みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
今回はJMGO最高スペックのモンスターマシン、N1S Ultimateをレビューしていきます。
・4K×3色レーザーと圧倒的な明るさによる最高の映像
・ジンバルシステムで、天井/壁に自由自在に映像を投影
・10W×2ステレオスピーカー、Google TV搭載のオールインワンモデル
これまで60機以上の機種をレビューした中で画質最高の機種はN1S Ultra 4Kでしたが、それを超えたのは最新機のN1S Ultimate 4Kでした。
明るく高色域の映像は「見る」というより「浴びる」という感覚で、これぞまさに映像体験。映画館のような圧倒的な感覚を味わえます。
N1S Ultimate 4Kのスペックを確認

詳細スペックは、上記をご参考ください。
以下はN1Sシリーズの映像スペックをまとめたものです。
機種名 | 価格 | 解像度 | 光源 | 明るさ 【ISOルーメン】 | コントラスト比 | 色域 |
---|---|---|---|---|---|---|
N1S Nano | 92,180円 | フルHD | LED | 460 | 400:1 | Rec.709 127% |
N1S | 149,380円 | フルHD | 3色レーザー | 850 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S 4K | 194,480円 | 4K | 3色レーザー | 1100 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Pro 4K | 296,780円 | 4K | 3色レーザー | 2350 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Ultra 4K | 342,980円 | 4K | 3色レーザー | 2800 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Ultimate 4K | 397,980円 | 4K | 3色レーザー | 3300 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
今回「N1S Nano」、「N1S 4K」とともに発売された「N1S Ultimate」は、N1Sシリーズの最上位機種です。4K×3色レーザー×3300ISOルーメンの明るさで、N1Sシリーズ最高の映像を投影します。
気楽に買える価格ではありませんが、理想のホームシアターを追求する人のためのハイエンド機です。
N1S Ultimate 4Kの本体と付属品を確認
本体正面にはレンズと画像センサー、ジンバル台の下部に電源ボタンがあります。

ジンバルによる上下の回転は最大135°。


上位機種は底面の台座が360度回転可能。これにより上下左右思い通りの場所に簡単に映像を映せます。


電源ケーブル差し込み口はジンバルの根元。

背面には各種接続端子。HDMIが2口なのはうれしい。

重さは4.5kg。なかなか重いので、運搬の際はご注意を。


購入時のケースは、キャリーバッグとしても使用可能。

付属品はリモコン、電源ケーブル、説明書です。

N1S Ultimateの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- 輝度均一性
- Display Plus HLによる測定
(「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」) - コントラスト比
- ピント性能
- スペックルノイズの確認

画像はタップで拡大できます
3300ISOルーメンでとても明るい!
ライト強


ライト弱


暗室








明るさスペック3300ISOルーメンは、昼間プレゼンテーションに使えるレベルの光量。
日中も軽くカーテンを閉めれば映画を楽しめますし、夜間は圧倒的な明るさで臨場感がさらに高まります。
画面の輝度ムラが少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。右の図が測定結果で、最も明るい場所を100とした場合の輝度分布です。
スコア
9点の平均:98
最小値:95(右上)
明るさの平均スコアは98で、とても優秀です。
カラーやコントラストが画面全体で一貫した心地よい映像が見れますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」「コントラスト比」の測定を行います。
ホワイトポイント
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
以下は各映像モードのホワイトポイントの測定値。
画像モード | ホワイトポイント※ |
---|---|
標準 | 9536K |
ビビット | 9558K |
ソフト | 7876K |
映画 | 7032K |
オフィス | 7038K |
ユーザー※設定は初期値 | 8440K |
ユーザー(暖色) | 7089K |
ユーザー(寒色) | 9550K |
標準やビビット等は映像が寒色寄りのためクールでシャープな印象を受け、また明るい部屋での視認性に優れます。中立寄りの映像が好みなら、「映画」モードや「ユーザー(暖色)」モードの使用がおすすめです。
さらに暖色にしたい場合は、ユーザーモードで手動調整を行いましょう。
色域
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
以下が色域の測定結果。青線が測定値で、それぞれの比較対象としてsRGB、P3、BT.2020で近いものを載せています。
















