「エプソン」と聞いて思い浮かべるのは、職場や学校にある大型のランププロジェクターですよね。

EPSON製品は画質がいいけど、重いし、熱いし、私の部屋では使いにくそう・・・・
でもカラーの美しいEPSONのプロジェクターを、気軽に使いたい!
そんな人にオススメの製品が、今回レビューするEF-21。映像の職人EPSONが、画質だけでなくユーザー目線での使いやすさにもとことんこだわった激アツな商品です。
・3LCD×レーザーの圧巻の映像
・低発熱で静音性に優れる
・5W×2のステレオスピーカー搭載
・Google TVで様々なコンテンツに対応
・自動画面補正が優秀
EF-21は発光効率の高い、レーザー光源を採用。
エプソンのお家芸である鮮やかな3LCDの映像が、小型のボディーで楽しめます。


60台のプロジェクターをレビューした中で、個人的に10万円以下で一番オススメの製品です。以下でその魅力を徹底的に解説していきますよ。
EF-21のスペックと特徴
EF-21はEPSONのホームプロジェクターブランドである「ドリーミオ」のエントリーモデルで、以前レビューしたEF-11の後継機に当たります。
旧 EF-11


新 EF-21


どこが変わった?
・HDR10対応
・音質強化(1.5W→5W×2)
・Google TV内蔵
・カラーバリュエーションの追加
・画面調整の自動化
・価格88000円 → 98,936円※Amazon価格
映像スペックはほぼ据え置きですが、付加機能が充実して完成度が向上。
以下は現行のEPSON「ドリーミオ」ブランド製品のラインナップ。
製品名 | 価格※ | 光源 | 明るさ [ルーメン] | コントラスト比 (ダイナミック) | 解像度 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
EB-W06 | 62,500円※1 | UHEランプ | 3700 | 16,000:1 | WXGA | ビジネス兼用 |
EF-21 | 98,936円※1 | レーザーダイオード | 1000 | 2,500,000:1 | フルHD | 格安レーザー |
EF-22 | 119264円※1 | レーザーダイオード | 1000 | 2,500,000:1 | フルHD | スタンド一体型 |
EH-TW750 | 103,889円※1 | UHEランプ | 3400 | 16,000:1 | フルHD | 明るいフルHD |
EH-TW6250 | 123,421円※1 | UHEランプ | 2800 | 35,000:1 | 4K※4 | お手軽4K |
EH-TW7100 | 168,045円※1 | UHEランプ | 3000 | 100,000:1 | 4K※4 | 音質強化 |
EH-LS650 | 251855円※1 | レーザーダイオード | 3600 | 2,500,000:1 | 4K※4 | 超短焦点 |
ES-LS800 | 451,000円※2 | レーザーダイオード | 4000 | 2,500,000:1 | 4K※4 | 超短焦点 |
EH-LS12000 | 619,800円※3 | レーザーダイオード | 2700 | 2,500,000:1 | 4K※5 | 2軸シフト4K |
EH-QL3000 | オープン価格 | レーザーダイオード | 6000 | 2,500,000:1 | 4K※5 | 2軸シフト4K |
※2:2025年2月10日地点のYAHOOショッピング価格
※3:2025年2月10日地点のEpson Direct Shop価格
※4:4Kエンハンスメントテクノロジーよる4K相当の映像表示
※5:2軸シフト4Kテクノロジーで4K相当の映像を表示
EF-21は高級機の特権であったレーザー光源を搭載したエントリーモデルで、コスパの高さが売りです。
ちなみに、EF-21とほとんど同じスペックで、スタンドが一体型になった兄弟機「EF-22」も同時発売されています。
大きな違いは以下3点。
EF-22はEF-21と何が違う?
・ジンバルスタンド一体型
・パッシブラジエーター搭載で低音を強化
・価格は2万円ほど高い
映像に関するスペックは同じなので、個人的にはEF-21の方がおすすめです。
EF-21の詳細なスペック
価格※ | 98,936円 |
光源 | レーザーダイオード |
方式 | 3LCD方式 |
明るさ[ルーメン] | 1000 |
コントラスト比 | 2,500,000:1 カラーモード「ダイナミック」レーザーライト出力「100%」ダイナミックコントラスト「オン」 |
解像度 | フルHD (1920×10080) |
HDR10 | 対応 |
投影距離 | 60インチ:132cm 80インチ:178cm 100インチ:201cm 120インチ:224cm 150インチ:269cm |
台形補正 | 水平/垂直 自動 |
フォーカス | 手動 |
スピーカー | 5W×2 |
端子 | HDMI(ARC)、USB-A、Mini-B端子、AUX端子 |
寸法[mm] | 197mm×191mm×110.5mm |
重さ[kg] | 2.3kg |
EF-21の本体と付属品を確認


