プロジェクターを選ぶ時、聞き馴染みのない言葉が多く困っている人も多いと思います。
単語をいちいち調べるのは大変なので、本記事ではプロジェクター関連の用語をまとめました。必要最低限の情報をのせていますが、重要な要素については詳細を解説した個別記事のリンクを貼っています。
目次から、気になる単語へジャンプできるのでご活用ください。
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「プロジェクターの分類」に関する用語
ビジネスプロジェクター
プレゼン、会議での使用を想定したプロジェクター。
明るい部屋や会議室で使われることが想定されるため、明るさが求められます。また遠くから見る人も文字を読み取れるよう、解像度も重視されます。
「情報を正しく伝える」というのが使用目的なので、色の美しさや、動きの滑らかさはそこまで重視されない傾向です。
ホームプロジェクター
家で映像を楽しむためのプロジェクター。
美しい映像を「体験」できるように、色の鮮やかさ、動きの滑らかさが重視されます。また、映像に集中できるよう静音声も重視されます。
映像配信サービスの普及に伴いAndroid OSを搭載したモデルが登場し、そちらはネットに繋いですぐ好きな映像作品を楽しめます。
モバイルプロジェクター
持ち運び可能な小型のプロジェクターのことを指します。
充電式のバッテリーを内蔵、もしくは電池の使用でコンセントのない屋外でも稼働可能。
好きな場所にすぐ映像を投影し、しまうのも楽な点が魅力です。
画質は、据え置き型に劣る傾向がありますが、近年はFullHD以上のモデルも出て、進化を続けています。
シーリングプロジェクター
部屋の照明用コンセントを利用して設置できる照明兼プロジェクター。
照明用の電源を使用するため、工事、配線不要で、天井に設置可能。
スピーカー内蔵型かつOS搭載型であれば、1台でホームシアター環境を構築できるところが魅力です。
「光源」に関する用語
水銀ランプ
古くから使用され、広く普及している光源です。
昔からあるため技術が安定していて、価格が安く、明るさが高い点が魅力。
一方で、発熱/消費電力が多めの点と、寿命が数千時間ほどと短い点、起動から明るくなるまで時間がかかる点がデメリットです。
寿命を迎えたランプは、自分でも交換が可能です。
LED
水銀ランプよりも消費電力が低く、発熱が少ない点が魅力です。
発熱が少ないことで、冷却機構を減らせるので、本体の小型化ができます。
また、ランプの稼働時間が2万時間程と言われているため、ほぼ交換の必要がありません。
デメリットとしては、原理的に明るくするのが難しい点で、1000〜3000ルーメンほどの製品が多いイメージです。
レーザー
高輝度、低消費電力で、ランプの寿命もLED方式と同等の2万時間と長寿命。
さらに本体の小型化も可能です。
素晴らしい性能を持ちますが、価格ががネック。
ハイエンドクラスの機器で採用されているイメージになります。
「投影方式」に関する用語
LCD方式(3LCD方式)
液晶パネルにRGB光を透過させた後、プリズムで合成することでフルカラーを表現する投影方式。
色彩表現が豊かで、中間色の微妙な色合いも再現可能です。
家庭向けでは、低価格品からハイスペック品まで幅広いLCDプロジェクターが存在し、選択の幅が広いのも魅力です。
デメリットは、黒の表現が苦手な点で、液晶層から光が漏れる「黒浮き」と呼ばれる現象が起こります。また、液晶を透過させる際に、内部の構造が格子状の影になり、映像の投射率を下げる可能性があります。(ドット格子)
黒浮き、ドット格子の影響は、技術/設計によって低減できるので、メーカーの実力が出ます。
LCOS方式
LCD方式と同じく液晶を使うが、こちらは透過型ではなく、反射型の投影方式。
反射式では透過式のように基盤上の回路の影が映り込まないため、より高精細な映像を投射できます。
高精細、高コントラストでLCD方式の弱点を克服した「上位互換」と呼べるような方式です。
一方、部品数の多さからサイズが大きい点と、価格が高い点はデメリットになります。
DLP方式
マイクロミラーが画素数分だけ並んだ「DLPチップ」に光を反射させる投影方式です。DLP方式ではマイクロミラーの高速のON/OFFの切り替えで、色の明るさを調整します。
液晶パネルより寿命が長く、黒の表現がとても得意なのが特徴です。
またDLPチップが1チップの方式と、3チップの方式で特徴が違います。
1チップ方式
