WIMIUSのプロジェクターは価格が安いのに映像が綺麗いつも驚かされています。今回は以前から気になっていた格安フルHDプロジェクター、WIMIUS P63をレビューしていきます。
- フルHDの高画質
- 10W×2のスピーカー
- Android TV搭載
- 自動台形補正機能
- 電動フォーカス
この機能込で実勢価格1万円台はかなり凄くて、スペックを見た時には驚きました。
正直なところ、格安プロジェクターには画質の悪い製品もありますが、本機はかなり映像がキレイ。

スピーカー、OS搭載なので、これ1台で簡単にホームシアターが完成してしまいます。
以下で徹底的にレビューをしていきますよ!
WIMIUS P63のスペック

税込価格※ | 24,999円 |
光源 | LED |
明るさ | 700ANSIルーメン |
解像度 | 1920×1080 (フルHD) |
台形補正 | 水平 手動、垂直 自動 |
フォーカス | 電動操作 |
スピーカー | 10W×2 |
端子 | USB×2、HDMI×2、AV、3.5mmイヤホンジャック |
OS | Android TV |
Wifi | 2.4/5GHz |
Bluetooth | 5.2 |
サイズ | 約24.9×20.4×11.15cm |
重さ | 1.2kg |

Amazonでは値引きしていることが多く、変動はありますが、大体1万円台で買えます
実際の映像
100インチの映像と音を撮影しました。お持ちのデバイスの中で、大画面のもので見ると雰囲気がわかると思います。



画質は格安プロジェクターの中でもかなりきれいでした
WIMIUS P63の映像をレビュー
様々な角度から、徹底的に画質を評価していきます。
- カラープロファイルの測定
- 映像の明るさ
- 色味
- 黒の表現
- 解像度
- 明るさの均一性



画像はタップで拡大できます
カラープロファイルの測定
プロジェクターのカラーキャリブレーションツール(Dispaly Plus HL)を使い、映像の特徴を確認していきましょう。
まずは映像モードごとのホワイトポイント、コントラスト比の測定を行います。
Q.ホワイトポイントとは?
画面上で白色がどのように表示されるかを定義する基準のことです。
標準的なホワイトポイントは6500Kがよく使われ、これよりホワイトポイントが低いと画面が暖色寄り、高いと寒色寄りの印象になります。


▪️暖色 → ◯温かみがある、落ち着く ✖️古い感じ、野暮ったい
▪️寒色 → ◯新しいイメージ、かっこいい ✖️無機質な感じ、冷たい
ホワイトポイントは6500Kが中立ですが、外部照明の状況や映画のトーン、好みに合わせ使い分けられます。
Q.コントラスト比とは?
最も明るい白(ホワイト)と最も暗い黒(ブラック)の輝度の比率を表します。例えば、「2000:1」のコントラスト比なら、白の明るさが黒の明るさの2000倍であることを意味します。
コントラスト比が高いほど、映像の奥行きやメリハリが増し、細かいディテールが見えやすくなります。


以下は各画像モード※のホワイトポイントとコントラスト比の測定値です。
※P63はHDMI接続時のみ画像モードを変更可能。内蔵OSでYoutubeやプライムビデオを見る場合はデフォルトの設定が適応されます。
画像モード | ホワイトポイント※ | コントラスト比 |
---|---|---|
標準 | 7155K | 1894:1 |
↑色温度(寒色設定) | 7888K | 1980:1 |
↑色温度(暖色設定) | 6732K | 1824:1 |
はっきりとした | 7185K | 1907:1 |
やわらかい | 7475K | 1688:1 |
映像は基本的に寒色寄りのため、クールな印象を受けます。エフェクトがバリバリに効いたマーベルの映画や、SFを見ると映像が栄えそうです。色温度を暖色に設定にすると、ホワイトポイントは中立の6500Kにかなり近づきます。
コントラスト比は2000弱と優秀で、黒が濃く陰影の深い映像を楽しめます。
次に色域の測定結果です。色域が広いほど、表現できる色の範囲が広くなります。










