今回はXGIMIから発売された新型の3色レーザープロジェクター、HORIZON 20 Maxをレビューていきます。XGIMIの新技術を搭載した、過去最強スペックのモンスターマシンです。
・5700ISOルーメンの圧倒的な明るさ
・3色レーザーの鮮やかで正確なカラー
・垂直/水平レンズシフト+光学ズーム
・VRR/240Hz対応で最強のゲーム性能
・GoogleTV搭載
XGIMI製品のすごいところは、毎回マイナーチェンジではなく技術革新を伴う進化をしていることです。
5700ISOルーメンの明るさはとてつもなく、昼間も軽くカーテンを閉めるだけで映画を楽しむことができます。また光学ズームとレンズシフトも搭載しており、設置性はDLPプロジェクターで頭一つ飛び抜けたと思います。さらに最速1msのゲーム性能は過去最強で、全方位隙がない進化を遂げています。
以下でその実力を確認していきましょう。
YouTubeでも紹介しました!
スペック
HORIZON 20シリーズは、明るさの異なる3グレードを展開。Maxはその最上位モデルにあたります。

10/15〜11/12 先行セール価格↓
・Horizon 20:245,900円 + 専用スタンドプレゼント
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・Horizon 20 Max:419,900円 + 専用スタンドプレゼント

本体と付属品を確認
持ち運びに便利な収納ケースつき。


全体的なフォルムは前モデルのHORIZON Sシリーズを踏襲。プラスチック材+フロントのメタルパーツの構成です。カラーは前モデルより重厚感があり、プレミアムな印象を受けます。

レンズ脇には多数のセンサーがあり、自動台形補正やアイプロテクションなどの高度な画面補正に使われます。

ボディーはジンバル一体型構造。底面は3脚用のネジ穴と、360度回転できるターンテーブルを搭載しています。


接続端子は豊富。HDMIはeARC対応なので、高品質音声データの外部出力が可能です。
光デジタル、USB3.0×1、USB2.0×1、HDMI×2、AUX

明るさ5700ISOルーメンと最高峰ながら、重さは5.4kgで取り回しやすいサイズ感です。


付属品は、ACアダプター、説明書、リモコンです。アダプターはサイズが大きいのが少し気になりました。

リモコンを傾けると主要なボタンが光ります。

別売りで専用スタンドも販売されています。ACアダプターを底面に収納でき、安定感もあるのでリビングで使いたい人におすすめです。


起動と画面補正
起動時間は33秒とGoogleTV搭載型としては高速です。コンセントを抜かなければ、スタンバイモードのような形で電源が切れるため、2回目以降の立ち上げは10秒程度とさらに高速。
画面補正は、自動台形補正、オートフォーカス、スクリーンフィットなど従来の機能は引き続き搭載しています。それに加えて、垂直120%、水平45%のレンズシフト、投射比1.2〜1.5の光学ズームを新搭載。これにより正面以外からでも画質を劣化させずに位置調整が可能になりました。



レンズシフトと台形補正の併用はできません。位置調整は光学ズーム+レンズシフトを活用し、最高の画質で楽しむのがおすすめ。台形補正は角度がきつい場合の最終手段にしましょう。
HORISZON 20 Maxの映像を確認
前モデルHORIZON Sシリーズの3色レーザー+LED構成に対し、HORIZON 20シリーズは純粋な3色レーザー機構へと変更し、より鮮やかな見た味の映像になっています。
特に注目したいのが、合計40個のレーザーダイオードによる光源システムです。

従来よりも多い光源数により、5700ISOルーメンの圧倒的な明るさを実現しています。また、負荷の減少や安定性の向上なども見込まれるはずです。
明るさは比類なき5700ISOルーメン
ライト強

ライト弱

暗室




明るさ5700ルーメンはホームプロジェクターとして圧倒的で、多少なら明るい部屋でも視聴が可能です。
実際に100インチで白画面を投影した際の画面中心の輝度を測定してみました。また、100インチの実測値をもとに80インチと120インチの理論上の輝度の計算を行いました。
測定条件
画面サイズ:100インチ、環境:暗室、設定:映画モード(D65)ズームは最大(=望遠端)、ホワイトスクリーン(ゲイン1.0)、ソフト:Calman Studio、測定器:Display PLus HL
備考:設定やスクリーンの種類で輝度は変わるので、あくまで参考としてご覧ください。
光出力 | 画面輝度 @80インチ (計算値) | 画面輝度 @100インチ (実測値) | 画面輝度 @120インチ (計算値) | 画面輝度 @140インチ (計算値) |
---|---|---|---|---|
10 | 503nit | 322nit | 223nit | 164nit |
9 | 485nit | 310nit | 215nit | 158nit |
8 | 460nit | 294nit | 204nit | 150nit |
7 | 433nit | 277nit | 192nit | 141nit |
6 | 408nit | 261nit | 181nit | 133nit |
5 | 378nit | 242nit | 168nit | 123nit |
4 | 355nit | 227nit | 158nit | 116nit |
3 | 325nit | 208nit | 145nit | 106nit |
2 | 297nit | 190nit | 132nit | 97nit |
1 | 269nit | 172nit | 119nit | 88nit |
DCIのシネマ規格では、
映画館の一般上映 → 48nit
映画館のDolby Cinema上映 → 108nit
DCI D-Cinema HDR → 300nit(技術上限)
と基準が定められています。
本機は正直80インチで使うには明るすぎるので、最低100インチ以上での使用を推奨します。暗室では目が疲れないように100nit 台に設定し、昼は最大輝度で使うのがいいと思います。
多少ならば外光は問題なし。この明るさは唯一無二だと思います。