1枚のDLPチップにRGB光を高速に切り替えて反射させる方式。脳がRGB光の残像を重ねることでフルカラーの映像として認識します。部品数が少なく小型化できるというメリットがありますが、RGB光の残像が虹色に見えるレインボーノイズという現象が起こることがあります。モバイルプロジェクターは1チップのDLP方式であることが多いです。
3チップ方式
3枚のDLPチップに対しRGB光がフルタイムで照射される方式。映像が滑らかになりますが、部品数が多くなりとても高価です。映画館でも使われる、ハイエンド品です。
LCD、LCOS、DLPの原理を詳しく知りたいならこちらの記事
「映像」に関する用語
インチ [型]
画面のサイズを表す時に用いられる単位。
四角い画面の対角線の長さを表し、1インチ=25.4mm。
アスペクト比
映写画面の横幅と縦幅の比率を指します。
目的によって、様々なアスペクト比が使い分けられますが、最近は16:9が主流。
インチ数が同じでも、アスペクト比が変われば画面のサイズは変わります。
投写距離(映写距離, 焦点距離)
プロジェクターのレンズからスクリーンまでの距離を表します。
プロジェクターのスペックを見ると、投写距離と画面サイズがセットで表記されています。
例えば、画面サイズ100インチ、投写距離3mの場合、「100インチの映像を写すために、3メートルの投写距離が必要」ということです。
画面サイズを検討するために、自宅の間取りと合わせて必ず確認すべき項目です。
解像度 [px]
解像度[px]は映像を表現するドットの数を表し、数が多いほど高精細になります。
アスペクト比が16:9のモデルでは、以下の規格となっている場合が多いです。
規格 | 解像度[px] | 備考 |
---|---|---|
480p | 854×480 | DVDと同等の画質 |
HD | 1280×720 | DVDとBD画質の中間 |
フルHD | 1920×1080 | BD画質 |
4K | 3840×2160 | フルHDの4倍の画素数 |
解像度によって見え方がどのくらい変わるか、こちらの記事で解説しています
明るさ [ルーメン または ANSI ルーメン]
プロジェクターの明るさを表す単位として「ルーメン」もしくは「ANSIルーメン」が使われます。
ルーメン
照明にも使われている、古くから馴染みのある単位です。プロジェクターでのルーメンは、「光源そのものの明るさ」を表しているイメージになりますが、実は測定基準が明確でないため、メーカーによるばらつきが生じやすい値です。
ANSIルーメン
光源の明るさを表すルーメンに対して、ANSIルーメンは投影された「映像の照度」を表すイメージです。測定方法がはっきりとしてるため、より信頼性の高イメージです。計算上、ルーメンに比べて1桁ほど低い値になります。ルーメンとANSIルーメンは別物なので、直接比較できない点は注意。
プロジェクターの明るさについて解説した記事はこちら
開口率
1画素あたりの面積に対して、光が透過できる面積の割合をいいます。
開口率が高いと映像を明るくリアルに描写できますが、低い場合は暗くぼやけた画像になります。
投影方式によって開口率に差があり、一般的にはLCOS>DLP>LCDの順で開口率は高くなります。
コントラスト比
画面内の最大輝度(白)と最低輝度(黒)の輝度比を表します。
コントラスト比が高いほど、画面内での明暗の差をつけられるので、メリハリのある映像になります。
逆にコントラスト比が低いと、明るい部屋で映像を見てるような、ぼやけた絵になります。
リフレッシュレート[Hz]
リフレッシュレートは、1秒間に何回画像を描画できるかを表します。
プロジェクターの映写原理は、パラパラ漫画と同じです。
目で追えないほど素早く切り替わる「静止画」を、「動画」として脳が認識しています。
例えば、リフレッシュレート60Hzは、1秒間に60枚の画像が切り替えられることを表します。
プロジェクターはリフレッシュレートが高いほど映像は滑らかでぬるぬる動きますが、入力ソースの信号が限界になる点に注意です。
「接続/端子」に関する用語
HDMI端子
テレビ、ゲーム機、AVアンプ、Blu-rayレコーダーなどと接続し、デジタル音声/映像データをやり取りするためのケーブル。
ホームプロジェクターでは主流の接続方法で、最新のver2.1規格では8Kの映像に対応しています。
差し込みの向きも間違えにくく、とても使いやすいです。
VGA端子(=D-sub 15pin)
