みなさんこんにちは、プロジェクターオタクのジェクタです。今回はDangbeiの台座一体型のモバイルプロジェクター、Freedoをレビューしていきます。
・フルHDの美しい映像
・台座一体型で、投影場所が自由
・優れた画面補正機能
・バッテリー/スピーカー/OS一体で、どこでもすぐ使える
Amazonの人気ランキングを見ると、本機のような「キャノン型」(勝手に私が名付けました)の製品が多く見られますが、正直1万円前後の製品はクオリティーが高くはありません。画質だけでなく、操作性も含めたあらゆる面でFreedoはキャノン型最高の製品だと感じていますので、以下で解説をしていきますよ。
スペック
価格※ | 93,800円 |
光源 | LED |
方式 | DLP |
明るさ[ANSIルーメン] | 450 |
解像度 | フルHD |
対応形式 | HDR10、HLG |
色域 | DCI-P3:>90% Rec.709:124% |
投影距離 | 投写比1.2 60インチ:1.6m 80インチ:2.1m 100インチ:2.7m 120インチ:3.2m |
台形補正 | 水平/垂直 自動 |
フォーカス | 自動 |
スピーカー | 6W 360°サラウンドサウンド |
騒音 | 標準モード<24dB @25℃、距離: 1m |
端子 | USB-2.0×1 HDMI(ARC)×1 DC-IN(Type-C)×1 |
Bluetooth | 5.1 |
WiFi | Wi-Fi 5, 2.4G/5G, 2T2R, 802.11 a/b/g/n/ac |
寸法[mm] | 131×109×239mm |
重さ[kg] | 1.4kg |
本体と付属品を確認
早速箱を開封していきましょう。筒状の本体はプラスチックで、台座は金属素材で構成されています。


最大の特徴は、台座一体型であること。本体の角度は-30度〜135度で、壁投影と天井投影を簡単に切り替えられます。回転は無段階調節なのが偉くて、思い通りの場所にピタッと止められます。

電源ボタンや接続端子は目立たないように工夫されています。また、ケーブル類が本体の回転を阻害しない位置についているのが、他のキャノン型にはなかなかない工夫です。



背面のスピーカー口はファブリック調で、柔らかい印象を与えます。

スタンドの底には、3脚用の1/4インチネジ穴があり、こちらは天吊りしたい場合に役に立ちます。


本体は小型なので、置き場には困りません。重さは1.4kgで「携帯して持ち歩くには重いが、車に積むには困らない」といったイメージでしょう。キャンプなどでも使いやすいサイズです。


付属品は以下のような感じです。リモコン用の電池が付属するのは地味に嬉しい。
電源アダプター、リモコン、単4電池、携帯用ポーチ、取扱説明書

Freedoの映像を確認
様々な角度から、映像を徹底的に確認していきます。
- 明るさ
- 輝度均一性
- カラープロファイル測定
(「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」) - コントラスト比
- ピント性能

画像はタップで拡大できます
明るさは450ISOルーメン
ライト強


ライト弱


暗室








明るさは450ISOルーメンで、モバイル機としてはかなり明るい方です。
基本的には、暗室推奨ですが少しなら明かりをつけても使用できます。映像はしっかり見えますが、眩しいほどではないので、寝る前に寝室で使うのに最適だと思います。
輝度のムラは少ない




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認。明るさの平均値は96で、画面全体の明るさはかなり均一です。カラーやコントラストが一貫した心地よい映像が見れますよ。
カラープロファイルの測定
CalibriteのDisplay Plus HLを使って、「ホワイトポイント」「色域」「RGBプロファイル曲線」の測定を行います。
ホワイトポイント
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みで使い分けられます。
以下は各映像モードのホワイトポイントの測定値。
画像モード | ホワイトポイント※ |
---|---|
標準 | 8415K |
鮮明 | 8547K |
映画 | 6925K |
ゲーム | 9271K |
カスタム | 8466K |
映画モードが中立の6500Kに近い色温度となりました。カスタム設定では色調の項目があるので、好みに合わせた調整も可能です。
色域
Q.色域とは?
プロジェクターの色域とは、表示可能な色の範囲を示す指標です。色域が広いほど鮮やかで豊かな色表現が可能になり、映像の正確性や美しさに影響を与えます。
色域には様々な規格があり、コンテンツ毎に使い分けられています。


色域 | 特徴 |
---|---|
sRGB/Rec.709 | 一般的なディスプレイ、テレビ、ウェブ標準、youtube(非HDR)、Blu-ray |
DCI-P3 | 映画、HDR映像、4K UHD Blu-ray、Youtube(HDR) |
BT.2020 | 自然界の色の99.9%を再現。実際のHDR映画はBT.2020の枠組み内にP3で格納されている場合が多く、その色域はフル活用されていないのが現状。 |
以下がFreedoの結果。青が測定値で、緑線のsRGB/rec.709領域と比較しています。










公式スペックでは、>90% DCI-P3, 124% Rec.709。緑の色域は規格と比べて若干狭めなものの、赤と青の色域が広く、確かに面積の広さはRec709より大きい。
「映画」モードが一番バランスの良い色合いになっていると感じました
RGB プロファイル補正カーブ
RGBプロファイルの補正カーブは基本的に直線になることが望ましいです。










