みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
今回はJMGOから新たに発売された小型のジンバル一体型プロジェクター、N1S Nanoをご紹介。
・N1Sシリーズ最軽量、最安のグレード
・お手軽に美しい映像を楽しめる
・Google TV、5W×2スピーカー搭載のオールインワンモデル
・ジンバルシステムで壁も天井も簡単に映せる
・モバイルバッテリーとの組み合わせで、ポータブル使用も可能
N1Sシリーズで最も安価、軽量で、気楽に使えるのが特徴です。
画質は上位機種に劣りますが、「ポータブル性」という独自の魅力も備えます。ジンバル機構にGoogle TV、高音質のスピーカー搭載と総合力が高く、コスパに優れる製品です。
本記事ではそんなN1S Nanoの魅力を徹底的に解説していきますので、ぜひプロジェクター選びの参考にしてください。
N1S Nanoのスペック

詳細スペックは上記をご参考ください。
以下はN1Sシリーズの映像スペックをまとめたもの。
機種名 | 価格 | 解像度 | 光源 | 明るさ 【ISOルーメン】 | コントラスト比 | 色域 |
---|---|---|---|---|---|---|
N1S Nano | 92,180円 | フルHD | LED | 460 | 400:1 | 127% | Rec.709
N1S | 149,380円 | フルHD | 3色レーザー | 850 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S 4K | 194,480円 | 4K | 3色レーザー | 1100 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Pro 4K | 296,780円 | 4K | 3色レーザー | 2350 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Ultra 4K | 342,980円 | 4K | 3色レーザー | 2800 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Ultimate 4K | 397,980円 | 4K | 3色レーザー | 3300 | 1600:1 | BT.2020 area 110% |
N1S Nanoはシリーズ初のLED光源のモデルで、3色レーザーに性能は劣るものの、お手軽に大画面を楽しめます。またポータブル性/設置性の高さは、上位機種に勝る魅力です。

画質は十分に美しいので、例えば寝室で気楽に映像を楽しむ入門機として最適なモデルでしょう。
N1S Nanoの本体と付属品を確認
本体は男女問わず使えそうなベージュトーンの落ち着いたカラーリング。正面にはレンズと画像センサー、下部に電源ボタンがあります。

Type-Cの電源差し込み口は側面にあります。ジンバルによる回転は最大127°で、壁投影だけでなく天井投影も対応します。


背面には各種接続端子。

底面には三脚用の1/4インチのネジ穴がありますが、本機はジンバル一体型なので、あまり使用する機会はないでしょう。
N1S Nanoの重さは約1.8kgで、片手で持てるくらいのサイズです。


購入時のケースは、キャリーバッグとしても使用可能。

付属品はリモコン、Type-C電源ケーブル、説明書です。

N1S Nanoの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- 輝度均一性
- Display Plus HLによる測定
(「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」) - コントラスト比
- ピント性能

画像はタップで拡大できます
明るさは460ISOルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








N1S Nanoは明るい部屋での使用は厳しいですが夜間は十分に鮮やかな映像を投影します。明るすぎない上に、目に優しいブルーライト低減モードも搭載しているので、寝る前に寝室で使うのにちょうど良いと思います。
輝度のムラは少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。右の図が測定結果で、最も明るい場所を100とした場合の輝度分布です。
スコア
9点の平均:96
最小値:90(右上)
明るさの平均スコアは96で、画面全体の明るさはかなり均一です。
カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」の測定を行います。
ホワイトポイント
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
以下は各映像モードのホワイトポイントの測定値。
画像モード | ホワイトポイント※ |
---|---|
標準 | 10327K |
ビビット | 12400K |
ソフト | 9974K |
映画 | 7150K |
オフィス | 7141K |
ユーザー※設定は初期値 | 9906K |
アウトドア | 6624K |
「標準」モードは寒色寄りなので、明るい部屋での視認性に優れ、クールな印象を受ける映像に仕上がっています。暗室で映画を見る場合は、ホワイトポイントが中立に近い「映画」モードがおすすめです。「アウトドア」モードは、直射日光下でもみやすい特殊なバランスに調整しているようなので、暗室での使用は控えましょう。
色域
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
以下が色域の測定結果。青が測定値で、緑線のsRGB/rec.709領域と比較しています。












ビビットモードが最も色域が広く、彩度が高い映像を楽しめることがわかります。広色域のビビットモードを主体に、色温度の好みで標準、ソフト、映画、を使い分けるのが良いと思います。


RGB プロファイル補正カーブ
RGBプロファイルの補正カーブは基本的にRGBが直線になることが望ましいです。












※RGBプロファイルに補正をかけるための曲線です。RGB出力強度は、上下逆で考えてください。
映画・オフィスを除いでは、高輝度域で若干赤が強目に見えますが、概ね直線性は良好だと思います。
コントラスト比
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


コントラスト比のスペックは400:1。
スペックはそこそこですが、顕著な黒浮きはなく映像は自然に感じました。


ピント性能はなかなか


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次にもう少し厳しいテストとして、更に小さい10段階のサイズの文字がどこまで見えるか検証します。
測定方法
※下の写真はN1S Nanoの投影映像ではありません