輝度の均一性は高い


照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの誤差は7%以内に収まっており、画面全体の明るさはとても均一です。カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
コントラスト比は良好!DBLEでコントラストを拡大
レーザーは他の光源よりコントラスト比が優秀ですが、本機はさらにレーザー出力をシーンに合わせて調整するDBLE※機能を搭載しています。これにより実用シーンで、従来モデルよりかなり高いコントラスト比を実現。※DolbyVision時は設定不可

光学ズーム搭載プロジェクターは、
ズーム最小(広角端)→ 明るさUP・コントラストDOWN
ズーム最大(望遠端)→ 明るさDOWN・コントラストUP
の傾向があるため、測定はズーム最大とズーム最小の2パターンで行いました。以下が測定結果です。

EBLE ONではコントラスト比が約 10,000:1 と、実測値としては非常に優れた結果を記録しました。実用的な条件下でこの数値は非常に優秀であり、本機の光学性能の高さを物語っています。
明暗のメリハリは映像の奥行きや立体感を生み、視聴者に強烈な印象を刻み込みます。ハイエンド機では特に注目すべきスペックです。

注意点としては、EBLE設定時は光出力の設定は常に最大設定になります。ここは可変できるようにアップデートされることを期待します。
BT.2020 110%の鮮やかな色
赤・青・緑の3色レーザーは純粋な光源であるため、その組み合わせであらゆる色を再現が可能です。映像コンテンツ用の色域規格を自在に調整し、オールドシネマから最新のHDRシネマまで完璧に対応をします。
Q.色域規格とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。

色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
色域の広さは光源で決まります。ランプやLEDの格安機は、Rec709もカバーできない場合が多く、ハイスペック機でもP3未満がほぼ限界です。一方で3色レーザーのHORIZON 20 MaxはBT.2020 110%の色域を持ち、自在に範囲の調整が可能。
以下は各色域を指定したときの色域の実測値で、各規格に正確に対応しています。
※100インチ、映画モード(暖色)、Calman Studio、i1 Pro2で測定。スクリーンの種類や設定で測定結果は変わるのでご参考までに。



これはつまり、往年の名作から最新のデジタルシネマまで、作品本来のトーンにあわせた画作りができるということです。

ピント性能も抜群
画面にとても小さい文字を投影して、ピント性能と解像度をテストします。
測定方法

中央+4隅でテスト

・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央

画面左上

スコア(何番まで読み取れるか)
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
本機は4Kなので、理論上の限界はスコアは「4」
画面全体が4Kの限界であるスコア「4」になりました。映像は近くで見ても高精細で、これまで見てきた4K機種の中でも最高レベルです。
Dolby Vision、IMAX Enhancedで気分は本格シアター

Dolby Vision | IMAX Enhanced | |
---|---|---|
概要 | Dolby Laboratoriesが開発したHDR(ハイダイナミックレンジ)映像フォーマット | IMAXとDTSが共同開発した映像と音声の認証プログラム。 |
メインの機能 | 高輝度・広色域・高コントラスト表現 | 拡張アスペクト比+DTS音響 |
メタデータ | 動的メタデータ(シーンごとに調整) | 特別マスタリングだがHDR10が主 |
アスペクト比 | 通常のシネマ比率 | 1.90:1(IMAX画角)で上下に広い |
Dolby Vision、IMAX Enhancedなど最先端のシネマ基準に対応。輝度と彩度をダイナミックレンジで表現する映像は、一段上の感動を生み出します。
Dolby Visionの映像では、DBLE設定が無効になります。その代わり、ドルビーシネマの設定項目から、画面サイズと画面ゲインを選ぶことで、想定される画面輝度に適した明暗レベルが調整されます。

Dolby Visionはここを設定しないと白飛びや黒浮きの原因になるので、忘れないようにしましょう。
AISR(AI Super Resolution)は効果を実感

