【測定データと写真で語る】Dangbei Atomを徹底レビュー【薄い/明るい/綺麗】

Dangbei Atom

みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。

今回レビューするプロジェクターはDangbeiのAtomです。こちらはALPDレーザーを搭載していて、フルHDモデルの中では最上位クラスの映像を楽しめる製品です。

実際に使ってみた感想としては、サイズに対しての性能が驚異的

映画館のような本格的な映像を楽しみたいど、「大きい製品を家に置きたくない」と悩んでる人は、Atomを買えば全て解決します。

今回は画質、音質、使い勝手まで徹底的に調査しましたので、ぜひプロジェクター選びの参考にしてください。

目次

Dangbei Atomのスペック

製品名
Dangbei Atom
税込価格134,800円※
投影方式DLP
光源レーザー
明るさ1200ANSIルーメン
解像度1920×1080
(フルHD)
HDR10対応
※オンラインストリーミング時のみ
台形補正垂直 /水平自動
フォーカス自動
投影距離60インチ:1.6m
80インチ:2.1m
100インチ:2.7m
120インチ:3.2m
スピーカー5W×2
騒音標準モード<24dB @25℃
端子HDMI(ARC)、USB-A(2.0)、イヤホンジャック
Wifi2.4/5GHz
Bluetooth5.0
サイズ19.5 x 19.5 x 4.8cm
重さ1.28kg
※2025年1月30日地点の公式サイト価格

公式価格は134,800円ですが、Amazonでは10万円前後で販売されている場合もあるので、セールの状況次第ではお得に購入できます。

Atomの本体と付属品を確認

早速本体を確認して行きましょう。

Dangbei Atomの箱

正面にレンズと補正用のセンサー、側面にはスピーカー口があります。

Dangbei Atom正面
正面
Dangbei Atom側面
側面

本体形状は19.5cmの正方形で、厚みは4.8cm、重さは1.28kg。片手で楽々持てるサイズ感で、どんな部屋でも設置しやすいでしょう。

Dangbei Atomを手に持つ
Dangbei Atomとボトル

背面には排熱口と各種接続端子があります。

Dangbei Atom接続端子

底面に三脚用のネジ穴があるので、角度を調整したい場合はこちらに別売りの三脚を取り付けます。

Dangbei Atom底面
Dangbei Atomにスタンドを使う

三脚は一般的なネジ径1/4インチのものが使用できる他、専用の卓上スタンドも販売されています。

\専用卓上スタンド/

付属品は以下の通りです。電源アダプターが若干大きめなのは気になりました。

リモコン、電源ケーブル、取扱説明書

Dangbei Atomの付属品

Atomの映像を確認

様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。

  • カラープロファイルの測定
  • 映像の視認性
  • 色味
  • 解像度
  • 明るさの均一性
ジェクタ

写真をタップで拡大できます

カラープロファイルの測定

プロジェクターのカラーキャリブレーションツール(Dispaly Plus HL)を使い、Atomの映像の特徴を確認していきましょう。

まずは映像モードごとのホワイトポイント、コントラスト比の測定を行います。

Q.ホワイトポイントとは?

画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。

色温度の目安
ホワイトポイントのイメージ

▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい

ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みに合わせ使い分けられます。

Q.コントラスト比とは?

最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。

コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。

コントラスト比の説明
※写真はイメージです

以下は各画像モードのホワイトポイントとコントラスト比の測定値。※測定はCalibrite Diaplay Plus HLで行った。輝度は全て「標準」設定。

画像モードホワイトポイントコントラスト比
標準8717K585:1
↑色温度(ウォーム)6762K572:1
鮮明7908K592:1
映画7277K550:1
↑色温度(ウォーム)5881K541:1
ゲーム8864K566:1
※赤字:6000K未満 黒字:6000〜7000K 青字:7000K超

標準設定はホワイトポイントが寒色寄りのため、映像はシャープで新しい印象を受けます。

暖かい映像が好みの場合は、「映画」モードの色温度ウォーム設定がおすすめで、中立の6500Kを目指すなら、「標準」の色温度ウォーム設定がおすすめになります。

次に色域の測定結果です。色域が広いほど、再現できる色の範囲が広く、映像が鮮やかになります。

Dangbei Atom色域-標準
☆デフォルト設定
Dangbei Atom色域-標準-ウォーム
Dangbei Atom色域-鮮明
Dangbei Atom色域-映画
Dangbei Atom色域-映画-ウォーム
Dangbei Atom色域-ゲーム

青線が測定値で、緑線がPCコンテンツ向けの標準的な色域を表すsRGB領域です

・青の色域が広い(青レーザーを光源に使っているためか?)
・ウォーム設定時は、緑の色域が広がる
・ウォーム設定時は、ほぼsRGB領域はカバーできている

次に、RGBプロファイルカーブを見て見ましょう。

Dangbei Atom-RGBカーブ-標準
☆デフォルト設定
Dangbei Atom-RGBカーブ-標準-ウォーム
Dangbei Atom-RGBカーブ-鮮明
Dangbei Atom-RGBカーブ-映画
Dangbei Atom-RGBカーブ-映画-ウォーム
Dangbei Atom-RGBカーブ-ゲーム

