みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。
世界初のDolby Vision対応プロジェクターとして2023年に発売されたHORIZON Ultraは、業界にインパクトを与えました。本当に映画館並みの映像を、簡単に自宅で体験できる時代になってきています。
今回はその後継機となるHORIZON Sシリーズのレンタルをさせていただきました。

本記事では、HORIZON S Proを徹底レビューします。ハイエンドモデルのHORIZON S Maxはこちらの記事でレビューしてますので、合わせてご参考ください。
・4K/Dolby Vision対応
・3色レーザー+LEDのDual Light2.0光源を搭載
・Android TV/スピーカー搭載のオールインワンモデル
・ジンバル一体型、オート画面補正による簡単操作
3色レーザー+LEDのDual Light光源の映像は、色が鮮やかなのにどこか優しく、これまで感じたことのない感触でした。データや写真多めで解説していきますので、ぜひプロジェクター選びの参考にしてください。
HORIZON S Proのスペック
HORIZONはXGIMIのハイエンドプロジェクターシリーズで、HORISZON S Proは最上位機種よりも明るさが低い代わりにお手頃なモデルです。
- HORIZON S MAX/(329,800円)/トリプルレーザー+LED、iMax Enhanced、Dolby Vision対応、最も明るい最上位モデル
- HORIZON S PRO/(249,800円)/トリプルレーザー+LED、Dolby Vision対応、S Maxよりお手頃
- HORIZON Ultra/(279800円)/トリプルレーザー+LED、Dolby Vision対応、1世代前の最上位モデル
- HORISON Pro/(197,800円)/LED光源の4K入門機
- HORIZON/(129800円)/フルHDモデル
価格※ | 249,800円 |
光源 | デュアルライト2.0テクノロジー (3色レーザー+LED) |
方式 | DLP |
明るさ[ISOルーメン] | 1800 |
コントラスト比 | ダイナミック1000000:1 |
色域 | BT.2020 110% |
解像度 | 4K UHD (3840×2160) |
画像モード | HDR10、HLG、Dolby Vision |
投影距離 | 投写比1.2 50インチ:1.3m 120インチ:3.2m 180インチ:4.8m |
台形補正 | 水平/垂直 自動 |
フォーカス | 自動 |
スピーカー | 12W×2 Harman/Kardon ドルビーオディオ、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス、DTS-HD、DTS-Studio Sound |
騒音 | <28dB@1m |
端子 | DC×1 HDMI×1(eARC対応) USB×2 |
OS | Android TV11.0 |
Bluetooth | 5.1 |
入力遅延 | <20ms (自動台形補正オフ) |
WiFi | 2.4G/5G |
寸法[mm] | 234 x 273 x 174mm |
重さ[kg] | 約4.75kg |
投影距離と画面サイズの関係は、XGIMIプロジェクションプランナーサイトで計算するとイメージしやすいです。

本体と付属品を確認

正面のレンズカバーは、電源ON/OFで開閉し、未使用時の埃を防いでくれます。そして何より、開閉ギミックは特別感がありかっこいいです。


ジンバル一体型で左右は360°、上下は135°可動で天井投影も簡単です。


背面端子の種類は必要最低限の印象です。
HDMI(eARC対応)×1、USB-A(2.0)×2

底面には3脚用の1/4インチのネジ穴があります。

本体サイズはスペックから想像していたよりも小型でした。重さは4.75kgあるので、運搬の際は丁寧に扱いましょう。


付属品
電源ケーブル、取扱説明書、リモコン、単4電池×2

HORIZON S Proの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。

画像はタップで拡大できます
「3色レーザー+LED」と「3色レーザー」設定はどっちが良い?
HORIZON S Proは、3色レーザーシステムとLED光源を組み合わせることで、より明るく自然な色を表現するDual Light2.0システムを搭載。
本体起動時に、「Dual Light2.0」と「3色レーザー光源」のどちらかを選択しますが、説明を読んでも違いがわかりにくいと思います。


私の方で色々測定した結論を言うと、Dual Light2.0の設定の方がおすすめです。
- Dulal LightはLED光を追加している分、映像が明るい。
標準設定50インチ:Dual Light=427cd/cm2、3色レーザー=264cd/cm2と約1.6倍の差があった - ネイティブコントラスト比は、若干3色レーザーが高い。でも大差はない。
Dual light=811:1、3色レーザー=950:1 - 色味はDual lightの方が自然に感じた。
- 色域をBT.2020に設定する場合は、3色レーザーの方が適切。
Dual Lightの方が明るく、より色味が自然に感じました。
また、Dual Light2.0モードはスペックルノイズや色滲みを防ぎ、目の負担を軽減する効果もあります。 (詳細は公式サイトを参照)