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
本機はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
ピントのスコアはフルHDプロジェクターとしては標準的なレベルだと思いました。
ピントが合いにくいと感じたら、設定で「オートフォーカスの調整」機能を使って、ピントを校正しましょう。


画質の評価まとめ
- Good
-
・映像モードが豊富
・カラーの発色が良い
・明るさの均一性が高い - Bad
-
・コントラスト比はそこそこ
小型ですが映像は美しかったです。色味が自然なので、普段見ているスマホやTVのような映像を違和感なく大画面で楽しむことができます。
壁投影と天井投影の両方に対応できるので、寝る前に寝室での使用にマッチすると思いました。
音は想像以上に良い


小型なので、音質はどうか?と思っていましたが、想像以上に良い音で驚きました。
5W×2機のステレオ構成のスピーカーはDolby Audio対応で、バランスよくチューニングされている印象を受けました。N1S Nanoは画面OFFの状態でBluetoothスピーカーとして使用できるので、昼間スマホで音楽を再生したいときにも役立ちそうです。
あくまで内蔵スピーカーの音には限界がありますので、更に音質を追求する場合はHDMI(ARC)やイヤホンジャック、Bluetoothで外部スピーカーと接続しましょう。
N1S Nano使用感を確認
起動時間は45秒
電源を入れてから、操作が可能になるまでの時間を計測したところ45秒でした。Google TV搭載型は45〜50秒程の製品が多いので、標準的な速度だと思います。
N1S Nanoはスリープモードを搭載しているので、電源を抜かなければ、2回目以降の立ち上げは数秒ほどになります。
リアルタイムの画面補正は優秀


N1S Nanoは台形補正とフォーカスが全自動。ジンバルの動きに合わせて、映像を途切れさせることなく補正を行い、精度も申し分がありません。
壁だけでなく天井に向けた際にもしっかりと画面補正をしてくれるのは素晴らしいところ。
排気音は非常に静か


スペック値では騒音は26dB以下。
実際に確認したところ確かに静かで、映画を見ている間個人的には気にならないレベルの音でした。
消費電力は低い
スペックによると消費電力は65Wですが、使用条件によって変わるので、実際に消費電力計で測定してみました。
画像モード | 明るさ | 消費電力 | 1時間の電気代※ |
---|---|---|---|
標準 | 強化モード | 43W | 1.3円 |
標準モード | 25W | 0.8円 | |
省エネモード | 19W | 0.6円 |
明るさ最大でも、計測値は43Wでした。1時間の電気代は1円ちょっとの計算ですので、毎日使ったとしても家計に打撃は与えないと思います。
排気の熱もあまり熱くなかったので、夏でも使いやすいでしょう。
モバイルバッテリーを使用できるType-C端子搭載
Type-C端子はPD3.0、65Wの急速充電をサポート。モバイルバッテリーと組み合わせることで、外出時の映像投影が可能になります。これはN1SシリーズでNanoだけの強みです。
日常の使用シーンにおいても、Type-C電源はPCなどと共有できるので使い勝手に優れています。
リモコンはスマートで使いやすい


音声入力ボタンや、人気動画サービスへの直通ボタンが付いていて、使い勝手に優れます。重さ46g(電池抜き)、細身で持ちやすい点もGood。
Bluetoothでペアリングせれているため、動作速度も快適で特に不満はありません。
内蔵OSは安心のGoogle TV


GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSでしょう。YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。
対応サービスが充実しているので、Amazon Fire TV Stickなどを外付けする必要がありません。
HDMIケーブルを挿したまま、天井投影する際は注意


HDMIケーブルを接続したまま天井投影しようとすると、干渉して完全に真上への投影はできません。
L字のHDMI変換アダプターで解決できるのですが、下の写真のようにオス側の根本が長い物は回転できないので注意してください。




ゲーム性能はかなり高い


プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。
以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。
◾️入力遅延【フルHD/60Hz測定】
低遅延モードOFF:61.5ms
低遅延モードON:22.3ms
※低遅延モードでは台形補正が不可能になる代わりに、応答速度が向上します。
※測定値は機差や測定精度のばらつきを含む可能性がありますので、ご留意ください。
低遅延モードは22.3msで、これまで測定したフルHD機種の中でもトップクラスの速度。
1フレーム=16.7msなので、プロジェクター由来の遅延は1〜2フレーム程度に抑えられます。ほとんどのゲームでは、遅延は体感できないレベルだと思います。
実際にマリオやモンハンをプレイしましたが、オフラインはもとより、オンラインの協力プレイでも普段通りの感覚で楽しむことができました。
まとめ:小型だが映像は綺麗!入門機におすすめ
小型、軽量なので、家の中で簡単に場所を移動して、映したい場所に自動補正ですぐ映像を投影できます。デザインがおしゃれで、操作性が良好なので、使っていて気持ちのいい機種だと思いました。
映像は夜間なら十分綺麗で、音質もよし、OSはGoogle TVと、コンパクトながら完成度の高いです。コスパの良く、使いやすい小型機を探している人におすすめです。