3色レーザー搭載のN1S Ultimate 4Kは公式スペックでBT.2020,110%オーバーの圧倒的な色域の広さを誇りますが、画像モード毎に色域規格を使い分けているようです。
N1S Ultimate 4Kの色域を最大限に生かした映像を望むなら、自然界に存在する色を99.9%カバーするBT.2020に色域が近い「ビビット」や「ユーザー」設定がおすすめ。
これまで見たことのないくらい色彩の豊かな映像を楽しむことができました。





この色域の広さは、3色レーザーでしか出せない強みでしょう
もし「ビビット」モードが鮮やかすぎると感じた場合は、P3相当の「標準モード」やsRGB/rec709相当の「映画モード」等、コンテンツに合わせた色域を意識して設定を変更すると良いでしょう。


RGB プロファイル補正カーブ
RGBプロファイルの補正カーブは基本的にRGBが直線になることが望ましいです。
















※RGBプロファイルに補正をかけるための曲線です。実際のRGB出力の強度の関係は、上下逆で考えてください。
所々赤の出力が弱めなところもありますが、直線性は良好です。
これまで評価してきた機種の中でもかなり優れていると思います。
コントラスト比は優秀
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


コントラスト比のスペックは1600:1です。
DLPプロジェクターでダイナミックコントラスト比1000:1以上出るのは相当優秀です。黒が深くハイライトは明るいので、メリハリのある映像を楽しむことができますよ。


ピント性能はとても優れている


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次に更に厳しいテストとして、10段階の極小サイズの文字がどこまで見えるか検証します。
測定方法


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れるレベルの限界があります。
製品の解像度 | 読み取りの限界(理論値) |
---|---|
HD | レベル10も読めない |
フルHD | レベル6まで読める |
4K | レベル4まで読める |
8K | レベル1まで読める |
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
N1S 4Kは4K解像度なので、理論上の限界はスコアは「4」
ピントのスコアは4K画質の理論上の限界値である「4」をマーク。中心はもちろん、4隅もピントがバッチリ合っています。
ピント性能は相当素晴らしいと思います。
もしピントがイマイチ合わないと感じた場合は、オートフォーカスの設定を行ってみてください。以下のように、ピントをバッチリと校正してくれます。


スペックルノイズはしっかり対策されている


スペックルノイズはレーザー光が画面に反射した際の干渉(強め合いや弱めあい)により発生する、レーザープロジェクター特有の映像のざらつきです。
以前他社の三色レーザープロジェクターを使った際は、ノイズが気になりましたが、N1S シリーズは独自の光学エンジンにより、97%以上のノイズ除去に成功しているとのこと。実際にノイズの発生がないか、様々な動画や、カラーの単色画面を投影して確認しましたが、私の目では気になるようなノイズはわかりませんでした。
スクリーン材の凹凸が見えるくらい近づいても映像はキレイです。


スペックルノイズはスクリーンの種類によっても程度が変わるようなので、もし違和感を感じた場合はスクリーンとの相性を疑ってみてください。ちなみに、私はゲイン1.1のこちら
※ノイズの感じ方には個人差があります。絶対ノイズが見えないことを保証はできませんので、ご了承ください。
画質の評価まとめ
- Good
-
・輝度ムラが少ない
・圧倒的な色域の広さ
・豊富な映像モードを使い分けできる
・コントラスト比が高い
・ピント性能が高い
・スペックルノイズを感じなかった - Bad
-
・強いていえば・・・とても明るいので、使用環境を選ぶ
改めてデータをとると、3色レーザーのテクノロジーの凄さに驚きました。圧巻の色域の広さと、最高クラスの明るさ、深い黒で最高級の品質の映像を映します。
弱点は特に思い浮かばないのですが、強いていえば明るさのオーバースペックにお気をつけください。画面サイズは100インチ以上が推奨なので、N1S Ultimate 4Kのポテンシャルを活かせる環境でご使用ください。
スピーカーの音はクオリティが高い