基本はDual Light2.0モードで良いと思います。3色レーザーモードは、色域を最大まで広げ、彩度の高い映像を楽しみたい場合に向いていると思います。
光源:Dual Light


光源:3色レーザー


以下の画質検証は、Dual Light2.0モードで行いました。
明るさは1800ISOルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








明るさは1800ISOルーメンで、多少明るい部屋でも問題なく使用できます。直射日光さえ防げば、昼からでも十分映画を楽しめますよ。
輝度のムラは少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの誤差は10%以内に収まっており、画面全体の明るさはかなり均一です。カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」「ネイティブコントラスト比」の測定を行いました。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下は「映画」モードの測定値。
画像モード | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
映画 | 6425K | 802:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3の色域によく一致しています。これは普段見ているTV放送の標準色域(Rec709)より1.25倍広域で、とても鮮やかな色を表示します。下位グレードのHorizon ProはDCI-P3はカバーできていなかったので、Horizon S Proは鮮やかさが進化しています。色の正確さを表すΔEは1以下(スペック)で、お手本と色の区別がつかないレベルで、色精度は良好です。


(下位グレード・LED光源)


(Dual Light光源)
ネイティブコントラスト比は約800:1と下位機種のHorizon Pro(約600:1)から進化をしていました。夜景や花火など暗いシーンもより鮮やかに投影します。


各画像モードの測定結果はこちら
画像モード (Dual Lightで測定) | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※青が測定値、赤はDCI-P3規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
標準 | 7869K | 811:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
映画 ★おすすめ設定 | 6425K | 802:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
スポーツ | 7830K | 809:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
明るい | 9148K | 821:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ソフト | 8136K | 780:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
ハイパワー | 6206K | 832:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
もし、更に広い色域を体験したい場合は、光源を3色レーザーモードにして、カスタム設定から色域をBT.2020を選択することで、下記のようにBT.2020規格まで色域を拡大できます。前述の通り、3色レーザーモードでは輝度は低下しますが、色域は最大まで拡張できます。
画像モード (3色レーザーで測定) | ホワイトポイント ※6500Kが標準 | ネイティブコントラスト比 ※大きい方が好ましい | 色域 ※広い方が好ましい ※青が測定値、白はBT.2020規格 | RGBプロファイル曲線 ※3色が重なり、直線が好ましい |
---|---|---|---|---|
カスタム (色域BT.2020を指定) | 9254 | 959:1 | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
解像感を確認
画面にとても小さい文字を投影して、ピント性能と解像度をテストします。
測定方法


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア(何番まで読み取れるか)
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
本機は4Kなので、理論上の限界はスコアは「4」
画面全体が4Kの限界であるスコア「4」になりました。映像は近くで見ても高精細で、これまで見てきた4K機種の中でもレベルが高いと思います。


Dolby Visionは言葉にできない感動の体験


Dolby VisionはHDR10の4倍繊細な、4096段階の明暗コントロールを行います。対応コンテンツは、まるで肉眼で本物を見ているかのようなリアルな感覚です。
Dolby Vision規格は最近は配信サービスでも対応が進んでいて、Amazonプライムビデオや、Netflix、Disney+などでも楽しめます。



Disney+でソウルフル・ワールドをを見ましたが、繊細なタッチの絵を完璧に表現していて、映像が心に刺さりました
旧作映画も鮮やかに甦らせる


Dolby Visionの最新映像は言わずもがな、旧作映画の視聴もかなりおすすめ。P3色域の鮮やかな色と、高精細な4K画質で、リマスターされたかのような感覚で楽しむことができます。もし、色が鮮やかすぎると感じた場合は、画像モードを「カスタム」の暖色設定にし、色域はRec.709を指定すれば旧作っぽい色味で楽しむことも可能ですよ。
画質の評価まとめ
- Good
-
・明るく、鮮やかで高精細な4K映像
・画面の明るさや解像度が均一
・Dolby Visionの圧倒的な視聴体験 - Bad
-
特になし
(強いて言えば、映像のダイナミックさは上位モデルHORIZON S Maxに劣る。より明るく、コントラスト比が高い。)
3色レーザー+LEDは初めて体験しましたが、レーザーの「鮮明さ」とLEDの「自然さ」のいいとこ取りしたような印象です。経験上、LED光源はコントラスト比が低くなる傾向がありますが、本機は黒も浮いてはいないです。
上位機種は更に画質が向上しますが、正直本機でも十分に映画館並みの映像を楽しめます。
harman/kardon製スピーカー内蔵!Dolby Atomos対応で音も良い


内蔵スピーカーの音質はかなり良く、下位機種のHORISON Proから進化を感じました。高級車の内蔵スピーカーにも採用されるHarman/Kardon製の12W×2基のスピーカーを搭載。ノイズレスでセリフは聞き取りやすく、効果音などの繊細な音も的確に表現していると思います。
音響効果は「Harman Kardonオリジナル」と空間オーディオを再現する「DTS-Virtual:X」があり、かなり特徴が変わるので聴き比べると面白いです。



