プロジェクターの大画面はゲームの感動を倍増させますよね。RPGは世界の広がりを感じることができますし、アクションゲームは爽快感が増します。
しかしプロジェクターでゲームをする際、一番不安なのが遅延です。
実際のところ、入力遅延はスペックに明記されていない場合がほとんど。ゲーミングプロジェクターは数値が公表され信頼性がありますが、価格が高く中々手が出しにくいですよね。
そこで今回は専用の機器を使い、人気プロジェクターの入力遅延を測定しました。
当サイトだけの貴重なデータが取れたので、ぜひプロジェクター選びの参考にしてください。
入力遅延測定のため、4K Lag Testerを購入
これまで筆者は、コントローラーのボタンを押してから操作が反映されるまでの時間を、スロー動画で確認するという涙ぐましいラグテストを行ってきました。
しかし、目視によるスロー映像の読み取りは誤差があるので、データは参考止まり。
そこでもっと厳密なデータを取る方法がないか検討し、見つけたのがLeo Bodnar Electronicsの「4K Lag Tester」。
こちらはイギリスメーカーの製品で、簡単に使用できるラグテスターです。詳しい測定方法は後述しますが、HDMIでプロジェクターに信号を送り、映像が出力されるまでのラグを光センサーで測定します。
日本での取扱店がなさそうだったので、メーカーから直接取り寄せ。本体価格は467ドル。イギリスからの送料や、手数料込みで、約9万円。
高い(泣)
だが後悔はなし・・・・
そもそも入力遅延とは何か
入力遅延は、ゲーム機からの信号をプロジェクターが受け取ってから映像が映るまでのタイムラグを指します。
画面上に映像が反映される頃にはゲーム機の演算は更に進んでいるため、プロジェクターの入力遅延の分だけ、ゲーム世界の本当の状況と画面の状況がズレることになります。
これは1フレームの反応を争うFPSや格闘ゲームでは重要。
その他ゲームでも、ボタンを押してから反応するまであまりに遅いと白けますよね。
今回の記事ではこのプロジェクターの入力遅延について、見える形で比較できるようデータを取ったわけです。
4K Lag Testerによる入力遅延の測定方法
4K Lag Testerはプロジェクターへ映像信号を送り、点滅するバーを投影。バーの光を本体のセンサーで受けることで、信号送信から映像投影までのタイムラグを測定します。
- 1msでの正確な測定
- HDMI入力可能なモニター、プロジェクター、PCなどで測定が可能
- 測定する解像度や周波数は可変(設定変更にはWindous PCが必要)
海外のメディアが測定に使ってる例もあるようで、なかなか信頼できる測定法でしょう。
入力遅延は20ms以下なら最高、60ms以上だと微妙
BenQのHPを参考に、入力遅延の目安を図にしました。
入力遅延はms(ミリ秒)=1000分の1秒単位で表され、反応速度が重要な対戦ゲーム系は20ms以下が理想。60msを超えたあたりから、操作性の高いアクションゲームなどには向かなくなっていきます。
60msでも0.06秒でしょ・・・・
大したことなくない?
1人プレイだと確かに気にならないけど、格ゲーやFPSの対戦だと不利になるよ
人間の視覚刺激に対する反応速度は200msほどです。
もし入力遅延60msなら、実質的に反応速度が200msから260msになるようなもので、30%のパフォーマンスの低下を意味します。これは、真剣な対戦では結構大きいですよね。
まずは家にあるモニターを測定
参考として、自宅のモニターやテレビの入力遅延を測定してみました。
4K Lag Testerでは、画面の上・中・下で測定可能ですが、液晶テレビは画面上側に比べて、下側の遅延が大きいという結果になりました。どうやら液晶テレビは画面の上から下へ映像が書き換えられるようで、それが反映されている模様。
今回の測定では画面の平均の遅延を表す、画面中央を測定することにしました。
プロジェクターで240fpsのPCゲームをする人はそんなにいないと思うので、任天堂SWITCH【フルHD:60Hz】、PS5【4K:60Hz】あたりの条件を測定してみることにします。※4K条件は4Kモニタのみで測定
その結果がこちら。
機器 | フルHD/60Hz | 4K/60Hz |
---|---|---|
HP[V24ie] フルHD24インチモニタ | 8.8 | – |
ingnok[YN02D] 15.6インチフルHDルモニタ | 8.8 | – |
ドンキホーテ[2017年製] 50インチ4Kテレビ | 80 | 測定不可 |
↑ゲームモード | 13 | 測定不可 |
ドンキの4Kテレビは画面解像度は4Kですが、4K/60Hzの測定でエラーが出て測定不可でした。フルHD/60Hz条件で、通常モードでは80msと遅いものの、ゲームモードでは13msと意外と高速に。
フルHD/60Hz条件では、格安モニターでも10msくらいは出るようです。
プロジェクターのゲーム入力遅延を実測!
