 | Dolby Laboratoriesが開発したHDR(ハイダイナミックレンジ)映像フォーマット | IMAXとDTSが共同開発した映像と音声の認証プログラム。 |
メインの機能 | 高輝度・広色域・高コントラスト表現 | 拡張アスペクト比+DTS音響 |
メタデータ | 動的メタデータ(シーンごとに調整) | 特別マスタリングだがHDR10が主 |
アスペクト比 | 通常のシネマ比率 | 1.90:1(IMAX画角)で上下に広い |
Dolby Vision、IMAX Enhanced対応は高級機でも稀です。最先端のシネマ基準の映像は、普段テレビで見る映像とは格の違いを感じます。正直、私の近所のシネコンより映像のクオリティーは上だと思いましたので、本機を購入すれば映画館に行く回数は減るんじゃないでしょうか。
旧作映画も鮮やかに甦らせる


4Kの最新映像は言わずもがな、旧作映画の視聴もかなりおすすめ。BT2020やDCI-P3相当の色域の鮮やかな色と、高精細な4K画質で、リマスターされたかのような感覚で楽しむことができます。もし、色が鮮やかすぎると感じた場合は、画像モードを「カスタム」の暖色設定にし、色域はRec.709を指定すれば旧作っぽい色味で楽しむことも可能ですよ。
画質の評価まとめ
- Good
-
・明るく、鮮やかで高精細な4K映像
・ネイティブコントラスト比約1600:1
・画面の明るさや解像度が均一
・Dolby Visionの圧倒的な視聴体験 - Bad
-
特になし
(強いて言えば、デメリットというよりは好みの問題ですが、デュアルライトは色味がナチュラルで優しいので、鮮烈さや派手さを好む人には最適解でない・・かも。)
Dual Light2.0はLEDとレーザーの中間の良いとこ取りをしたような絶妙なチューニングだと思います。鮮やかだけど自然さを感じる映像は、他にはない持ち味でしょう。光源モードが2つあることで映像設定の幅も広く、触っていて楽しい機種でもあると思いました。
harman/kardon製スピーカー内蔵!Dolby Atomos対応で音も最高級


スピーカーはHorizon S Proと共通のスペックで、Harman/Kardon製の12W×2基のスピーカーを搭載。ノイズレスでセリフは聞き取りやすく、効果音などの繊細な音も的確に表現していると思います。
音響効果は「Harman Kardonオリジナル」と空間オーディオを再現する「DTS-Virtual:X」があり、かなり特徴が変わるので聴き比べると面白いです。



DTS-Virtual:Xはよくここまで立体感が出るなと驚きました
外部スピーカーとの接続方法は、BluetoothかHDMI(eARC)の2択になります。イヤホンジャックや光デジタルなどの出力は不可なので、スピーカー選びの際は注意してください。
Horizon S Maxの使用感を確認
起動時間は52秒だが再起動は高速
電源をつけてからOS立ちあげ、リモコン操作可能まで52秒で、OS内蔵プロジェクターとしては標準的な時間でした。2回目以降はスリープモードで電源を切ることで、数秒程度での高速起動が可能です。
画面補正は自動・高速で快適


自動フォーカスと台形補正は映像を途切れさせることなく、高速で行われます。これにより、セットアップはストレスフリーで起動時の心理的なハードルは全くありません。
また、センサーを使ったインテリジェント機能が搭載されていて、セットアップのお手軽さはかなり追求されています。


Android TV11搭載で様々なサービスに対応


Google純正OSを積んでいるので、対応アプリ数が多く動作も快適。Youtube、プライムビデオ、Disney Plus、TVerなど、お馴染みのアプリはだいたい網羅されています。
一つ残念な点は、Netflixがネイティブアプリで見られないこと。Netflixユーザーは、別途Amazon Fire TV Stickなどのストリーミングデバイスが別途必要です。
排気音はとても静か
排気音は<28dB@1mということで、明るいのにとても静かです。これは鉛筆の筆記音より静かなイメージなので、コンテンツに100%集中することができます。
ゲームは高速で快適


測定周波数 | 画像モード | 入力遅延 |
---|---|---|
4K60Hz | 標準 | 142ms |
ゲーム(低レイテンシ) | 34.9ms | |
ゲーム(超低レイテンシ)※ | 18.1ms | |
1080P60Hz | 映画 | 142ms |
ゲーム(低レイテンシ) | 35ms | |
ゲーム(超低レイテンシ)※ | 18.2ms |
ゲームモードは4K60Hzで18.1msと、かなり高速。1フレーム=16.6msなので、遅延は2フレーム未満に抑えることが可能です。ネット対戦ゲームも快適な速度で、遅延が気になることはなかったです。
スマホ画面を簡単に共有できる


IOS → MagiCastアプリ
Android → GoogleHOME
上記方法で、簡単にスマホ画面を共有できます。他の人と写真を一緒に見たり、スマホゲームを大画面で見たい時に役に立ちます。
HORIZON シリーズはどれを選ぶべきか?


機種(タップで記事リンクへ) | 映像 | 特徴 |
---|---|---|
HORIZON Pro 197,800円 | ・4K ・LED ・1500ISOルーメン ・色域:Rec709+α ・ネイティブコントラスト比:約600 ・HDR10 | お手頃価格で4K映像を楽しめる |
HORIZON S Pro 249,800円 | ・4K ・Dual Light2.0 ・1800ISOルーメン ・色域:Rec709,DCI-P3,BT.2020で指定可能 ・ネイティブコントラスト比:約800:1 ・HDR10、Dolby Vision | Dual Lightにより広色域、高コントラスト比で、DolbyVision対応 |
HORIZON S Max 329,800円 | ・4K ・Dual Light2.0 ・3100ISOルーメン ・色域:Rec709,DCI-P3,BT.2020で指定可能 ・ネイティブコントラスト比:約800:1〜1600:1(コントラスト拡張) ・HDR10、Dolby Vision、IMAX ENHANCED | HORIZON S Proより力強い、究極のリアリティーを追求した映像 |
3機種全て体験しましたが、上位機種になるほど映像体験の格が上がります。もちろん価格も上がりますが、それに見合うだけの感動があり、一つ一つの映像コンテンツをより特別な思い出にしてくれます。
これはいくつものプロジェクターを見てきた結論ですが、高い製品はやはり良いです。まず、余裕のある予算を組んで、その中で1番良い製品を選ぶべきだと思います。
安心して使える最高クラスの4Kプロジェクター
いつも見ている映画、ドラマ、アニメ、ゲームの映像を最高の体験へとアップグレードしてくれます。Dual Light2.0は目の負担が少ないことがSGSで認証されているため、長時間視聴したい場合や、子供がいる家庭でも選びやすい機種だと思います。
かなりハイスペックな一台なので、予算に余裕がある方はぜひご検討ください。