主にパソコンと接続するときに使えますが、最近はHDMI接続が主流です。
VGAの規格上最大解像度はQWXGA(2048×1152px)で、アナログ信号を送ります。
映像データのみを送るので、音声データは別ケーブルで送る必要あり。
斜めに差し込んだり、無理やり抜くとピンが曲がったり折れたりするので注意です。
USB端子
主にVGA端子やHDMI端子がついていないパソコンと接続する際に使用されます。
基本的にはUSBを繋ぐだけでは映像は投影できず、パソコン側に専用ドライバのインストールが必要。
USB接続では、映像と音声両方流すことができますが、パソコンのスペックによっては映像がかくつきます。
家庭ではあえてUSB接続にこだわる理由がないので、他の接続方法がおすすめです。
Bluetooth
無線通信規格のひとつ。
Bluetoothを内蔵した機器同士は、ケーブルレスで無線接続可能です。
プロジェクターの場合、イヤホンやスピーカー等の音響機器との接続にBluetoothが役立ちます。
Bluetooth接続は配線がなくなるのが魅力ですが、映像に対し音が遅延する「音ずれ」に注意した機器選びが重要になります。
WiFi接続
デバイスとインターネット回線をつなぐ近距離対応の通信技術を指します。
WiFi対応のプロジェクターは、無線でスマホ・PCとの接続が可能です。
また、プロジェクター本体がAndroidなどのOSを搭載している場合、インターネットに接続すればそのまま動画配信サービスが利用できます。
画面ミラーリンク
プロジェクターにスマホ/タブレットを接続して画面を同期させることを指します。
スマホの写真や動画を大画面で見たり、スマホゲームを大画面でプレイしたい時に役立ちます。
主な接続方法はWiFi経由の無線接続と、HDMIをつかう有線接続の2つです。
無線接続
コードレスが魅力ですが、音・映像の遅延が懸念点です。タイミングがシビアなゲームには不向き。
有線接続
無線よりも接続が安定。機種によって、専用の変換アダプターが必要になる場合があります。コードに動きが制限される点がデメリットです。
「OS」に関する用語
OS
オペレーティングシステムの略で、一般的にはPC・スマホを操作するためのシステムを指します。
OS搭載型のプロジェクターは「スマートプロジェクター」とも呼ばれ、最近種類が増加中。
OS搭載型は単独でのインターネット接続が可能で、ワイヤレスでのPC/スマホ接続、YoutubeやNetflix等の動画配信サービスを利用可能です。
内蔵OSとしてはAndroidが多い状態ですが、独自のシステムを導入しているメーカもあります。
「機能」に関する用語
レンズシフト
レンズを水平/垂直方向にスライドさせることで、プロジェクターを動かさずにに映写位置を調節する機能です。
レンズシフト機能を持っている機種は、設置場所の自由度が上がります。また、位置の微調整が簡単になるので位置決めが短時間で済みます。
台形補正
斜め方向からの投影が原因で生じる台形型の歪みを補正する機能です。
台形補正機能は、狭い部屋や障害物の多い部屋でプロジェクターをスクリーンの正面に置けない場合に役立ちます。
しかし、台形補正機能では歪んでる部分を切り取って縮小・矯正するため実は画質が低下しています。
どうしても正面から映写できない場合のみ、使用をおすすめします。
台形補正の解説はこちら。画質への影響を検証しました。
「音」に関する用語
スピーカー内蔵型
本体にスピーカーを内蔵しているモデルです。
別途スピーカーを用意しなくても気楽に映像を楽しめます。
とはいえ音質は本格的なスピーカーに劣るので、許容できるかは好みになってきます。
「本体スピーカーがどの方向を向いてるか」は意外に重要で、座る位置との関係で音が聞こえにくくなります。
全方向に音が出るタイプはこの辺りの心配がないので初心者におすすめです。
スピーカーW(ワット)
スピーカー内蔵型のプロジェクターは、その能力がW(ワット)数で示されている場合があります。
W数は電力を表す単位で、音源から入力できる電力の上限を指しています。
このW数が高いほど大きな音を出せるイメージになりますが、音質とは無関係です。
デシベル(db)
プロジェクターにおけるdbは、ファンなどによる本体駆動音の大きさを表します。
dbは製品情報に必ず記載されているわけではありませんが、20〜40db程の製品が多いイメージです。
20db→木の触れ合う音、時計の秒針、雪の降る音