※プロファイル曲線なので、補正をかけるための曲線です。実際のRGB出力の強度の関係は、上下逆で考えてください。
※RGBは直線で重なってるのが好ましいです。

「鮮明」モードと「ゲーム」モードは傾きが寝ていて、X=1の時、Y=0.9位になっています。これは、この2つのモードはガンマ値が2.2より低い設定になっていることを示唆しています。平たく言うと、全体の明るさのトーンを上げるような設定です。映像を見た時の感触が変わるので面白いと思います。

色の正確性でいうと、映画モードがRGBの直線が良く重なってしているように見えました。

設定で見え方が変わるので、色々いじってみると面白いと思います。

Dangbei Atom-映画モード 標準モード 鮮明モード

※以下、実機の映像確認は出荷設定(標準モード/色温度標準)行っています

1200ISOルーメンは昼でも使える明るさ

ライト強

とても明るい部屋

ライト弱

少し明るい部屋

暗室

暗室
Dangbei Atom 明るい部屋での映像
Dangbei Atom 少し明るい部屋での映像
Dangbei Atom とても明るい部屋での映像

結構明るいので、昼でもカーテンを閉めれば大画面の映像を楽しむことができます。

寝室で寝る前に使う場合や、100インチ未満で使用する方は、これより明るい機種だと正直オーバースペックになる可能性もあります。1200ISOルーメンは刺激が強すぎないけど、鮮やかに見える絶妙な明るさラインだと思います。

カラーは濃く美しい

元画像

色見本

Atom

Dangbei Atomで写した13色のカラー

元画像

Atom

Dangbei Atom で写した様々なフルーツ

レーザーによる映像は塗り分けがしっかりできていて、とてもシャープな印象を受けました。色のバランスが優れていて、安価なプロジェクターで感じるような違和感はありません。

コントラスト比は中々高い

Dangbei Atomで映す夜景

コントラスト比は標準モードで585:1。明るさが1200ANSIルーメンあるので、明暗のメリハリの効いた臨場感の高い視聴体験ができます。

映像で少し気になる点

黒、若しくは濃い灰色のシーンのみ、画面に1mくらいまで近づくと、写真のようなチラつきをわずかに感じました。(スペックルノイズ?)

Dangbei Atom 黒い画面の拡大
画面に近づいて撮影した写真

1.5m位離れるとチラつきは全く感じず、画面は美しく見えます。これは画面サイズが大きくても小さくても同じです。

Dangbei Atom 2m離れた状態

1mの距離で視聴する人はいないと思いますし、限定的な条件で発生する事象です。Youtubeの他のレビューワーも指摘していなかったので、個人的には問題ないと思っていますが、一応気になる点としてお伝えしておきます。

フルHDの解像度で、小さい文字も視認できる

Dangbei Atomの解像度を確認

映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。

次に、実用レベルではでは使わないレベルの小さい文字を投影し、10段階のサイズのどこまで見えるか検証してみます。中央、4隅の計5箇所を測定。フルHDプロジェクターは、理論的にはサイズ「6」が視認の限界で、5以降は必ず潰れます。

解像度のテストパターン
中央+4隅でテスト
解像度の評価方法
潰れて読めない文字があればアウト

以下は測定結果です。

左上左下中央右上右下
88788

中央は、理論上のフルHDの限界に近い、7まで視認でき、4隅は8まで視認ができました。線は細く描けていて滲みも少なく、ピント性能は優秀だと感じました。

Atom画面中心の画像
Atom 中心の解像感

輝度のムラは少ない

Dangbei Atomの輝度分布
輝度の分布
照度計で画面の明るさを9点測定、最も明るい場所を基準(100)としている

照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認してみます。測定結果で、最も明るい場所を100とした場合の輝度分布です。

スコア
9点の平均:96
最小値:90(右上)

平均の明るさが95を超えるのは相当優種で、画面全体が均一に美しいのがAtomの特徴の一つです。

ジェクタ

総じて、映像はかなり優秀だと思います

音質はこもりがなくクリア

Dangbei Atomの音質を確認

スピーカーは5W×2基のステレオ構成で、「Dolby Digital」「Dolby Digital Plus」のフォーマットに対応。音質は素直にいい音で、籠りや音割れ等の不満はなく、実用レベルのクオリティーです。

しかし、ボディサイズが小さいこともありサラウンド感や低音の迫力については限界があります。

このままでも十分使えますが、物足りない場合はサウンドバーやスピーカー構成を検討して、オーディオ環境を整えましょう。Bluetooth、イヤホンジャック、HDMI(ARC)で対応機器への音声出力が可能です。