DTS-Virtual:Xはよくここまで立体感が出るなと驚きました
外部スピーカーとの接続方法は、BluetoothかHDMI(eARC)の2択になります。イヤホンジャックや光デジタルの出力は不可なので、スピーカーを選ぶ際はご注意ください。
Horizon S Proの使用感を確認
起動時間は52秒だが再起動は高速
電源をつけてからOS立ちあげ、リモコン操作可能まで52秒で、OS内蔵プロジェクターとしては標準的な時間でした。2回目以降はスリープモードで電源を切ることで、数秒程度での高速起動が可能です。
画面補正はシームレスで快適


自動フォーカスと台形補正は映像を途切れさせることなく、高速で行われます。これにより、セットアップはストレスフリーで気楽に起動できます。
また、センサーを使ったインテリジェント機能が搭載されていて、セットアップのお手軽さはかなり追求されています。


Android TV11搭載で様々なサービスに対応


Google純正OSを積んでいるので、対応アプリ数が多く動作も快適。Youtube、プライムビデオ、Disney+、TVerなど、お馴染みのアプリはだいたい網羅されています。
一つ残念な点は、Netflixがネイティブアプリで見られないこと。Netflixユーザーは、別途Amazon Fire TV Stickなどを用意する必要があります。
排気音はとても静か
排気音は28dB以下@1mということでかなり静かです。これは鉛筆の筆記音よりも小さいイメージなので、映画を見ている際気になることはありませんでした。排熱の温度も控えめなので、夏場でも使いやすいです。
ゲームはとても快適


測定周波数 | 画像モード | 入力遅延 |
---|---|---|
4K60Hz | 標準 | 142.1ms |
ゲーム(低レイテンシ) | 34.9ms | |
ゲーム(超低レイテンシ)※ | 18.1ms | |
1080P60Hz | 映画 | 142.1ms |
ゲーム(低レイテンシ) | 35ms | |
ゲーム(超低レイテンシ)※ | 18.2ms |
ゲームモードは4K60Hzで18.1msと、かなり高速。1フレーム=16.6msなので、遅延は2フレーム未満に抑えることが可能です。ネット対戦ゲームも快適な速度で、遅延が気になることはなかったです。
スマホ画面は簡単に共有できる


IOS → MagiCastアプリ
Android → GoogleHOME
上記方法で、簡単にスマホ画面を共有できます。他の人と写真を一緒に見たり、スマホゲームを大画面で見たい時に役に立ちます。
HORIZON シリーズはどれを選ぶべきか?


機種(タップで記事リンクへ) | 映像 | 特徴 |
---|---|---|
HORIZON Pro 197,800円 | ・4K ・LED ・1500ISOルーメン ・色域:Rec709+α ・ネイティブコントラスト比:約600 ・HDR10 | お手頃価格で4K映像を楽しめる |
HORIZON S Pro 249,800円 | ・4K ・Dual Light2.0 ・1800ISOルーメン ・色域:Rec709,DCI-P3,BT.2020で指定可能 ・ネイティブコントラスト比:約800:1 ・HDR10、Dolby Vision | Dual Lightにより広色域、高コントラスト比で、DolbyVision対応 |
HORIZON S Max 329,800円 | ・4K ・Dual Light2.0 ・3100ISOルーメン ・色域:Rec709,DCI-P3,BT.2020で指定可能 ・ネイティブコントラスト比:約800:1〜1600:1(コントラスト拡張) ・HDR10、Dolby Vision、IMAX ENHANCED | HORIZON S Proより力強い、究極のリアリティーを追求した映像 |
3機種全て体験しましたが、上位機種になるほど映像体験の格が上がります。もちろん価格は上がりますが、それに見合うだけの感動があり、一つ一つの映像コンテンツをより特別な思い出にしてくれます。
これはいくつものプロジェクターを見てきた結論ですが、高い製品はやはり良いです。まず、余裕のある予算を組んで、その中で1番良い製品を選ぶべきだと思います。
Dolby Vision対応が熱い!映画好きに推薦できる完成度の高い一台
Dual Light2.0光源の映像は、3色レーザーの鮮やかさと、LEDのナチュラルさを合わせたような感触。目の負担が少ないことがSGSで認証されているため、長時間使いたい方や、子供がいる家庭でも選びやすい機種だと思います。
下位機種のHorizon Proでも十分映像は綺麗だと思いましたが、やはり上位モデルは一段格が違います。ハイエンド4Kプロジェクターはエンタメの満足度を劇的に変えるので、ゲーマーや映画好きは、買って損をしないと思います。