※RGBプロファイルに補正をかけるための曲線です。RGB出力強度は、上下逆で考えてください。
どのモードも概ね直線性は良好。「鮮明」と「ゲーム」設定は傾きが1ではなく、高輝度側でより輝度を高める設定になっているのが印象的です。
実際に標準設定のグレースケールを確認したところ、階調は自然で申し分なしです。


コントラスト比はそこそこ
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


ネイティブコントラスト比を測定した結果が以下。
画像モード | ネイティブコントラスト比 |
---|---|
標準 | 400:1 |
鮮明 | 378:1 |
映画 | 383:1 |
ゲーム | 367:1 |
カスタム | 393:1 |
ネイティブコントラスト比は、シネマモードで400:1程度で、そこそこの値。映像のダイナミックさは、AtomやMars Proなどのレーザー光源の上位モデルに劣る部分です。
ただ、「黒浮きが目立つ」とか問題を感じるわけではありません。以下のように夜景も綺麗に投影できます。


ピント性能は良好


映画の字幕やゲームのテキストなど、小さい文字もしっかり視認できます。日常で使われるフォントサイズでは、文字が読めずに困ることはないでしょう。
次にさらに小さい10段階のサイズの文字がどこまで見えるか検証します。
測定方法


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左上


スコア(何番まで読み取れるか)
左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 8 | 7 | 8 | 8 |
本機はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
ピントスコアは中央はフルHDの限界に近い「7」、4角は「8」で平均7.8をマーク。フルHDとしては、上々のスコアです。
画質の評価まとめ
- Good
-
・フルHDの高精細な映像
・Rec709より広色域
・輝度の均一性が高い
・自然な階調 - Bad
-
・ダイナミックコントラスト比はそこそこ
明るい部屋で使うには厳しいですが、暗室ではしっかりと鮮やかな映像を映してくれます。画面の均一性や、カラーの表現力についてはさすがのDangbei製品で、一定以上のクオリティーがしっかりあり安心して使えます。
コンパクトなボディーからは想像できない、品質の高い映像を楽しめますよ。


音質は小型機としては十分


スピーカー出力は6Wで、DolbyAudioに対応。想像よりも音量が出て、6畳くらいの部屋だと30%くらいの音量でも十分に感じます。低音の迫力は控えめなののの、中高音がはっきりとした心地よい音を鳴らします。Youtubeで作業用BGMをかける際は、プレーヤー件スピーカーになるので結構便利です。
外部スピーカーとの接続方法は、Bluetooth又はHDMI(ARC)接続が可能です。イヤホンジャックは付いていないので、その点はご注意ください。
Freedoの使用感を確認
起動時間は55秒
電源を入れ操作可能になるまでの時間は55秒で、OS内蔵プロジェクターとしては標準的な時間です。
「毎回55秒も待ちたくない」という場合は、スリープモードで電源を切ることで、数秒で起動可能です。
画面調整は全自動で手間なし


本機は起動時に台形補正とフォーカスを自動で行ってくれます。本体の位置や角度が変わった際も自動調整するので、天井投影への切り替えもスムーズです。
バッテリー持ちは2.5H!モバイルバッテリーも使える
内蔵バッテリーの容量は60Whで、エコモードで最大2.5h動作します。
PD3.0 65W対応のモバイルバッテリーが使用できるので、外で使う場合は用意しておけば安心でしょう。楽天でDangbeiの公式のモバイルバッテリー


排気音は静かで気にならない
排気音は24dB以下@1mということでかなり静かです。これは鉛筆の筆記音よりも小さいイメージなので、映画を見ている際気になることはありませんでした。排熱の温度も控えめに感じました。
ゲームは低遅延


測定条件 | 入力遅延 |
---|---|
ゲームモードOFF | 61.5ms |
ゲームモードON | 28.2ms |
4K Lag Tester入力遅延を測定したところ、ゲームモードで28.2msとかなり高速でした。1フレームを争う対戦ゲームでもない限り、特に不満のない速度だと思います。
注意点は、設定で画像モードを「ゲーム」にしても映像の色味が変わるだけです。高速化のためには一番下にある「ゲームモード」のバーを有効にする必要があります。


内蔵OSは安心のGoogle TV


GoogleTVは対応アプリ数が多く、最も安心ができる内蔵OSです。YoutubeやプライムビデオやTVerなどはもちろん、デバイスの認証が必要なNetflixにもしっかりと対応しています。
1万円のキャノンタイプの機種と、実力は雲泥の差
以前自腹でAmazonで人気1万円程度の機種を購入しましたが、実力差はかなり感じました。Freedo映像が綺麗な上に「台座一体型」としての使用感が突き詰められています。
使いやすさを追求したボディー構造




画質は明らかな差がある




他にもOSの操作性やスピーカーの音質など、様々なの要素で力の差を感じます。Freedoの価格は安くないものの、その分の満足度はしっかりと得られると感じました。
まとめ
格安機とは操作感も、映像の美しさも大きな差を感じました。片手で運びどこにでも映せる設置性の高さと、フルHDの高精細な映像の両立が魅力でしょう。
「大画面を楽しみたいけれど、場所を固定せず使いたい」「狭いスペースでも快適に設置したい」などの要求に答えてくれます。台座一体型(キャノン型)としては、現状最高の完成度の製品だと思います。