※青線が測定値で、緑線がPCコンテンツ向けの標準的な色域を表すsRGB領域です
・色域はsRGB領域より狭いが、格安機としては妥当なレベル
次に、RGBプロファイルカーブを見て見ましょう。プロファイルカーブは、RGBが直線かつ重なっているのが好ましい(色ずれが小さい状態)です。










※プロファイル曲線なので、補正をかけるための曲線です。実際のRGB出力の強度の関係は、上下逆で考えてください。
・RGBはずれているので、色の正確さはそこまで高くはない。
・直線ではなくS字っぽいカーブになっているが、意図的に強弱をつけているかは不明。
個人的にはホワイトポイントが中立に近い、「標準」の暖色設定を使用しています。昼に使う場合は寒色の設定の方が映像がはっきり見えるので、状況によりモードを切り替えると良いと思います。


※以下、実機の映像確認は出荷設定(標準モード/色温度標準)で行っています。
夜間は大画面を楽しめる明るさ
ライト強


ライト弱


暗室








明るさのスペックは700ANSIルーメンで、部屋のライトを少しつけた状態でも映像は視認可能です。昼は外光の明るさに負けますので、カーテンの使用を推奨します。
彩度は若干薄め
元画像


P63


元画像


P63


原色と比べると少し彩度は低めで、ここは高額機種に劣る部分。しかし色の塗り分けはしっかりできていて不自然な感じはしないです。
価格を考慮するならば十分優秀で、1万円前後の機種とは一線を画すクオリティーです。
黒がしっかりと深い


コントラスト比は、標準モードで1894:1。
安い機種にありがちな、白飛び(黒が灰色になる)は感じません。黒が深く沈んでいるので画面にメリハリがあり、夜景や花火のシーンが映えます。
フルHDの高精細な映像を楽しめる


文字はドット感がなく、フルHDの高精細な映像を楽しめます。映画の字幕やゲームの文字など、普通に使用する範囲では、文字が読めなくて困ることはないでしょう。
次に厳しいテストとして、どこまで小さい文字を投影できるか確認してみます。
測定方法


中央+4隅でテスト


・レベル1〜10のどのサイズの文字まで潰れずに読めるかを目視で判定。数字が小さいほど難易度が高い。
・解像度により、読み取れる文字サイズの限界があります。
フルHD → 「6」が限界
4K → 「4」が限界
以下は測定結果です。
画面中央


画面左下


左上 | 左下 | 中央 | 右上 | 右下 |
---|---|---|---|---|
8 | 10 | 7 | 8 | 8 |
P63はフルHDなので、理論上の限界はスコアは「6」
中央はフルHDの限界に近い「7」まで視認できましたが、左下のピントが若干ボケ気味でした。ピント性能は、価格帯を考えると並みだと思います。
輝度はムラがある




照度計を用いて白画面9ヶ所の輝度を測定し、明るさのムラを確認しました。右図は測定結果で、最も明るい場所の輝度を100とした場合の分布です。
スコア
9点の平均:76
最小値:65(左上)
真ん中が明るく、左右が暗いという結果でした。中心が明るいのははP63に限った話ではなく、格安機全体に見られる傾向ですね。
普段気になることはほとんどありませんが、画面全体が白いシーンでは、輝度のムラを感じることもあります。
画質の評価まとめ
- Good
-
・コントラスト比が高い
・大画面も楽しめる明るさ
・フルHDの高精細な映像 - Bad
-
・色の鮮やかさはそこそこ
・画面内のムラが少しある
Badポイントについては、格安機共通の課題ですので、P63が特別悪いわけではありません。
総合的に見て、価格に対する画質のコスパはかなり優秀だと思います。この価格で、不自然に感じない映像を楽しめるのがすごい。もっと安い機種で感じる、明るさの不足、誇張された色、彩度の著しい不足など「違和感」をほとんど感じません。価格が安いので、入門機として素晴らしい機種だと感じています。
WIMIUS P63の音質をレビュー