10W×2基のステレオスピーカーを内蔵しており、音量がなかなかでます。Dolby Audio、DTS HDに対応したクリアなサウンドは音やセリフが聞き取りやすく、十分に映画やゲームを楽しむことができます。
設定も充実しています。
サウンドスタイル:「標準」「音楽」「映画」「スポーツ」
ダウンミックスモード:「ステレオ」「サラウンド」
しかしあくまで内蔵スピーカーの音には限界があるので、音もこだわりたい場合は外付けスピーカーを用意しましょう。本機はHDMI(eARC)、イヤホンジャック、Bluetoothによる音声出力に対応しています。
N1S 4K Ultimateの使用感を確認
起動時間は43秒
電源を入れてから、操作が可能になるまでの時間を計測したところ43秒でした。Google TV搭載型は45〜50秒程の製品が多いので、標準的な速度だと思います。
N1S Ultimate 4Kはスリープモードを搭載しているので、電源を抜かなければ2回目以降の立ち上げは数秒ほどになります。
リアルタイムの画面補正が優秀


ジンバルの動きに合わせた高速フォーカス/台形補正は、N1Sシリーズの十八番。映像を途切れさせることなく補正を行い、精度も申し分ありません。
また壁だけでなく、天井に向けた際にもしっかりと画面補正をしてくれるのは素晴らしいところ。
排気音は非常に静か


スペックによると騒音は26dB以下。
実際確認したところかなり静かで、映画を見ている間個人的には気にならないレベルの音でした。これほどの明るさのプロジェクターで駆動音が静かなのははすごい。
消費電力は低い
スペックによると消費電力は240W以下ですが、使用条件によって変わるので消費電力計で測定しました。
画像モード | 明るさ | 消費電力 | 1時間の電気代※ |
---|---|---|---|
標準 | 1 | 62 | 1.9円 |
10 | 144 | 4.5円 | |
ユーザー | ウルトラ明るさ | 187 | 5.8円 |
高効率のレーザー方式なので、明るさの割には電気代はかなり抑えられてる方です。
例えば、EPSONのランププロジェクターeh-tw5650は、明るさが2500lmとN1S Ultimateより低いにも関わらず消費電力は実測値で270Wでした。他の方式と比べると、高効率のレーザーは消費電力が優れています。
リモコンはスマートで使いやすい


音声入力ボタンや、人気動画サービスへの直通ボタンが付いていて、使い勝手に優れます。重さ46g(電池抜き)、細身で持ちやすい点もGood。
Bluetoothでペアリングされているため、動作速度も快適で特に不満はありません。
内蔵OSは安心のGoogle TV


GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSでしょう。YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、公式認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。
対応サービスが充実しているので、Amazon Fire TV Stickなどを外付けする必要がありません。
HDMIケーブルを挿したままの天井投影には注意


外付けのゲーム機やBlu-rayプレイヤーとHDMI接続したまま天井投影しようとすると、HDMIケーブルが干渉して完全に真上への投影はできません。
L字のHDMI変換アダプターで解決できるのですが、下の写真のようにオス側の根本が長い物は回転できないので注意してください。




ゲーム性能はかなり高い


プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。
以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。
◾️入力遅延
【フルHD/60Hz測定】
低遅延モードOFF:141.9ms
低遅延モード:35.1ms
超低遅延モード:18.3ms
【4K/60Hz測定】
低遅延モードOFF:141.8ms
低遅延モード:35.1ms
超低遅延モード:18.3ms
※超低遅延モードでは台形補正が不可能になる代わりに、応答速度が向上します。
※測定値は機差や測定精度のばらつきを含む可能性がありますので、ご留意ください。
今回新たに超低遅延モードが搭載されたことで、下位機種のN1S Ultra 4Kよりも更に快適にゲームをプレイできるようになりました。超低遅延モードは、4K/フルHDともに18.3msでかなり高速。
1フレーム=16.7msなので、プロジェクター由来の遅延は1〜2フレーム程度に抑えられます。ほとんどのゲームで遅延は体感できないレベルだと思います。
まとめ:最高の映像を楽しめるモンスターマシン
これまでレビューした63機の中で、画質は最高だと思いました。
3色レーザーによる広い色域と、高い輝度で、圧倒的な映像を表現します。新作の4K UHD映像はもちろんのこと、お気に入りの旧作映画も、まるでリマスターされたかのような鮮やかな映像で映します。色域の広さを生かし、画像モード毎に雰囲気をガラリと変えられるのも素晴らしいところで、作品に合わせた調整が可能です。
価格は高いですがそれに見合うだけの感動を味わえるので、最高のシアター環境を目指す人におすすめです!