みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
今回レビューするプロジェクターはDangbeiのAtomです。こちらはALPDレーザーを搭載していて、フルHDモデルの中では最上位クラスの映像を楽しめる製品です。
実際に使ってみた感想としては、サイズに対しての性能が驚異的。
映画館のような本格的な映像を楽しみたいど、「大きい製品を家に置きたくない」と悩んでる人は、Atomを買えば全て解決します。
今回は画質、音質、使い勝手まで徹底的に調査しましたので、ぜひプロジェクター選びの参考にしてください。
Dangbei Atomのスペック
公式価格は134,800円ですが、Amazonでは10万円前後で販売されている場合もあるので、セールの状況次第ではお得に購入できます。
Atomの本体と付属品を確認
早速本体を確認して行きましょう。

正面にレンズと補正用のセンサー、側面にはスピーカー口があります。


本体形状は19.5cmの正方形で、厚みは4.8cm、重さは1.28kg。片手で楽々持てるサイズ感で、どんな部屋でも設置しやすいでしょう。


背面には排熱口と各種接続端子があります。

底面に三脚用のネジ穴があるので、角度を調整したい場合はこちらに別売りの三脚を取り付けます。


三脚は一般的なネジ径1/4インチのものが使用できる他、専用の卓上スタンドも販売されています。
\専用卓上スタンド/
付属品は以下の通りです。電源アダプターが若干大きめなのは気になりました。
リモコン、電源ケーブル、取扱説明書

Atomの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- カラープロファイルの測定
- 映像の視認性
- 色味
- 解像度
- 明るさの均一性

写真をタップで拡大できます
カラープロファイルの測定
プロジェクターのカラーキャリブレーションツール(Dispaly Plus HL)を使い、Atomの映像の特徴を確認していきましょう。
まずは映像モードごとのホワイトポイント、コントラスト比の測定を行います。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みに合わせ使い分けられます。
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下は各画像モードのホワイトポイントとコントラスト比の測定値。※測定はCalibrite Diaplay Plus HLで行った。輝度は全て「標準」設定。
画像モード | ホワイトポイント※ | コントラスト比 |
---|---|---|
標準 | 8717K | 585:1 |
↑色温度(ウォーム) | 6762K | 572:1 |
鮮明 | 7908K | 592:1 |
映画 | 7277K | 550:1 |
↑色温度(ウォーム) | 5881K | 541:1 |
ゲーム | 8864K | 566:1 |
標準設定はホワイトポイントが寒色寄りのため、映像はシャープで新しい印象を受けます。
暖かい映像が好みの場合は、「映画」モードの色温度ウォーム設定がおすすめで、中立の6500Kを目指すなら、「標準」の色温度ウォーム設定がおすすめになります。
次に色域の測定結果です。色域が広いほど、再現できる色の範囲が広く、映像が鮮やかになります。












※青線が測定値で、緑線がPCコンテンツ向けの標準的な色域を表すsRGB領域です
・青の色域が広い(青レーザーを光源に使っているためか?)
・ウォーム設定時は、緑の色域が広がる
・ウォーム設定時は、ほぼsRGB領域はカバーできている
次に、RGBプロファイルカーブを見て見ましょう。












※プロファイル曲線なので、補正をかけるための曲線です。実際のRGB出力の強度の関係は、上下逆で考えてください。
※RGBは直線で重なってるのが好ましいです。
「鮮明」モードと「ゲーム」モードは傾きが寝ていて、X=1の時、Y=0.9位になっています。これは、この2つのモードはガンマ値が2.2より低い設定になっていることを示唆しています。平たく言うと、全体の明るさのトーンを上げるような設定です。映像を見た時の感触が変わるので面白いと思います。
色の正確性でいうと、映画モードがRGBの直線が良く重なってしているように見えました。
設定で見え方が変わるので、色々いじってみると面白いと思います。


※以下、実機の映像確認は出荷設定(標準モード/色温度標準)で行っています。
1200ISOルーメンは昼でも使える明るさ
ライト強


ライト弱


暗室








結構明るいので、昼でもカーテンを閉めれば大画面の映像を楽しむことができます。
寝室で寝る前に使う場合や、100インチ未満で使用する方は、これより明るい機種だと正直オーバースペックになる可能性もあります。1200ISOルーメンは刺激が強すぎないけど、鮮やかに見える絶妙な明るさラインだと思います。
カラーは濃く美しい
元画像


Atom


元画像


Atom


レーザーによる映像は塗り分けがしっかりできていて、とてもシャープな印象を受けました。色のバランスが優れていて、安価なプロジェクターで感じるような違和感はありません。
コントラスト比は中々高い


コントラスト比は標準モードで585:1。明るさが1200ANSIルーメンあるので、明暗のメリハリの効いた臨場感の高い視聴体験ができます。
映像で少し気になる点
黒、若しくは濃い灰色のシーンのみ、画面に1mくらいまで近づくと、写真のようなチラつきをわずかに感じました。(スペックルノイズ?)