ここからは本題であるプロジェクターの入力遅延を測定。手持ちのプロジェクターを全て測定してみました。
ポイント
- LCDプロジェクターは液晶テレビと同じく外面上部の速度が早く、下が遅い傾向があったので中央の値を読み取り(DLPは上中下同じでした)
- ゲームモードのあるプロジェクターはそちらを適応し(G)と記載
超高速 | 高速 | 普通 | 低速 |
0〜20ms | 20〜40ms | 40〜62ms | 63ms〜 |
※測定単位はms ※(G)はゲームモードを表す ※Nebula Cosmos MaxはLow Latency modeで測定
※Nebula Cosmos 4K SEは上手くテスト信号が送信できませんでした。設定の問題か、機器の相性の問題かは不明。FireTV4K Stickの4K60Hz信号は受信できていました。
※測定単位はms ※(G)はゲームモードを表す ※Nebula Cosmos MaxはLow Latency modeで測定
※測定単位はms ※(G)はゲームモードを表す
※測定単位はms
動画で遅延を比較
こちらのYouTubeで、映像で入力遅延の比較をしていますので、参考にしてください。
①8.8msのモニター
②22.5msのNebula Capsule3 Laser
③57.2msのNebula Cosmos Laser4K
④144msのカベーニプロ2
ゲームに向いているおすすめプロジェクター
今回測定した機種で、反応速度が速い順にBest4は以下の通り。
1位 Anker Nebula Cosmos 4K SE 【18.3ms】
1位はAnkerの最上位のNebula Cosmosシリーズの最新機。20ms秒を切る応答速度は、ネットゲーム対戦でも十分に通用するレベル。
レーザー+LCDの映像は発色も素晴らしく、最高のゲーム体験を提供してくれます。1800ANSIルーメンは昼でも使える明るさなので、1日中ゲームに没頭できます。
ゲーミング機じゃないのにこの速度は本当にすごいですよ。
2位 XGIMI Elfin Flip Pro 【22.0ms】
XGIMIの入門機クラスのプロジェクターです。
スタンド一体型ボディ、15000mAhバッテリー搭載、収納時厚さ6.4mmと使いやすさも抜群。どんな場所でも使いやすい「美しい」デザインも魅力です。
スペックを考えると価格はかなりお手頃なので、プロジェクターの入門機として非常ににおすすめの製品ですよ。
3位 XGIMI MoGo3 Pro 【22.2ms】
小型ボディーながら、450ANSIルーメンの明るさでharman/kardonスピーカーを搭載。またGoogle TVで様々なコンテンツを楽しめる万能プロジェクターです。
従来のMoGoシリーズのメタル調のデザインから、親しみのある見た目に変わっているので、男女ともに使いやすいデザイン性の高さも魅力です。
4位 Anker Nebula Capsule3 Laser 【22.5ms】
Ankerの人気レーザープロジェクターは、実はゲーミング速度も優秀でした。
モバイル機なので、明るさが控えめですが、出したりしまったりするのが簡単なのがいいところ。普段はモニターでゲームをして、たまには大画面でプレイをしたいという人におすすめ。
レーザー光源を採用しているので、モバイル機とは思えないないくらい映像が綺麗ですよ。
1位を目指すならゲーミングプロジェクターを推奨
ランクを競う対戦ゲームを大画面でプレイしたい場合は、少々ねが張りますが、遅延20ms以下のゲーミングプロジェクターがおすすめ。
BenQのプロジェクターは60Hzで16msというスペックなので、やはり信頼感が高いですね。また、120Hz以上の周波数対応で、PCゲームでも活躍できます。
\BenQ フルHDモデル/
\BenQ 4Kモデル/
View Sonicもゲーミングプロジェクターを発売しています。こちらはXBOX認定機で、1440p@120Hz特化のデザイン。カラーリングもXBOX仕様なので、揃えるとテンションが上がりそうです。
\XBOX認定ゲーミング/
プロジェクターでゲームを楽しもう
大画面のゲームは本当に楽しい。ゲームの仮想世界の空間を体で感じられるので、没入感がモニターとは段違いです。
FPSや格闘ゲームなど、特に反応速度が求められるジャンルは、本記事を参考に入力遅延を考えて機種選びをしてみてください。
今後も測定データを追加していきますので、たまに記事を確認してみてください。