本体カラーが3色から選べるのは、ブラック一択だった前モデルより嬉しいですね。ホワイトと迷いましたが、せっかくなので珍しいスモークグリーンを購入。
正面は黒いプラスチックで、よく見るとラメ材が光っています。この部分は指紋がつきやすいのが気になりましたが、拭けばすぐにきれいになります。




側面には、電源ケーブルの差し込み口と、吸排気口。




背には電源ボタン、各種接続端子と、スピーカー口があります。HDMIはARC対応なので、対応スピーカーに音声のデジタルデータを出力できます。


底面には三脚用のネジ穴とフロントフット。




底面のネジ穴規格は1/4インチで、汎用の三脚を取り付け可能です。三脚をつけた時の見た目もチャーミングでいいですね。




本体の重さは2.3kgでなんとか片手で持てるくらいのサイズ。




付属品は以下の通り。リモコン用電池が付いてくるところに優しさを感じます。
リモコン、リモコン用電池、電源ケーブル、取扱説明書類


EF-21の映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- カラープロファイル
- 明るさ
- 色味
- 黒の表現
- 解像度
- 明るさの均一性



画像はタップで拡大できます
カラープロファイルの測定
まずは映像モードごとのホワイトポイント、コントラスト比の測定を行います。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下はDISPLAY PLUS HLで測定した、ホワイトポイントとコントラスト比です。
画像モード | ホワイトポイント※ | コントラスト比 |
---|---|---|
ビビッド(デフォルト) | 7797K | 324:1 |
ダイナミック | 7218K | 598:1 |
ナチュラル | 5969K | 302:1 |
シネマ | 6705K | 307:1 |
暖色寄りで寝る前に落ち着いて見れるナチュラル、中立の「シネマ」、寒色寄りで明るい環境でも見やすいビビッドと特徴がうまく分かれていますね。「ダイナミック」モードは画面輝度を上げることでコントラスト比が高くなっているのが特徴的でした。
次に色域の測定結果です。色域が広いほど表現できる色の範囲が広くなります。








※青線が測定値で、緑線がPCコンテンツ向けの標準的な色域を表すsRGB領域です
・「ダイナミック」は緑の領域が若干狭い
・他の設定はsRGB領域をほぼカバーしている
次に、RGBプロファイル補正カーブを見て見ましょう。RGBプロファイルの補正カーブは基本的にRGBが直線になることが望ましいです。








※RGBプロファイルに補正をかけるための曲線です。RGB出力強度は、上下逆で考えてください。
「ダイナミック」モードは多分意図的に高輝度側で赤と青の出力を上げる設定になっていますね。他の設定はRGBが概ね直線で、優秀だと思います。
個人的なおすすめは「シネマ」モードで、暗室で映画を見る場合はバランスが良いと思います。


明るさは1000ルーメンで、結構明るい
ライト強


ライト弱


暗室








照明全灯では流石に厳しいものの、多少明るい部屋でも十分使えます。
暗室なら、100インチでも映画館並の鮮やかな映像を楽しめますよ。
カラーの発色は見事
元画像


EF-21


元画像


EF-21


エプソンの3LCD方式は、とにかくカラーが鮮やかです。全体的に色の精度も良好で、細部の微妙な塗り分けができています。
夜景も鮮やかに映す


下位機種のランププロジェクターEB-W06では若干の黒浮き(黒が灰色に見える)を感じましたが、EF-21では改善されています。実測のネイティブコントラスト比は300〜500:1程とそこそこですが、ハイライトが鮮やかなので、夜景も鮮やかな印象を受けます。
ピント性能は良好


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次にもう少し厳しいテストとして、更に小さい10段階のサイズの文字がどこまで見えるか検証します。
測定方法
※下の写真はEF-21の投影映像ではありません


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 8 | 7 | 8 | 8 |
EF-21はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
中央は理論上のフルHDの限界に近い「7」まで視認でき、4隅は「8」まで視認ができました。全体的に、場所によるムラは少なく優秀だと思います。
輝度のムラは少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認してみます。右の図が測定結果で、最も明るい場所を100とした場合の輝度分布です。
スコア
9点の平均:97
最小値:94(左上/右下)
明るさの平均スコアは97で、画面全体の明るさはかなり均一です。
画質の評価まとめ
- Good
-
・カラーが鮮やかで明るい
・画像モード毎の特徴が明確で、使いやすい
・画面のクオリティーが均一 - Bad
-
・ネイティブコントラスト比はそこそこ
やはりエプソンの3LCDはカラーが素晴らしく、なんでもない風景を絶景に見せる魔法の力を持っています。また、画面全体のムラが少なく、丁寧に映像が作り込まれている印象を受けました。