低解像度コンテンツを補正するAISR機能を搭載。試しにDVD(720P)の映像で、ON/OFFの比較を行ったところ、結構効果を感じました。さすがにネイティブな4Kデータには及びませんが、ディティールがはっきりした印象になります。GEOやTSUTAYAでDVDを借りる機会が多い人は重宝する機能だと思います。
ゲーム性能は過去最高の1ms
結論からいうと、ゲーム性能はこれまで見た製品で過去最高でした。
スペック値は以下の通り。

これまで測定した機種では、60Hzの最速は17ms台、120Hzは12ms台、240Hzは4ms台でしたが、それらを大幅に上回るスペックです。
実際に測定を行った結果が下記。

測定周波数 | 設定 | 入力遅延 |
---|---|---|
4K60Hz (1フレーム=16.7ms) | ゲームモード:低遅延 OFF | 画面上 106.4ms 画面中 114.8ms 画面下 121.9ms |
↑ | ゲームモード:低遅延 ON | 画面上 2.7ms 画面中 11.0ms 画面下 18.3ms |
1080P120Hz (1フレーム=8.3ms) | ゲームモード:低遅延 ON VRR ON | 画面上 1.8ms 画面中 5.5ms 画面下 9.2ms |
1080P240Hz (1フレーム=4.2ms) | ゲームモード:低遅延 ON VRR ON | 画面上 0.8ms 画面中 2.8ms 画面下 4.6ms |
画面上側の測定値はスペック値に非常に近く、入力信号に対してほぼ即時に映像が表示されていることを示しています。多くのDLPプロジェクターは、最低でも1フレーム分のバッファを設けた上で、画面全体(上中下)を同時に更新します。一方で本機は、バッファをほとんど設けずに入力データをリアルタイムで上から順に描画している可能性が高く、その結果として遅延1フレーム未満という驚異的な速度を実現しています。
さらに、本機はプロジェクターとしては珍しい**VRR(可変リフレッシュレート)**に対応。ゲーム機側のフレームレート変動に合わせてリフレッシュレートを同期させることで、かくつきやティアリングを抑制します。

反応速度が求められる対戦ゲームでも快適なプレイが可能。ゲーミング用途として現時点で最高峰のプロジェクターと言って差し支えないでしょう。
スピーカーの音質は良好

harman/kardon製、12W×2基のスピーカーを搭載。音割れや籠りを感じないクリアなサウンドで、内蔵スピーカーとしてのクオリティーは最高クラスだと思います。
標準、映画、スポーツ、げーむ、ユーザーDTS-VXなどサウンドスタイルの選択が可能。さらにスピーカー遅延の手動調整や、セリフ・ボーカルを強調する「ダイアログエンハンサー」など、調整項目も豊富です。

毎度申し上げている通り、4Kプロジェクターは映像が素晴らしすぎるので、外付けスピーカーを用意して最高の環境で楽しむことを個人的にはお勧めします。しかしスピーカーの予算がない場合や、場所移動をして投影する場合などは、内蔵スピーカーでも気楽に楽しめるクオリティーがあると思います。
その他
GoogleTV搭載であらゆるコンテンツを楽しめる

OSは安心と信頼のGoogleTV。HorizonSシリーズはAndroidTVだったので、ここは嬉しい進化ポイントです。プロジェクターでは非対応のことが多いNetflixにもしっかりと対応しています。4GBのRAMで、かなり快適に動作をします。
3D映画もかなり鮮明

想定外のメリットは、3D映画との親和性の高さです。
3D映画はメガネ越しに見るため暗くなりがちなのですが、本機はとても明るいため、3Dメガネをかけた状態でも非常に鮮明に映像が見えました。これは結構衝撃的でした。
私はXGIMI製の3Dメガネを愛用していますが、3000円程でバッテリー持ちもよく、とても快適に使えています。
配信サービスでは3D映像を視聴できませんが、GEOやTSUTAYAなどでレンタルできるタイトルも多いので、ぜひ気になるタイトルで楽しんでみてください。
進化しすぎて恐ろしい!最新技術がとことん詰まっている

圧倒的な明るさ、ゲーマーも満足するゲーム性能、そしてレンズシフトによる設置性と、同価格帯の他の機種が持っていない特徴を3つも持っています。特に明るさについては突出しているので、昼からコンテンツを楽しみたい人、100インチ以上の大画面で映像を楽しみたい人には心からお勧めです。
その裏返しになりますが、明るすぎには注意が必要で、100インチ未満での使用には向かないと思います。また天井投影の場合も明るすぎると思います。これらの場合は、下位モデルのHORIZON 20や、過去モデルのSシリーズの方がおすすめです。
映画、ゲームに3Dとあらゆるコンテンツを100%引き出せる、素晴らしい製品だと思いました。価格は高いですが、それに見合う以上の価値がありますので、気になる方はぜひ購入を検討してみてください。