Dangbei Atomの使い勝手を確認

起動時間は56秒

Dangbei Atomの起動時間を確認

電源を入れてからGoogleTVの起動が約51秒、そこから自動フォーカスを行い計56秒でリモコン操作が可能になります。少し待ちますが、GoogleOS搭載型のプロジェクターは、大体このくらいは時間がかかるものです。

全自動でリアルタイムの画面補正

Dangbei Atomの自動画面補正機能

垂直/水平方向の台形補正とフォーカスはセンサーによる自動調整です。補正速度が驚異的で、ほぼリアルタイムで画面を長方形に整えてくれます。精度も実用レベルで、初心者でも短時間で画面調整が可能です。

また、通常の画面補正機能に加え、下記のインテリジェンス機能を搭載。あまり使う機会はない気はしますが、技術力の高さには感心します。

・スクリーンフィット機能
 →センサーがスクリーンを感知し、はみ出ないサイズへ修正

・障害物回避機能
 →障害物を検知して避けるよう投影する

もちろん自動調整で思い通りにならない場合は手動調整も可能なので、どんな状況にも対応できます。

ファンの音は静か

騒音の目安

ファンノイズはスペック値で、標準モード<24dB @25℃とのこと。

実際排気音を確認しましたが、かなり静かなので映画を見ていて気になることはありませんでした。

消費電力を確認

Dangbei Atomの消費電力

スペックによると消費電力は80W。

使用条件によって消費電力は変わってきますので、実際に測定してみました。

輝度設定消費電力1時間の電気代※
標準60W1.9円
ecoモード50W1.6円
ハイパフォーマンス74W2.3円
※1kWあたりの電気代は31円で計算。地域や時期で価格が変動する点はご理解ください。

1時間あたりの電気代は、2円前後のイメージ。

レーザー光源は明るいのに消費電力は控え目なので、毎日使ったとしても電気代はそこまで上がらないはずです。

リモコンはスマートで使い勝手よし

Dangbei Atomのリモコン

リモコンはスリムな縦長でおしゃれ。

重さ66gで手への収まりがよく、グリップ位置を変えずに全てのボタンに親指が届きます。Youtube、Netflix、プライムビデオへの直通ボタンや、音声検索ボタンなど気の利いたボタンが配置されています。

そしてよく使うのが、側面の2つのボタン。

Dangbei Atomリモコンのサイドボタン

ワンボタンでプロジェクターメニューを起動できるので、何か調整したい場合は、とりあえず下の方の黒いボタンをタップすればOKです。

内蔵OSはGoogle TVで安心

Dangbei AtomのGoogle TV画面

GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSでしょう。

YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。

ほとんどAmazon Fire TV Stickが内蔵されているようなクオリティーなので、別途ストリーミングデバイスを用意する必要がありません。

低遅延のゲームモード搭載

ゲーム入力遅延測定

プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。

以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。

◾️入力遅延【フルHD/60Hz測定】
標準モード → 65.9ms
ゲームモード → 32.5ms

1フレーム=16.6msなので、ゲームモードは2フレームくらいの遅延のイメージです。プロジェクターの中では、かなり高速だと思います。

実際にマリオやスマブラ、モンハンをプレイしましたが、全く遅延がわからなかったので、1フレームを追い求めるようなガチゲーマーの方以外は問題なくプレイできるのではないでしょうか。

スマホミラーリングはAir Screenアプリで行う

Dangbei Atomで画面ミラーリング

iOS/Androidスマホの画面共有をしたい場合は、AirScreemアプリを使用します。

接続手順
・プロジェクターにAir Screenアプリをダウンロード
・プロジェクターとスマホを同じWifiに接続する
・Air Screenアプリを起動し、画面の指示に従う

最近はスマホカメラの撮影品質が向上しているので、大画面で投影すると思った以上に綺麗で驚きますよ。

まとめ:小型で綺麗!満足のユーザー体験を提供

メリット
デメリット
  • 映像が綺麗だけど小型
  • OSの使い勝手が良い
  • スピーカーは実用レベル
  • 自動の画面調整
  • 発熱、騒音が少ない
  • ゲームが低遅延
  • HDRは内蔵OSコンテンツのみ対応
  • 黒画面では、かなり近づいてみるとチラつきを感じることも

Atomはオールインワンモデルとして完成度が高く、小型ボディーに沢山の技術が詰まっています。

映像のクオリティーも徹底的に評価しましたが、かなり良いと感じました。レーザーの映像は明るく、鮮やかで、発熱も少ないです。

Atomより更に明るい製品になると、大型で仰々しいサイズになってくるので、カジュアル使いの終着点にある機種だと思います。どこでも置けるサイズなので、壁/スクリーンさえあれば部屋の家具配置を変えずに使い始めることができることでしょう。

小型で映像が綺麗な機種を探している方に、かなりおすすめできる製品ですよ!

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この記事を書いた人

プロジェクターレビュー実績50機以上。
AV家電アドバイザー資格あり。

ホームシアターで見た映画は400本以上で、使用者の目線に立った実用的な考え方で実機レビューを行います。

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