30db→鉛筆の執筆音、木の葉のそよぎ、ささやき声
40db→しとしと雨、図書館の館内、静かな住宅地の昼
ホームシアター用途では、視聴者とプロジェクターの位置が近い場合が多いので、静音性は重要です。
アンプ
アンプは音源からの微弱な音声信号を増幅して音量をコントロールします。
アンプの実力が発揮されるのは複数のスピーカーを接続した場合で、空間の音を自分好みにカスタマイズできます。
また、「AVアンプ」では、音に加えて映像の入出力が可能になり、HDMI端子からの映像信号はプロジェクターへ、音声信号は増幅しスピーカーへ送り出します。
アンプが無くてもホームシアターは組めますが、あれば自分好みの音を追求できます。
サラウンドシステム
全方向から音が聞こえる音響システムを指し、一般的には視聴者を取り囲むようにして5つ以上のスピーカーが使われます。
サラウンドシステム対応の映像作品では、立体的な音響によって、本当にその場にいるかのような臨場感を味わえます。
ch(チャンネル)
サラウンドシステムを構築するさいのスピーカーの数を指します。
2.1ch、5.1ch、7.1chはよく聞きますが、点の前の数字(2,5,7)はスピーカーの数。点の後の1はサブウーハーの数を表します。
例:5.1ch → スピーカー数「5」、サブウーファー数「1」
ch数が多いほど、より音が立体的になります。
また更に音を立体的にするため、天井にもスピーカを配置する7.1.2ch(天井が2)といった配置も存在します。
DOLBY
ドルビー(ドルビー・ラボラトリーズ)は音響並びにディスプレイなどの映像の開発を行っている会社です。
なんとなく聞いたことのある、Dolby Digital(ドルビーデジタル)、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)はこのDOLBY社が手がける立体音響フォーマットを指します。
Dolby Digital
DVDやBDのに広く採用されている音声フォーマットであり、収録音声をサラウンド音声にするためのデジタル加工・収録技術。この技術によって、映画館のみでなく家庭でも5.1ch以上の立体音響を再現することができる。
Dolby Atmos
Dolby Digitalの進化版というべき技術で、仮想空間の中に音源を配置する「オブジェクトベース」という発想が用いられています。オブジェクトベースが再現された空間では、視聴者は固定されたスピーカーの存在を感じません。3次元的な音響を計算した音を出すことで、スピーカーの存在しないはずの空間から音が出ているように感じます。まさに映画の世界に飛び込んだかのような臨場感を体験できます。
「設置・レイアウト」に関する用語
天吊り
プロジェクターを天井に吊るす設置方法。
天井に吊るすことで、視界にプロジェクターが映らないので、目の前の映像に集中できます。
取り付けには専用の金具を使うのが一般的ですが、DIYも可能です。
プロジェクターが落下しないように、十分な強度の確保が重要になります。
簡単な天吊りの方法を紹介した記事はこちら
「周辺機器、サービス」に関する用語
ストリーミングデバイス
プロジェクターでNetflixやYouTubeなどの動画配信サービスを楽しむためのデバイスです。
Amazon のFire TV Stickや、Google Chromecast、Apple TV HDなどが有名です。
ストリーミングデバイスは、プロジェクターのHDMI端子に差し込んで、家庭のWifiでインターネットに接続します。
ちなみに、Android等のOS搭載型のプロジェクターは、ストリーミングデバイスなしでも動画サービスを楽しめます。
VOD
「Video On Demand」の略で、インターネットと接続して映画やドラマを楽しめるサブスクリプション型の動画配信サービスです。
Amazonプライムビデオ、Netflix、ディズニープラス、Uーnext、Huluなどが有名。
かつてはDVDをレンタルすることでしか見れなかった旧作映画が、VODによってとても身近になりました。
プロジェクター用語一覧 まとめ
プロジェクターの用語一覧をまとめました。
今後も新しい用語が増えるたび更新していきますので、随時参考にしてください。
本ブログではホームシアターの初心者に役立つ情報を発信してますので、興味のある方は他の記事も参考にしてください。
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