音質は前モデルから大幅強化


前モデルのEF-11のスピーカーは出力1.5W、おまけ程度の音質で、外付けスピーカーの使用が前提でした。
EF-21の5W×2のステレオスピーカーは全然問題なく使えるクオリティーに改善。音割れや籠りを感じないクリアなサウンドで、映画やYoutubeを楽しめました。
4つのサウンドモードが選択可能ですが、デフォルトの「ムービーモード」が一番音がはっきりと聞こえたので、こちらを常用して問題ないと思います。


更に音にこだわりたい場合は、イヤホンジャック、HDMI(ARC)、Bluetoothで外付けスピーカーへの音声出力が可能ですよ。
EF-21の使用感を確認
起動時間は50秒
スイッチを入れ、リモコン操作できるまでの時間は50秒で、Google TV搭載機としては標準的な早さです。Google TVのホーム画面が起動するので、そのままコンテンツを楽しめます。
リアルタイムの画面補正が優秀


EF-21はフォーカスと台形補正が自動。動画のようにほぼリアルタイムで画面補正を行なってくれて、精度も申し分なしでした。
またスクリーンフィット機能や、障害物回避機能といったインテリジェンス機能も搭載。こちらはそんなに使う機会はなさそうですが、技術力の高さが窺える機能です。
排気音は非常に静か


レーザー光源は発熱が少ないため、排気ファンの音も静かです。
スペック値では騒音は19dBとのことですが、稼働条件によって変わるので、実測をしてみました。
明るさ設定50 → under30dB@1m後方
明るさ設定100 → 33.3db(A)@1m後方
かなり静かで、映画を見ている間個人的には気にならないレベルの音でした。排熱の温風もそこまで熱くなかったので、夏場でも使いやすいと思います。
消費電力は高くない
スペックによると消費電力は109Wですが、使用条件によって変わるので、実際に消費電力計で測定してみました。
画像モード | 輝度設定 | 消費電力 | 1時間の電気代※ |
---|---|---|---|
ビビッド | 50 | 49W | 1.5円 |
100 | 72W | 2.2円 |
1時間あたりの電気代は、2円前後のイメージ。レーザー光源は明るいのに消費電力は控え目なので、毎日使ったとしても電気代はそこまでかかりません。
リモコンはスマートで使いやすい


検索時に便利な音声入力ボタンや、人気動画サービスへの直通ボタンがあり機能性が優れたリモコンです。自動フォーカスがワンボタンで起動できたり、輝度の+/ーボタンが付いているのも個人的に評価が高いポイント。
動作速度も快適で、特に不満はありません。
内蔵OSは安心のGoogle TV


GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSでしょう。
YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。
ほとんどAmazon Fire TV Stickが内蔵されているようなクオリティーなので、別途ストリーミングデバイスを用意する必要がありません。
ゲーム性能は並


プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。
以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。
◾️入力遅延【フルHD/60Hz測定】
59.1ms
反応速度はプロジェクターとしては普通のレベルなので、ゲームは問題なくプレイできます。
実際にマリオやモンハンをプレイしましたが、個人的には遅延は気になりませんでした。1フレーム(=16.7ms)の反応が勝敗を分けるような対戦ゲームには向きませんが、カジュアルゲームでは違和感を感じないでしょう。
スマホミラーリングはAir Screenアプリで行う


Air Screenアプリを使うことで、iOS/Androidスマホの画面共有可能です。
接続手順
・プロジェクターにAir Screenアプリをダウンロード
・プロジェクターとスマホを同じWifiに接続する
・Air Screenアプリを起動し、画面の指示に従う
最近はスマホカメラの撮影品質が向上しているので、大画面で投影すると思った以上に綺麗で驚きますよ。
まとめ:個人的には10万円ベストバイ!
映像の職人エプソンが使い勝手にも力を入れた、カジュアルプロジェクターの決定版。低発熱のレーザー光源で簡単にきれいな映像を楽しめるので、毎日のコンテンツ再生が楽しみになります。
初めてのプロジェクターや、中華の格安プロジェクターからのステップアップの製品として、非常におすすめできます。
個人的には10万円以下のベストバイ製品です。