格安機にしては、なかなかいい音。
音質は低音の迫力にかけますが、素直で聞きやすい音です。部屋をスッキリさせたい人は、このままでも映画やゲームを楽しめます。
もちろん感動するレベルとまではいかないので、音にこだわりたい人は外付けスピーカーを購入しましょう。
WIMIUS P63の本体と付属品を確認
箱はこのような感じ。


正面にはレンズと、リモコン用の赤外線受信機。


側面には吸気口と、排熱口。


背面にはスピーカー口と各種接続端子。HDMI端子が2つあるので、例えばゲーム機とBDプレイヤーをボタン1つで切り替えることが可能です。


上面には電源と操作ボタンがあります。


底面には、3脚用のネジ穴、傾斜角度調整のためのネジがあります。


本体はこのような感じで、角度調整可能です。


付属品は以下の通り。
リモコン、電源ケーブル、HDMIケーブル、AVケーブル、説明書、レンズ清掃用の布と綿棒、三脚





三脚付きなのは嬉しいわね
WIMIUS P63の使用感をレビュー
起動時間は約37秒


起動時間は40秒を切り、OS内蔵プロジェクターの中ではなかなか高速です。
垂直自動台形補正が快適


自動の垂直台形補正機能があり、これがとても高速で便利。
もし、水平方向の補正も行いたい場合は、リモコンで4点の台形補正を行います。


電動フォーカスが使いやすい


リモコンのF+、F-ボタンで、電動のピント調節が可能。
こちらは格安機では珍しい機能で、手動のフォーカスリング調整よりも楽にピント合わせができます。
ファンの音はそこそこする


映像に集中するためにも、ファンの静音性は高い方が望ましいですね。
P63の騒音値を実測したところ、37dB(A)@1mという結果になりました。


「とても静か」というわけではありませんが、動画に集中すれば気になるほどではないので、許容範囲だと思います。
消費電力を確認
電力計での消費電力の測定結果は下記。
映像設定 | 消費電力 | 1時間の電気代※ |
---|---|---|
デフォルト設定 | 84W | 2.6円 |
デフォルトの映像設定で、消費電力は84Wでした。50インチテレビの消費電力は100Wを超えることも多いので、そう考えるとお得な気もします。
スマホのミラーリングが可能


ミラーリングはとても簡単で、スマホとプロジェクターを同じWifiに接続すれば準備完了。メニュー画面から、iPhoneもAndroidも簡単に画面共有できます。
リモコンの操作性は良い


最低限の機能がまとまった、オーソドックスなリモコンです。反応速度は普通レベルで、特にストレスなく使えました。
Android TVで、様々なコンテンツを楽しめる


Google Playストア経由で、ABEMAやhulu、TVerなど、多くのサービスをダウンロードできます。
Youtubeはリモコンでの動作が快適でしたが、プライムビデオなど一部のアプリはリモコンをマウスモードにしないと操作ができない場合があります。おそらく、TV用でなくPC/スマホ用のアプリがダウンロードされてしまっているのではないかと思います。
もし使いにくいと感じた場合はAmazon Fire TV Stickを購入して使いましょう。
ゲームは僅かに遅延


プロジェクターでゲームをする場合、気をつけなければいけないのが入力遅延。この値はスペックに書かれていないことが多いので、当サイトでは毎回遅延を測定しています。
以下、Leo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」による測定結果です。
◾️入力遅延【フルHD/60Hz測定】
標準モード → 177.7ms
ゲームモード → 77.5ms
応答速度は少し遅め。
遅延は集中しないと分からないレベルではあるものの、1フレーム(=16.7ms)を争うような対戦ゲームは避けるべきでしょう。
RPGや軽いアクションゲームをする分には、問題なくプレイが可能です。



遅延の少ないプロジェクターについては、以下の記事を参照ください


WIMIUS P63メリットデメリット まとめ


「1万円台」と聞いて思い浮かべる映像のハードルを大きく飛び越えてくれる一台でした。フルHDの映像、ステレオ内蔵スピーカー、Android OS、全て込みで他に何も用意する必要がないのがすごいところ。
コスパが半端じゃないので、低予算でホームシアターを楽しみたい人にはかなりおすすめの製品です。