1.5m位離れるとチラつきは全く感じず、画面は美しく見えます。これは画面サイズが大きくても小さくても同じです。


1mの距離で視聴する人はいないと思いますし、限定的な条件で発生する事象です。Youtubeの他のレビューワーも指摘していなかったので、個人的には問題ないと思っていますが、一応気になる点としてお伝えしておきます。
フルHDの解像度で、小さい文字も視認できる


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次に、実用レベルではでは使わないレベルの小さい文字を投影し、10段階のサイズのどこまで見えるか検証してみます。中央、4隅の計5箇所を測定。フルHDプロジェクターは、理論的にはサイズ「6」が視認の限界で、5以降は必ず潰れます。




以下は測定結果です。
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 8 | 7 | 8 | 8 |
中央は、理論上のフルHDの限界に近い、7まで視認でき、4隅は8まで視認ができました。線は細く描けていて滲みも少なく、ピント性能は優秀だと感じました。


輝度のムラは少ない


照度計で画面の明るさを9点測定、最も明るい場所を基準(100)としている
照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認してみます。測定結果で、最も明るい場所を100とした場合の輝度分布です。
スコア
9点の平均:96
最小値:90(右上)
平均の明るさが95を超えるのは相当優種で、画面全体が均一に美しいのがAtomの特徴の一つです。



総じて、映像はかなり優秀だと思います
音質はこもりがなくクリア


スピーカーは5W×2基のステレオ構成で、「Dolby Digital」「Dolby Digital Plus」のフォーマットに対応。音質は素直にいい音で、籠りや音割れ等の不満はなく、実用レベルのクオリティーです。
しかし、ボディサイズが小さいこともありサラウンド感や低音の迫力については限界があります。
このままでも十分使えますが、物足りない場合はサウンドバーやスピーカー構成を検討して、オーディオ環境を整えましょう。Bluetooth、イヤホンジャック、HDMI(ARC)で対応機器への音声出力が可能です。
Dangbei Atomの使い勝手を確認
起動時間は56秒


電源を入れてからGoogleTVの起動が約51秒、そこから自動フォーカスを行い計56秒でリモコン操作が可能になります。少し待ちますが、GoogleOS搭載型のプロジェクターは、大体このくらいは時間がかかるものです。
全自動でリアルタイムの画面補正


垂直/水平方向の台形補正とフォーカスはセンサーによる自動調整です。補正速度が驚異的で、ほぼリアルタイムで画面を長方形に整えてくれます。精度も実用レベルで、初心者でも短時間で画面調整が可能です。
また、通常の画面補正機能に加え、下記のインテリジェンス機能を搭載。あまり使う機会はない気はしますが、技術力の高さには感心します。
・スクリーンフィット機能
→センサーがスクリーンを感知し、はみ出ないサイズへ修正
・障害物回避機能
→障害物を検知して避けるよう投影する
もちろん自動調整で思い通りにならない場合は手動調整も可能なので、どんな状況にも対応できます。
ファンの音は静か


ファンノイズはスペック値で、標準モード<24dB @25℃とのこと。
実際排気音を確認しましたが、かなり静かなので映画を見ていて気になることはありませんでした。
消費電力を確認


スペックによると消費電力は80W。
使用条件によって消費電力は変わってきますので、実際に測定してみました。
輝度設定 | 消費電力 | 1時間の電気代※ |
---|---|---|
標準 | 60W | 1.9円 |
ecoモード | 50W | 1.6円 |
ハイパフォーマンス | 74W | 2.3円 |
1時間あたりの電気代は、2円前後のイメージ。
レーザー光源は明るいのに消費電力は控え目なので、毎日使ったとしても電気代はそこまで上がらないはずです。
リモコンはスマートで使い勝手よし


リモコンはスリムな縦長でおしゃれ。
重さ66gで手への収まりがよく、グリップ位置を変えずに全てのボタンに親指が届きます。Youtube、Netflix、プライムビデオへの直通ボタンや、音声検索ボタンなど気の利いたボタンが配置されています。
そしてよく使うのが、側面の2つのボタン。


ワンボタンでプロジェクターメニューを起動できるので、何か調整したい場合は、とりあえず下の方の黒いボタンをタップすればOKです。
内蔵OSはGoogle TVで安心


GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSでしょう。
YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。
ほとんどAmazon Fire TV Stickが内蔵されているようなクオリティーなので、別途ストリーミングデバイスを用意する必要がありません。
低遅延のゲームモード搭載


プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。
以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。
◾️入力遅延【フルHD/60Hz測定】
標準モード → 65.9ms
ゲームモード → 32.5ms
1フレーム=16.6msなので、ゲームモードは2フレームくらいの遅延のイメージです。プロジェクターの中では、かなり高速だと思います。
実際にマリオやスマブラ、モンハンをプレイしましたが、全く遅延がわからなかったので、1フレームを追い求めるようなガチゲーマーの方以外は問題なくプレイできるのではないでしょうか。
スマホミラーリングはAir Screenアプリで行う


iOS/Androidスマホの画面共有をしたい場合は、AirScreemアプリを使用します。
接続手順
・プロジェクターにAir Screenアプリをダウンロード
・プロジェクターとスマホを同じWifiに接続する
・Air Screenアプリを起動し、画面の指示に従う
最近はスマホカメラの撮影品質が向上しているので、大画面で投影すると思った以上に綺麗で驚きますよ。
まとめ:小型で綺麗!満足のユーザー体験を提供
Atomはオールインワンモデルとして完成度が高く、小型ボディーに沢山の技術が詰まっています。
映像のクオリティーも徹底的に評価しましたが、かなり良いと感じました。レーザーの映像は明るく、鮮やかで、発熱も少ないです。
Atomより更に明るい製品になると、大型で仰々しいサイズになってくるので、カジュアル使いの終着点にある機種だと思います。どこでも置けるサイズなので、壁/スクリーンさえあれば部屋の家具配置を変えずに使い始めることができることでしょう。
小型で映像が綺麗な機種を探している方に、かなりおすすめできる製品ですよ!